みんなに慰められる
「ただいまー!」
僕がそう言うとドタドタドタという音が聞こえてきた。
「翔吾にぃおかえりー!」
「翔吾兄さんおかえりなさい!」
親戚の姉妹、小学六年生の神代杏奈ちゃんとその姉で中学二年生の神代咲希ちゃんだ。因みにこの子達は死んだ父さんのいとこの娘だ。
「おかえりー、翔吾!今日はどうだ………」
「あ、真理ねえさん。」
僕達の面倒を見てくれている叔母の神代真理ねえさんだ。
真理ねえさんは25歳という若さでありながら化粧品やアクセサリーなどの品を扱っている会社の社長だ。面接が嫌という理由で自分で会社を作ったらしいが、今、若い子達に人気のブランドだ。うちの学園の高等部や大学部の人達も使っているのを見た。
因みに叔母さんと呼ぶとめっちゃキレられるので注意が必要だ。
「し、翔吾!あんたどうしたの!?」
「え!?い、いや別に、な、何もないけど?」
「嘘。目元が真っ赤よ!誰に泣かされたの!?あたしが月に代わってお仕置きしてくるから!」
「翔吾にぃいじめられたの?ゆるせない!」
「翔吾兄さんを泣かせるなんて………これはもう産まれてきたことを後悔させるしか……。」
「ちょ、ちょっとそんなことしなくても大丈夫だから!」
「むー。」
「じゃなんで泣いてたの?」
「そ、それは陽子に………」
「あのクソ女!?あのクソが翔吾兄さんに何をしたんですか!?ま、まさか翔吾兄さんを振った……とか?」
「いや、まっさかー。翔吾を振るとかありえないでしょー。」
「いや、そのまさかです………。」
「「「…………。」」」
「あの女ゆるさない!」
「私達から翔吾兄さんを奪っただけでなく翔吾兄さんを傷つけるなんて………。」
「あの女………どうしてくれようか………。」
「ちょっと落ち着いて!もう気にしてないから!確かに最初は傷ついて泣いたけどもう気にしてないから!」
「嘘。今も泣きそうな顔してるわよ。ほら鏡。これで自分の顔を見てみなさい。」
真理ねえさんが鏡を見せてくれた。確かに泣きそうな顔をしている。そんな簡単には忘れられないってことか。
「よし!今日の晩ご飯はお寿司を食べにいきましょ!」
「おすし!?やったー!」
「けど、どうして寿司なんですか?」
「お腹いっぱい食べれば失恋なんて忘れられるわよ。」
「根拠は?」
「んなもんある訳ないでしょ。」
「早くおすし行こー!」
そんなわけで急遽寿司屋に行くことになりました。
「さあ翔吾。いっぱい食べてあんなやつのことなんて早く忘れちゃいましょ。」
「翔吾にぃ!いっぱい食べよ!」
「そうだね。そうするよ。」
「どう、翔吾?あの女のことなんて忘れられた?」
「うん。僕のためにこんなことしてくれてありがとね、真理ねえさん。」
「もーいつも言ってるでしょ!真理って呼んで?」
「いやでも………。」
「はーいそこまでですよ。真理さん。条約を破る気ですか?」
「そ、そんなことしないわよ………。」
「条約ってなんのこと?」
「「なんでもない!」」
「そ、そうっすか。」
でもみんなのおかげで少しは忘れられたかな。今度みんなに何かしてあげよっと。
作者は女心をあまり理解してないので変なところがあったらいつでも指摘してください。
こっちの小説も気が向いたら見てください。
https://book1.adouzi.eu.org/n9734ht/




