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ThorPhantomOnline~防御力には自信があるネクロマンサーです~  作者: 存在感皆無な人
〜ThorPhantomOnline〜
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イベント一回戦目①

遅刻を恐れたアキは、指定された時間より15分以上早く闘技場で待機していた。


「流石にこれだけ早く来れば問題ないよな」


ため息混じりにそう吐き捨てると、アキはほね太郎達を召喚し最終チェックに入る。


得物の調子は万全、防具も多分大丈夫、みんなもやる気満々だし楽しみだな。


「ここで好成績残して有名プレイヤーになってくぞ!!」

『おう!!』

『『はっ!!』』

『『サーイエスサー!!』』


全員で気合を入れると、そこにサツキがニヤニヤと笑いながらこちらに歩いてきた。


「もう充分アキは有名プレイヤーだと思うんだけどね」

「んなわけないだろ、まだこれと言って成績残してないし」


アキの発言にサツキは肩を竦めながら「何を言ってるのやら」と吐き捨てながら腰の得物を抜刀し、その得物をアキへと向けニヤリと笑い――



――「アキ、私はこのイベントで優勝するつもりだよ。同じ攻略組から何人も出てるけど関係ない」

「言うじゃん、なら俺も負けるわけにはいかないな。もしサツキが負けたら俺が優勝してやるよ」


サツキの言葉にアキもつられてニヤリと笑うと拳を突き出しそう宣言する。


「誰が負けるかっての!」

「その意気だ」




〜〜〜




「レディース&ジェントルメン!御来場の皆様、これより第一回TPOPVP大会を開催致します!!」


メフィストフェレスの気合いの籠った開会宣言に会場は沸き上がり、その盛り上がりによって空気が震えていた。


「ルールは簡単、先に相手を倒した方が勝ち!場外反則による強制敗北は無し!棄権?降参?クソ喰らえ!参加した者は死ぬか栄光を手にするか!あ、皆さん倒されてもしにはしませんけどね。文字通りのデスマッチです!!」


あいつすっげー楽しそうに説明してんな……


第一回戦という事もあり、すぐ始められるよう戦士入場口に出ていたアキは、苦笑いをしながらそんな事を考えていた。


「ではこれより記念すべき第一回大会の第一回目の試合に移りましょう!」


メフィストフェレスの宣言と同時にアキの目の前に降りていた鉄格子がガラガラと音を上げながら上へと上がり、導かれるままにメフィストフェレスの待つ闘技場へと歩いて行く。


すると上からは声援やら怒号やらと各々の叫び声がこちらへと響いてくる。


うへぇ、緊張する……


それらに作り笑いで対処し、中央まで足を運ぶとほぼ同時にキリサメも目の前に着く。


「さて、やろうか」

「いいねいいね、前会った時から楽しみだったんだ」

「あの時はほんとやってくれたよな?」

「ふふふふ、ねぇ続きしようか」

「上等だ」


キリサメと火花を散らせていると、その瞬間に開戦を知らせるゴングが鳴った。


――パチン


アキの指の音と共に即座に飛び出したほね太郎達は各方向に別れ、キリサメへ向け攻撃を開始した。


ほね太郎が真正面から突きを放つ。

それをキリサメは軽々と避け後ろから奇襲をかけようとしたスケルトンの頭を掴みながら中央へと舞った。


ボール()を相手のゴールにシュート!!」


――ガンッ!


「危ねぇ!」


飛んで来た頭を大盾で弾くとそのまま飛び込んできたキリサメを盾で受け止める。


「邪魔だボケェ!!」

「ふっ!」


盾を手放しスケルトンから投げられた剣を手に取り、キリサメ目掛けて横一文字に振り抜く。

しかしキリサメは大盾を足場に軽々と飛びそれを回避する。


『くらえや!』

「あらよっ」


宙に舞ったキリサメに目掛けてくま五郎が飛び上がり膝蹴りを繰り出すも、身を翻すことでくま五郎の攻撃を軽々と避け着地をする。


くそ、全くダメージを与えられてない。

速すぎるし動きも良いし、このままだとジリ貧だな。

よし。


「全然当たらないね?今度は――僕から行くよ?」


キリサメがニヤニヤと笑いながら一瞬で距離を詰める。

何とかそれに反応したアキは大盾で自らの身体をキリサメから隠す。

そしてその次の瞬間キリサメはその盾を左足で蹴ると、その足を軸に回転しながら真上に飛び、そのまま大盾の後ろに向かって急降下する。


しかし、そこにアキの姿はなく、そこにいたのはスケルトンだった。


動きを止めることが出来ないキリサメは、そのままスケルトンを頭から股までを一刀両断すると着地したままの姿勢で数コンマ固まっていた。


「ぐっ、この技の硬直嫌いだ」

「『タウント』!『フォートウォール』!」

「うわっ?!」


アキがスキルを発動したその瞬間、キリサメの首が勝手に可動限界まで動きアキを視界に無理やりとらえる。


「今だ!」

『おうよ!』


くま五郎は気合いの入った返事と共に弾かれたように飛び出し――




――キリサメのガラ空きの脇腹に拳を打ち込んだ。


「ぐがはぅっ……」

「やっと入った!」

「まだ……まだぁ!!」


口から血を吐き出したキリサメは、奥歯をギリッと鳴らし、先程までの余裕な態度とは一転し、獣のような叫び声を上げる。


「痛い痛い痛い痛い痛いなァァァ!!」

「変なスイッチ入りやがった!」

「ガァァァ!!」

「ぶわっ!?」


キリサメは猫のように身体を反らせながら後ろに引く、そして次の瞬間、アキの左腕が飛んでいた。


「…………は?」


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