第92話 ネタバレも読者にバレなきゃ、ネタバレじゃない!!
「あれ? でもよジャスミン……水を差すようでわりぃけどさ、この魔法石って使う時には壊して使うんだったよな? ならこんな風に首飾りみたく綺麗に加工する意味ないんじゃねぇのか?」
始めから壊すこと前提なら、加工する意味が無い。いや、むしろ加工しただけ値段が高くなるのだから、買いづらいし逆に売りづらくもなると思ってしまう。
「ちっちっちー! お兄さんはあまりにも現実主義すぎるよ。そりゃもちろん、壊さないと使えないよ。でもね、こうして加工するとただの便利アイテムだった物が、こうして加工して宝飾品になると高く値段が盗れるようになるんだよ♪」
そうゆうジャスミンは少しだけ悪い顔をしてみせた。その顔はまるで、時代劇に出てくる山吹色のお菓子を悪代官に渡す、あくどい商人と重なってしまう。
また漢字も『取れる』じゃなくて、『盗れる』と盗み表現なので余計そう思ってしまった。
「あっ! も、もちろんそれだけじゃないんだよお兄さんっ!! こうして首飾りとして着けてると、剣や弓などの武器や魔力が尽きても、いざって時に役立つ事もあるしさ! それにこうゆうのは女の子に贈り物として渡すでしょ? 当然喜ばれるし、モンスターだけでなく暴漢に襲われる時にも役立つんだよ!」
っとジャスミンは悪い顔をしてたがバツが悪いのか、慌てて言葉を繕いフォローをした。
「あ、ああ……うん。分かった。よく分かったからさ、ジャスミン」
オレはジャスミンの誤魔化す勢いに気圧されて、たじろぎ納得したように頷いた。
そして話を逸らすため、別の商品へと目を向け話を振ることに。
「あ、あれージャスミン~。これも魔法石なんだろうぉ~? こんな欠片で使えるのかー?」
オレは思いつくままの言葉を口にし、なんとか誤魔化そうとする。
「アナタ様、そのセリフの棒読みは主人公にしてはあまりにも酷すぎますよ。もうちょっとどうにかならないのですか?」
オレの大根演技に対して、隣の棚で商品を見ていた静音さんが赤頭巾の如く、全身黒服のメイドが茶々を入れてきた。
「(うっせーよクソメイドがっ!! んなもんオマエに言われなくても解ってるさ!! オレだって頑張って役割りを演じてんだから、少しは大目に見てくれよ(泣))」
クソメイドに言われ心が折れそうになるどころか、既に粉末状になってしまうのをなんとかして持ち堪えようとする。
「あ~それね。欠片でもちゃんとした魔法石なんだよ。ただそっちは用途が違うんだよお兄さん」
ジャスミンとも利害が一致し、オレの大根演技には敢えてツッコミを入れず話に乗っかってきてくれた。
「ちっ……」
「よ、用途ぉ~?」
静音さんの舌打ちが聞こえて内心焦ったが、敢えて見送りジャスミンと本編の話を進めることにした。
(魔法石って戦闘以外にも用途があったのか? ……あっ、いや前にジャスミンが説明してたよな?)
「た、確か……コンロで使う『火』やランプなんかの『灯り』にも油なんかの代わりに使われてて、家庭用としもて応用されてるんだよな?」
「お兄さんよく覚えてたね、正解だよ!!」
ふぅ~っ、なんとか正解を得ることができたようだ。オレだってやればできるんだよ! ……まぁほんと言うと毎回ログってるだけなんだけどね。だがしかし、そのようなネタバラシだけは読者のみんなには秘密だからな!!
「それで家庭用のは、何で『塊』じゃなくて『欠片』を使ってるんだ? ……それにも何か理由があるんだよな?」
じゃなければ、塊のままの魔法石と欠片の魔法石その両方を棚に並べて置く理由がないだろう。
「うん。もちろんそれにも色々と理由があって、魔法石の塊のまま使うと出力が強すぎたり、逆に出力が出なかったりするんだよ。だから家庭用には、最初から割って欠片にしてあるのを使うのが一般的なんだよ。戦闘時には1回限りの使い捨てだから必然的に威力が必要になるけど、家庭用のだとちょこちょこ使えるよう出力を抑えてるよう欠片にして、便利に何回でも使える方が何よりもリーズナブルだしね!」
ジャスミンの説明を聞いて理解できたが、よくよく考えれば筋が通った話だった。
「ほんとに色々あるんだなぁ。確かに戦闘で使うまんまコンロやランプに入れたら、強すぎると家燃えちまうかもしれねぇしなぁ」
魔法が使えない人でも扱えるのだから、もし取り扱いを誤ったら危険すぎる。たぶんそうゆう意味も含んで家庭用には欠片を使っているのかもしれない。
常に読者の方々にネタバレせぬように画策しつつ、第92話へとつづく




