第98話 アナタ様、それが作者の方の策略《ギミック》なんですよ!!
「何なんだよ……この光景は……」
オレは電池が廃棄されているというジャスミンの店裏の畑へと急ぎ走ったのだが、そこの光景を見て愕然としてしまい、お口をアングリと開けたまま固まってしまった。
どうして畑を見て固まっているかと言うと、こんな予想もできない光景が広がっていたからだ……
<明日の命の糧を得る最後の拠り所……『畑』>
畑の畝(土が盛り上がり作物を植える所)に、電池が所狭しとネギのように整然と植えられていたのだった。
そのあまりにもシュールすぎる光景を見せ付けられては、どんな言葉も発する事ができないだろう……。
「(な! こんなシュールな光景を『挿絵』として見せられたら、さすがの強者読者でもДっとお口開けたまま固まっちまうだろ? 違うかよ?)」
オレは読者と今のこの想いを共通認識させたかったが、生憎と読者からの作品に対する感想はなかった。
未だに「ぽか~ん」と口を開けながら、アホ面を晒しその光景を眺めていると後ろから声をかけられた。
「そうさねそうさね!! アンタ達が探してたのはコイツだったんだろ? 良かったじゃないか、探し物が見つかってさ!!」
っとアリッサは呆然としているオレの背中を叩きまくって、目当てのモノが見つかった事を自分の事のように喜んでいた。
「ごほっごほっ、アリッサ、オマエ叩くの強すぎっ!!」
対してオレはというと、アリッサの叩く強さが災いし咳き込んでしまう事を厳重に抗議するのだが、「おやそうだったかい?」っと何食わぬ顔でアリッサは華麗にスルーされてしまう。
そうこうするうち、他の仲間もぞろぞろと畑に姿を見せる。
「これはこれは、なんとも立派な畑なのですね! 手入れも行き届いていますし」
静音さんは一本の雑草なく、畑としてちゃんと整地されているのに感心していた。
「うむ! ここが『畑』というやつなのか!! 初めて目にするぞ!!」
天音は相変わらずのお嬢様ぶりで、踏ん反り返っていた。
「こ、これは見事に太く育ってますわね! (はぁはぁ)」
葵ちゃんは土から生えている太い電池に、息を切らせながら想いを馳せていた。葵ちゃんってば、電池にも反応するのかよ……。
「もきゅ~?」
もきゅ子は「これ何なの?」っと不思議そうな顔をして首を傾げていた。
「(まともな思考なのは、もきゅ子だけなのか?)」
オレは不安になりつつ、畑の所有者でこの光景を構築したジャスミンへと声をかける。
「じゃ、ジャスミン!! 何で動力源ってか、電池をご丁寧にも『畑』にネギみたく植えてるんだよ!? 使い方間違ってんだろうが!! 『ゴミ』として畑に投棄したんじゃないのかよ!?」
オレは自分が出来うる限りのツッコミをする。ここまでボケとツッコミが毎話毎話炸裂する作品も珍しいよな……っと心の中で思ってしまうほどだ。
「ふぇっ? お兄さん、ボク『動力源をゴミとして投棄した!』なんて一言も言った事ないけど……」
「はぁ? だって前に言ったよな?」
互いの認識の違いにより、オレとジャスミンは顔を見合わせて混乱してしまう。
「どうやらアナタ様とジャスミンの間には、認識の差異が生じているようですね。……それでは事実を確認する意味でもログってみましょうか♪」
静音さんはそう言うと、空中にバックログを表示させ確認作業をしていた。
「(おいそこのクソメイド!! これが小説だって分かってて、バックログを表示しやがってるのか!? 文字描写だけじゃこれを読んでる読者が理解できねえだろうがっ!)」
いつもいつもラノベ界の常識を無視するクソメイドに腹を立てたが、「どうせこのクソメイドに文句を言っても、聞いちゃくれねぇよ……」と諦めることにした。
「……うーん、どうやらアナタ様が間違っているようですね。この部分を見てください!」
っと静音さんは、第97話の本文をプレビューで見せてくれた。
そこには「どうやらこの世界の住人は電池の使い方が分からないからと、『ゴミ』として畑に投棄してしまったのかもしれない。」と書かれていたのだ。
「…………ボクじゃなくて、お兄さんが言ってるよね?」
「…………ほんとだな。何でオレはこんなセリフ言ってるんだよ……」
オレは見に覚えの無いセリフに戸惑ってしまう。……っとそこへ静音さんが補足説明をしてくれた。
「あ~っそれですか!? それは作者の方が読者を騙す策略技法の一つのようですよ。別のキャラにそれを言わせたと思わせて、実はアナタ様がそれを喋ってるように見せかける。そのセリフのすり替え技法によって『伏線』を構築しているようですよ」
っとまたもや静音さんは補足ネタバラシをしてくれたのだった。
「マジかよ……それが本当だとしたら、自分自身ですら信用できねえじゃねぇかよ……」
常に読者の方々を罠に嵌める事を考えつつ、悠然と第99話へとつづく




