第93話 メインヒロインだから許される傲慢さも、時にはある
「ちっ……アンタらまだ時間かかんのかい!? 早くおしよ!!」
アリッサは店内でいつまでも聖剣フラガラッハの『動力源』とやらを探すオレ達に対して、不満を漏らすように舌打ちをしてイラついていた。
トントン、トントン……。指で組んでいる腕を叩き、今度はドンドン、ドンドンっと右足を踏み鳴らしていた。もう挿絵の必要がないくらい、文字だけでもイラついてるのが見て分かる。
正直もしアリッサと知り合いじゃなかったら、すっごく怖いと感じてしまうだろう。
まぁでもアリッサはチョロいヒロインだから、オレが強めに言えばたぶん黙るだろう。だがこちらとしても非があるわけで黙らせず、急いで動力源とやらを探すことにした。
「随分待たせちまってわりぃなアリッサ! 今すぐ探すからよ、もうちょっとだけ待っててくれよな!!」
アリッサは店を放り出してまでずっと待っててくれたのだから、そう少しだけ強めにアリッサに謝ることにした。
……すると、
「わ、分かればいいんだよ……分かれば、さ(ぷ、ぷい)」
強めに出ると、少し頬を赤らめてデレ期に突入してしまうチョロイン代表アリッサがそこにはいた。
「(おい! アリッサお前あまりにもちょろすぎんだろうが!! ……まぁオレはそんなお前も好きだけどな!!)」
などとベットヤクザぶりを発揮しつつ、本来の目的物を探すことにした。
「説明ばっかでわりぃなジャスミン! オレ達この剣の『動力源』ってヤツを探しにお前の店に来たんだよ! もし知ってたら教えてくれねえかな?」
天音が腰に携えてる剣を指差して、この店の主ジャスミンに質問をしてみた。
「あっそうだったんだ! もちろんOKだよ! ボクに判る物なら全然平気平気♪」
そう言うとジャスミンはカウンターの内側に回って、カウンター脇に置いてある引き出しから眼鏡を取り出しかけた。どうやら片眼鏡なのか、ジャスミンは右目だけに装着した。
その姿はいかにも調度品を扱う鑑定士にも見える。
そしてカウンター上に厚手の布を引いたり、何枚も綺麗な布を出して準備をしていた。
たぶん引いた厚手の布は剣に傷がつかないようにとの配慮だと思う。他の布も汚れを拭くのにでも使うのだろう。
「(片眼鏡をかけた幼女……か。チクショーカワイイなコノヤロー!!)」
どうやらオレには眼鏡属性だけでなく、プラス幼女属性の性癖まであるようだ。
「とりあえずどんなモノを『動力源』に使ってるのかな? 『火属性』? 『水属性』? もしかして『無属性』とか『闇属性』じゃないよね? さすがにそうゆう特殊なのは、ボクの店でも置いてないからね!」
ジャスミンは道具だけでなく、剣についても詳しいようだ。まぁこの聖剣フラガラッハは魔力を使い『火力』を得てるらしいから、たぶん動力源は『魔法石』で合っているだろ。ただ、何の属性かまではオレは知らなかった。
だが天音が意思を乗っ取られた時には、火と稲妻のようなモノが剣身に渦巻いていたから……だとすると『火』と『雷』って事になるのか?
ただ素人判断で決めるわけにもいかないので、とりあえずジャスミンに剣を見てもらう事にした。
オレだけでなく、天音・葵ちゃん・静音さん・そしてもきゅ子やアリッサまで、ジャスミンとは反対側のカウンターに集まるような形になっていた。
「さぁてと、準備できたよお兄さん! じゃあ剣を見せてもらうね♪」
カウンター上には先程の布だけでなく、虫眼鏡や古い本などが置かれていた。
「(虫眼鏡は使うから判るけど、何で古めかしい本を出したんだ?)」
そう疑問に思ったが、意味があるのだろうと納得した。
「天音……」
「うむ!」
天音に声をかけジャスミンに剣を渡すように頷くと、天音も納得したように頷きジャスミンへと剣を差し出した。
「これは代々勇者だけが扱えると言われ、受け継がれてきた気がする聖剣なのだから、くれぐれも大切に扱ってくれっ!!」
バンッ!! そう天音は言ったのだが、ジャスミンがいるカウンター上に、叩きつけるように聖剣を荒く置いたのだった。
「(おい天音! 大切に~とか言ったわりに自分やる分ではいいのかよ!?)」
「は、ははっ……そ、そうなんだぁ……」
さすがのジャスミンでも、天音の傲慢さには若干引き気味のご様子。いつも愛想良く笑っていたジャスミンだったが、この時ばかりは酷く乾いた愛想笑いを浮かべていた。
「(ほんと天音は出逢った当初から、まさに地で行くを貫き通しているよねぇ~。あと『~気がする』とか強調されてるけど、それって気分の問題なのか? 明日には『気がしな~い』とかならねぇよな?)」
次の話にいく気がする~と本文末に書きつつ、第94話へとつづく
※地で行く=飾らない本来の姿




