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錬金術使いの異世界美容師  作者: 伽藍 瑠為
2章「過去編」
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「それぞれの思い」

「それぞれの思い」





「行かせるか!!」



キリオは全力で走りながら壁に手を当て、廊下を走り逃げるジムに錬金術を使う。



「やっぱり来たか」



キリオの錬金術でジムの走る廊下の床、壁、天井が手の形へと変形し、ジムを捕獲しようとする。

迫り来る無数のキリオの攻撃を、ジムは避け魔法で破壊し、さばき、そして掻い潜り、近くの窓をウォーターボールで壊して外へと飛ぶ。



「逃すかよ!」



ジムを追いかけキリオも後方の窓から外へと飛び出した。

ジムは重力魔法の応用を使い、壁を地面にして走りキリオを牽制けんせいしながら逃げる。

キリオは錬金術で壁から足場などを作りながら同時に攻撃も行う。

高さ7階ほどの場所で2人は激戦を繰り広げていた。



「とまれぇ!!」



キリオはジムの足元から幾つもの棘を実現させるが、ジムは攻撃それを回避しては魔法で破壊し、破壊しては回避を繰り返す。

キリオは自分の移動用の足場も錬成しつつ、ジムへの攻撃を平行して行なっていた。



「……らちが明かない……」


「……突破口が見つかんねぇ……」



凄まじい攻防が繰り返される中、2人は広場へと移動する。



「キリオ! お願いだ! 行かせてくれ!」


「お前を思ってるから行かせられねぇんだろ!?」


「違う! 君が思ってるのは僕じゃないだろ?」


「はぁ!? 何言ってんだよ!? お前らしくねぇぞ!」


「らしくないのは君達じゃないかぁ!! アンがやられて何もしないの!? やり返したいと思わないの!? 僕が皆んなに相談した時にもっと何か手を打っていればアンは傷つかずに済んだんだぁ!!」


「ふざけんなぁ! 仲間がやられて俺だってイラついてんだぁ! でも相手がわからないのにどうやってやり返すんだよ!?」


「だからそれを確かめに行くんだろぉ!?」


「あぁ! わかってるよ! でもお前の言うフロウは今じゃない!」


「何が今じゃないんだよ!! アンは今も苦しんでんだよ!? 今この時を動かないでいつ動くんだよ!!」


「ジムなら国と国の問題ぐらいわかるだろ!? 俺達が勝手に事件を起こしていいはずがない!」


「僕は!! 仲間の為なら国だって敵に回したっていい!!」



その言葉にキリオは驚き、冷静に聞く。




「……本気なんだな?」


「……キリオが言ってる事もわかる……けど僕はそれよりアンが大切だ! フロウにどんな事をしてでも、絶対吐かせてやる!」


「……なら……俺はお前を本気で止める」


「……僕はアンを守る為ならキリオにだって容赦はしない」




その言葉を終え沈黙が続いた。

2人は今まで本気で戦った事がない。

そして、お互いが手の内知っている。

その為に2人は理解する。

躊躇してかなう相手ではない事を。

ありとあらゆる可能性の読み合いの末に先に動いたのはジムだった。



「燃えろ!!」



その瞬間、キリオの足元に魔法陣が浮かぶ。

キリオは瞬時に炎乃柱バーンピラーだとわかり回避し、その直後にキリオの先程いた場所には炎の柱が立つ。



『っ!? ジムのやろう!? これ本気の火力じゃねぇかよ!?』



しかし、ジムはもう片方の手で更に魔法を放つ。



鉄乃槍アイアンニードル!!」



土魔法で作られた尖った槍が凄まじい速度でキリオを襲った。



『 新しい魔法!? 物理攻撃かぁ!!』

「壁錬成!!」



キリオは瞬時に地面から壁を錬成し、防御する。

しかし、衝突と同時にキリオの造った壁に亀裂が入った。



『突破される!?』



キリオは横へと飛び出す。



炎乃雨バーンレイン!!」



気づけばジムの上空に幾つものファイヤーボールが用意され、ジムが手をかざすと同時にキリオに無数の火の玉が襲いかかる。



「これは見切ってる!!」



キリオは自分とジムの間に無数の壁を創り、高速で移動しながら火の玉を避け、壁を使い防ぎ、進んでいく。



「クソ!!」



ジムはフロウが捕らえられなくなる前にキリオをきたい。

しかし、キリオはジムの攻撃には当たらない。

ジムは苛立ちから大技を繰り出した。




「これで終われぇ!!」



ジムは両手を上げ、手の平に炎の魔力を力一杯に溜める。

それはジムが今出来る技の中で1番の強力な魔法。

ずっと必殺技として練習してきた魔法それは余りのエネルギー量に凄まじい轟音を立てる。

キリオはそのエネルギー量を感じ驚いた。



「バカ! そんなのぶっ放したらこの辺一帯が吹っ飛ぶぞ!!」



しかし、ジムはキリオに叫ぶ。



「……陽炎(君がわるいんじゃないかぁ)!!!」



そして、ジムは怒りに任せて力一杯に陽炎ソレイユをキリオに向かって放ってしまった。



「このばかやろぉぉお!!」



キリオは一か八かで賭けに出る。



「来い!! 剛鉄乃処女アイアンメイデン!!」



力一杯に魔力を込めて地面を殴ったその瞬間に青い電光が瞬き、轟音を立ててアイアンメイデンが完成する。

そして、扉が開き、無数の鎖が陽炎ソレイユに巻き付いてアイアンメイデンの中へと引きずり込もうとする。



「アイアンメイデンに僕の陽炎ソレイユが負けるはずがない!!」



陽炎ソレイユの高温でアイアンメイデンが赤く染まり溶け始める。



「まだだぁ!!」



キリオは更に魔力を力一杯込め、足元の地面が耐えきれずえぐれ、音を立てて逆立った。



「なに!?」



ジムは目の前の光景に驚いた。

キリオが出したアイアンメイデンの後ろに更に大きいアイアンメイデンが造られていた。



「二重のアイアンメイデン!?」

『 一つのアイアンメイデンでも苦労していたのにそれを二つも!?』


「うぉぉぉぉおお!」



キリオはジムの陽炎ソレイユを見て封じ込めるしかないと悟った。

しかし、アイアンメイデンの防御力を誇ってもジムの放った陽炎ソレイユのエネルギーに勝てないと理解し、そして考えたのが二重のアイアンメイデンだった。



「ぐッ!? このやろぉぉぉ!!!」



ジムの陽炎ソレイユに対抗出来る防御力に二重のアイアンメイデンの反動でキリオの皮膚に亀裂が入り血が飛び散る。

しかし、キリオはそれでも魔力を更に送った。



「来やがれぇ!! 処女乃宴メイデンフィースト!!」



その瞬間、ジムが気づいた時には遅かった。



「な、なんだって!?」



ジムの両手両足に紫に発光する鎖が巻き付いた。

後ろを振り返ればそこにはもう一つのアイアンメイデンが口を開けて待っていた。



「さ……三体……同時だと!?」



その瞬間、凄まじい速度でジムは引き摺り込まれ、アイアンメイデンの蓋が閉まり、ジムは閉じ込められたと同時にジムの陽炎ソレイユがアイアンメイデンの中で凄まじい爆発音と共に鎮圧された。




「……お、俺の……か、勝ち……だ……」



キリオは処女乃宴メイデンフィーストの反動から、そのまま倒れて気を失った。




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