トカゲ君の実力と新たな力
アキがトカゲ君と空から攻撃を始めた同時刻、ほね太郎達は魔物の軍勢に攻撃を仕掛けていた。
『コメンドー殿!変隊を鋒矢の陣に!』
『はっ!全体鋒矢の陣!』
『『サーイエスサー!』』
ほね太郎、くま五郎、コメンドーを先頭とした編隊で敵の軍勢に突撃突撃をすると、流れるように次々と敵を殲滅していく。
『一先ず不意を突き、一箇所にとどまらない事で少しずつ減らせてはいるがやはり圧倒的不利ですね』
『だな、ふん!あのでかいのと悪魔が殲滅してくれてるが、流石にこの数の差じゃあそのうち還されるかもな』
『私めからは次々と倒せているように思えるのですが』
ほね太郎とくま五郎の会話に疑問を持ったコメンドーが質問を投げかける。
『馬鹿言え、俺らがやってる事なんて戦力の分散にしかなってねぇよ。本命はあの悪魔とドラゴンだな、他にも下僕達を召喚してるようだがそれもこの場をかき乱すためのものだ』
『そうですか、くま五郎殿勉強になります』
コメンドーが感心していると、遥か先の方で流星群のように降り注ぐ槍が目に入った。
『メフィストフェレス殿も蹴散らしているようですね、まぁ我が主程では無いですが!』
『たろ公の持ち上げぶりは相変わらず治らねぇな、まぁたろ公が上げる気持ち分からんでもないが』
『ハッハッハ!やはり御二方もアキ様の事がお好きなのですね』
『当たり前(ですとも!)よ!』
迫り来るミノタウロスのような魔物をほね太郎が足を撫ぜるように斬ると、足を失った魔物に変隊の数人が一斉に槍を突き立てる。
それとほぼ同時にくま五郎の拳が多数のゴブリン型の魔物を一瞬で頭を吹き飛ばし、絶命させていった。
『まだまだ余裕だなぁ!!』
『なんなら競走でもしましょうか?』
「いいですな、この不肖コメンドーアキ様に叩き込まれた戦術で御二方に負けぬ戦果を挙げてみせましょうぞ!」
調子に乗った三人は競走を始め、ほね太郎、くま五郎、コメンドー+変隊に別れて先程よりも勢いを上げて敵を殲滅しに入った。
ほね太郎は風のように戦場を駆け、ほね太郎が通った後には切り捨てられた魔物が転がる。
くま五郎は雷のように群がる魔物を吹き飛ばし、周囲を血の海へと変貌させていった。
『流石はほね太郎殿にくま五郎殿です、皆の者!御二方に負けぬよう我々も奮闘するぞ!』
『『イエッサー!』』
コメンドーの号令により変隊のメンバーが怒号を上げ、その手に持った槍を、腰に提げた剣を抜き放ち天に掲げた。
~~~
おっと、アイツらも始めたみたいだな。
向こうが騒がしくなってる。
『ご主人様、そろそろ疲れました』
「死んでるのに疲れるのか」
『気分的にです、休憩させてください』
「よし、じゃあここら一体を焼き払ったらな」
『わ〜い!』
アキがトカゲ君に飴をチラつかせたその瞬間、トカゲ君の口から膨大な熱量を含んだ火球が放たれ――
――眼下全ての魔物達がスケルトン諸共消し炭になった。
「ぁ…………」
『やった〜!これでお休みできる〜♪』
先程までの炎のブレスがロウソクの火の様に思える一撃を放ったトカゲ君に、アキは開いた口が塞がらず呆然とその光景を見ていた。
「………………最初からそれをしろよ!」
『うひゃぁ!!』
我に返ったアキはトカゲ君に叫びながら一言投げかけると、レベルの上がっていることを確認しこの状況を公転させるスキルがないか確認する事にした。
『サモンスケルトン』『サモンマルチスケルトン』
『死霊読心術』『サモンジェネラルスケルトン』
『従魔召喚』…………『サモンレギオン』?
これは使えるかもしれない、レギオンって言ったら確か軍隊だか軍団だかって意味だったよな。
「よし、こりゃぁやるしかないよな。『サモンレギオン』!!」
アキがスキルを口にするとその瞬間トカゲ君を召喚した時よりも巨大なゲートが出現し、そこから無数の多種多様なスケルトン達が這い上がってきた。
「よし、これでこっちの戦力……も…………」
――バタン
その瞬間、アキは意識を手放し地に伏したのだった。




