魔人陣営
アキ達が総攻撃を仕掛けていた軍勢の後方にて、魔人達が集いこれから行う勇者討伐に向けて再び話し合いをしている中一匹の魔物が慌てた様子で駆け付けた。
『たっ、大変です!!勇者討伐隊最前線にて敵勢力の襲撃です!』
前線からのメッセージを受け取った魔物が一息に言うと、話し合いをしていた魔人達の顔が険しいものへと変わる。
「これは副会長の勝ちだな、まぁ俺何も賭けてないけど」
「何を悠長に独り言かましてんのよ、一大事なのよ?自覚あるのよ?」
サングラスをかけた狼男が独り言を漏らすと、大事な所以外肌を露出させた装備の赤髪サイドテール少女が目に見えてイラついた様子で狼男に問いかける。
「まぁまぁ、チャランポランの相手しても無駄ですよのよ子」
「のよ子言うんじゃないのよ!」
「のよのよ言うのが悪いのですよ」
「あんたも気に食わないのよ!クソハゲ!」
紫のスライムがウニウニと動きながら仲裁に入るも、少女はスライムに怒鳴りつけると虚空から剣を取り出すとスライムに突き立てる。
「おやおや、酷いですね。こんな事なら勇者討伐隊なんて入らなかったら良かったかもですねぇ」
「そんな事言って実際ダメージはないだろ?」
「ハッハッハ!私の心にダメージが来てるんですよ」
「おっと、そりゃ痛いとこ突かれたな!」
「「ハッハッハ!」」
「もういいのよ、ムカつくから私は前線に行って敵勢力とやらを斬ってくるのよ!」
狼男とスライムのやり取りに少女はイライラした様子で敵勢力のいる前線へと向かった。
「あらあら、いってしまいましたね」
「流石にアイツが出れば収まるだろうしこれで良かったかもな」
「ふっふっふ、やつは勇者討伐隊の中でも最強よ」
「違いねぇ、正直俺らはそんな強くないからな!」
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全くもって不愉快なのよ、さっさと勇者殺してこんなパーティーからおさらばなのよ。
見るからに不満そうな表情で渓谷の上を早足で歩く少女は、背後に12対の剣を顕現させそのうちの二本を手に取りやたらめったらに足元を斬り付け始めた。
「こいつらが役に立たないからこんな事になるのよ、役立たずはさっさと死ぬのよ」
ハイライトを失った目で谷底で潰される魔物達を見下すと、その場からアキ達の戦闘している場所まで一回の跳躍で飛んでいく。
いくら雑魚共とはいえかなりの量をやられてるのよ、この調子で減らされたら勇者に着く前に殆ど無くなるのよ。
眉間に皺を寄せながら戦況を見ている少女は一つの人影に目をつけた。
アイツを潰せば何とかなりそうなのよ、他はたかだかスケルトンくらいなのよ
「『引裂く千の剣』なのよ!」
少女がスキルを発動すると、その瞬間12対の剣が回転しながら増殖し、次々とメフィストフェレスに向けて放たれる。
これで1人はしとめたのよ、後は恐らくあいつと一緒に来た雑魚のネクロマンサー達を潰すだけなのよ。
数を揃えるためにネクロマンサーを連れてくるなんて愚策なのよ、魔法使いなりなんりを捕まえて来た方が賢明だったのよ。
少女が心の中で嘲笑っていると、背筋が凍るような殺気を覚え瞬時にその場から飛び退き距離をとる。
少女が飛び退いたそのコンマ数秒後、先程まで少女が立っていた場所に無数の槍が突き立てられた。
「何者なのよ!」
「何者と言われましても、先程貴方が殺そうとした者ですよ」
少女の言葉にふざけた様子の男が槍の上に軽やかに降り答えた。
「あれを凌ぎきったのよ?」
「えぇ、まぁ、変則的な投げナイフを何度も受け出来てますのであれくらいの事は出来ますよ」
「ちっ、化け物なのよ」
「創造神様のやっていたゲームだと確か槍は剣に有利ってありましたねぇ」
その男はそう言うと肩を震わせながら笑うと槍を構える。
「仕方ないのよ、お前を放置してたら後々面倒になるから本気で潰すのよ!」
「えぇ、かかって来なさい」




