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63 結果発表

「……次はここの示している言葉を考えてみましょう。これは―――」

 

 指定の教科書をペラリと捲りながら、担当の先生の声を聞く。

 今は文学の授業時間である。

 

 波乱の入学時テストはつい昨日のことだ。

 

 午前も大概だったが、午後の選択科目決めもこれまた異様だった。

 

 昼休み後、生徒が揃ったアウルムクラスの教室へとレイ先生が戻ってきたのだが、なんだか終始様子がおかしかったのである。

 考え事をしているような複雑な表情で教室に入ってきたし、午前の「明るい先生」って感じの軽い話し方は鳴りを潜め、より真剣に詳しく選択科目の説明を始めた。

 

 それを真剣に聞いた上で、真っ先に全選択科目の受講希望票を提出したのだが、それを受け取る顔などなにやら鬼気迫っていた。

 渡すこちらがビビってしまったくらいである。

 

「……よろしく頼むわね」

「……? はい。頑張ります」

 

 がしっと両手を握って真剣な眼差しを向けられたので、ひとまずこっくりと頷く。

 するとそんなレイ先生を見て、全教科にしようか迷っていた子供たちも続々と全教科で提出を始めた。

 

 まぁ、そうなるか。

 

 内申点なんてものがあるのかは分からないけど、こうも目の前で教師が良い反応をしているのだ。

 

 まだ幼いながらも、彼らも貴族の子供。場の流れを見て、勝ち組になれそうな潮流には乗るよね。

 

 見たところ、やる気のある顔で全教科を選んだのは4割、冷静に流れを見て選んだ者も4割。あと残りの2割は不安そうにしているので、なにか事情があり選べない子か、そもそもやる気の少ない子だろう。

 ちなみにレティシア様は大いに不安そうだったが、私たちがフォローする事を信頼して全教科を希望してくれた。

 

 その後は「テストの返却は夕食前、選択科目の受講希望結果は掲示板に結果を張り出す」と宣言され、解散となり……。  

 

 結果として私、ローリエ様、レティシア様の三人は全教科を受けられることになった。レティシア様は普通テストをギリギリ半分正解していたらしいから、その辺がボーダーラインなのかもしれない。

 放課後はちびっ子側近チーム+ヴィル兄様とも合流し、各自の時間割やスケジュールの共有をしてから大食堂の隅でプチお祝い会をした。


側近チームは、専門教科や時間の都合があり全教科を受けることは出来ない。だが、各々が取れる最大数の授業に応募し、受かったようだ。

 

 そんな昨日のドキドキそわそわと一転して、今の授業時間は穏やかである。

 クラスの全員が基本の読み書きがある程度出来ることを確認した後は、有名な物語の読み解きをしている。

 

 学園に入って最初の授業は歴史で、二限目はこの文学だ。

 異世界生活初の学校、異世界生活初の授業。なかなかに楽しく、そして真剣に臨んでいる。

 

 しかし私は、正直言って浮ついていた。

 

 だって、昼を過ぎたら…………。

 

 昼を過ぎたら、ついに。ついに、魔術学の時間なのであるっ!!

 

 あっ、いかんいかん。鼻息が……っ!

 

 ブヒブヒしそうになった鼻をすっと優雅な手つきで押さえる。ちらりと周囲を見たが、大丈夫。バレていない。

 

 基礎の基礎だけはスーライトお姉様から、そして素材の扱い方はヴィル兄様からたくさん教えて貰ったが、実践するのは入学してからときっちり釘を刺されてきたのだ。お預けってレベルではない。

 

 はぁぁん。はやく午後にならないかなぁ……。

 

 

ついブヒりそうになる主人公。果たして、本格的なファンタジーを目撃したらどうなってしまうのでしょうか。


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