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68 入学から二週間


 入学式から二週間が過ぎ、皆それなりに学園に順応し始めていた。

 

 週末にはヴィル兄様とヨハンに護衛してもらい、マチルダとユレーナも連れてオーキュラスの上屋敷に戻った。

 そこではお屋敷の現状を聞いたり、コニーとあっち向いてホイ対決の続きをしたり、ご近所のバージル家に遊びに行ってオルリス兄様とおしゃべりしたり。

 そしてお母様とお父様に手紙を書いて伝神霊に持たせ、飛ばしたりした。

 

 ちなみにこの伝神霊は、入学前に使うことを許可された唯一の魔術だ。とは言っても、お父様が契約した精霊を借りている感じである。

 しかし手紙を持たせれば、素直にきちんと運んでくれた。

 距離が距離なので、返事が来るのは恐らく少し先になるだろう。


 さてさて。五大教科の他、初めて習う教科は非常に興味深く面白いものばかりだ。

 

 唯一、古代ロアン文字の文法は難敵だった。

 要するにあれ、地球で言うところのラテン語的なものだ。

 アルファベットが分かるからってラテン語が読める訳では無い……そして私は典型的な外国語の苦手な日本人だった……あとは分かるね?という感じである。

 手を抜くわけに行かないのでギリギリ寝なかったが、危うく鼻ちょうちんになるところだった。

 

 剣術の授業も、前世が運動音痴だったので心配していた。だがひとまず問題はなさそうである。

 というより、この体はスーライトお姉様のブートキャンプにより体幹を鍛えられている。むしろ周りのご令嬢よりもかなり動けた感触だ。

 

 そうして楽しく過ごしているわけだが、楽しいことだけでもなかった。当然、厄介事はある。

 

 まず、あの問題令嬢……ガブリエラについてだ。

 

 初日に大食堂で絡んできて以来、直接言葉を交わしてはいない。だが、ディアマンテクラスの生徒と選択授業で一緒になったり、廊下ですれ違ったりすると凄い。

 ユレーナ情報によると、どうやらガブリエラが率先して私の悪評を流しているようなのだ。

 内容としては、あることないことを「他の者が怖がって言えないのなら私が言ってあげるわ!真実を!」というスタンスで広めているらしい。

 

 それが、元々のわずかに残っていた悪評と相まってめんどくさい感じになるのだ。

 

 目立ちたがり……、卑怯者……。

 そう言った言葉が囁かれる。

 表情筋のとぼしさからか、冷酷令嬢とか、根暗令嬢という単語もまだちらほら聞こえた。頑張って微笑みはキープするようにしてるんだけどなぁ。

 てか根暗と目立ちたがり屋って矛盾してるんだが、そこはいいのだろうか。承認欲求の強い根暗的な意味か?

 

 正直言って、小学一年生のちびっ子たちにこそこそ悪口叩かれたところでアラサーは痛くも痒くもない。頭を撫でてやりたいくらい、微笑ましいばかりである。

 

 むしろそういう場面では、ローリエ様やレティシア様、側近逹が頑張って寄り添ってくれたりするので、両手に花で役得である。……なんつって。 

 ま、オーキュラス家のためにもそう言った噂は撤回させないといけないので、お友達作りや勉強には力を入れていく訳だが。

 ……悪感情を持ってないっぽい子でも、なんとなくこちらを警戒していたり、雲の上みたいに見てくるせいでなかなか仲良しが増えないのが悩みどころだ。

 

 そして、もうひとつの厄介事。

 

 それは、この国の第二皇子であるアギレスタ皇子である。

少し時間が経ちました。

アリスに親密なお友達を増やしたいのですが、精神年齢と実績のせいで高嶺の花になっちゃってます。もしくはディアマンテクラスにより悪評を吹き込まれているかの両極端……。ぼっちじゃないのが救いですね。

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