第90話 アナタ様! 共に書籍化を目指しましょうね♪
前回までのあらすじ!!
ジャスミンから魔法石についての説明を受ける最中、この世界に住む住人の生活について考えさせられ、「もしかしたら、静音さんが金に執着するのにも何か理由があるんじゃないのか?」そう思い、静音さんに質問をしたのだったが……
「アナタ様、やはり『ででーん♪』がよろしいですかね? それとも最後に『でん?』っと『♪』ではなく『?』で外しを入れる方が無難でしょうか?」
静音さんは何故か、呪われる効果音の表現の仕方に酷くご執心の真っ最中のようだ。「んなもん知らねぇよっ!」っとの読者の心を察したオレはこう答えることにした。
「静音さん。そんなの言い方次第だしさ、どっちでもいいんじゃないのかなぁ? ……はぁ~っ」
すっご~~くどうでもいい事に拘ってる静音さんに対して、オレは呆れるように肩を竦め、ため息をつきアピールをする。
「アナタ様!! アナタ様は何を仰っているのですか!! これはとてもとても大事なことなのですよ!!」
静音さんは今までに無いほど、真剣に、そしてとても余裕がない表情をしてオレへと迫ってきた。
「は、はぁ??? な、何でそんなのが大事なんだよ!? 『音符』だろうが『疑問符』だろうが、そんなのどっちでもよくないか!?」
(どうせ効果音じゃなくセリフなんだから、アニメ化した際の制作費削減だかもできるんだろ? だったらいいじゃねぇかよどっちでも。むしろワード増えるなら声優さんのギャラも増えて、逆に喜ばれるんじゃねぇの?)
その静音さんの勢いに押されまいと、そう反論してみせる。
「アナタ様が今心の中で仰った、コストカット・ギャラうんぬんと言う話もそうなのですが!! ……もし仮に。仮にですよ? 書籍化が決定した際に読者から、『これ著作権違反じゃねぇ?』っとクレームが来たら、ハシゴ外しのように書籍化をも取り消されてしまうのですよ!! しかもある程度話が進んでいた場合『賠償』な~んて怖い事になる可能性もあるのですよ!! そんなことになったら、アナタ様は怖くないのですか!?」
「す、すっげぇこえぇな!! 書籍化取りやめだけでも、恐ろしいのにその上で賠償問題とかさ。し、静音さん……今の話……真剣の話なのか?」
オレは静音さんの話が俄かには信じられず、またもや勝手にオレの心の中を読解された事に対して突っ込むのを忘れてしまう。
「……ええ。残念ながら……ワタシはそうゆう目にあった何人もの作家さんを、このすべてを見通す二つの眼でしかと見てきました」
そうゆう静音さんの目はまさに目が点状態だった。たぶんさっきの話は真剣の話なんだろうけど、その目ですべてが台無しになった気がしたのは言うまでもない。
だがしかし、万が一にもそのような事にならぬよう、最善の注意を払う必要はあるだろう。宗教の洗脳ばりにそう思い込むことにして、静音さんの忠告を鵜呑みにすることにする。
「静音さん。オレにはあんま難しいことはよく分からないから、そうゆうのは全部静音さんにお任せでいいかな?」
「あっはい。もちろんですよアナタ様♪ もしかしたら、初めてアナタ様から頼られた気がして、少しだけですが……嬉しいですよ(照)」
静音さんはオレに初めて頼られ、照れくさいのか少し頬を赤らめていた。
「えっ? あぁ……そうだっけ?」
(オレ困った時に毎回静音さんに頼ってた気がしたが……あっいや、いつもいつも頼ってもロクな結果にならなかったから、静音さんもよく覚えていないだけかもしれないな!)
「ええそうですよ! だっていつもいつもアナタ様から頼られてもワタシはアナタ様を陥れることばかりしか頭にありませんでしたもん! ……ですが、ようやく心を共にして書籍化までの旅を続けていけますね♪」
静音さんはそう早口で句読点なしで捲くし立てると、握手を求めるように右手を差し出してきた。いきなり差し出されオレもそれに応えるように、右手を差し出し握手をしようとする。
「アナタ様! これからもよろしくお願いしますね!」
「静音さん! これからもよろし……んっ???」
握手をしようとした瞬間、『何か』違和感のようなモノが引っかかった。……それは静音さんが句読点ナッシングで早口で捲くし立てたセリフ部分だった。
「……アナタ様どうなさったのですか? さぁ遠慮せずにワタシの手を握り、握手をいたしましょう♪」
「ほれ、さっさと右手を差し出しやがれ!」っと言わんばかりに、静音さんは右手を握ったり開いたりしていた。
オレはそれを無視するかのように、差し出した右手を引っ込ませ、静音さんのさっきの早口の部分を思い出す。
「…………っ!? し、静音さん!! アンタ、オレを陥れることばかり考えてたのかよ!?」
「あっそこに気付かれちゃいました? 早口で捲くし立てたら誤魔化せるかなぁ~っと思っていたのですが……ええそうですよ♪」
すっげぇ屈託無い笑顔を覗かせる静音さんの姿がそこにはあった。
「(マジかよこの女。この静音さんがオレの事を陥れようと画策していたから、毎度毎度酷い目に遭ってたのかよ!?)」
とは心の中で思っても「それってさ、いつものことじゃねぇ?」との、このあな嫁を読んでいる読者の心の声でどうにか納得し、物語を進めることにした。
常に『本編ストーリー』と『スタンド・アローン・シナリオ』が入り乱れつつ、お話は第91話へとつづく
※S.A.S.=あな嫁独自の語句。本編にはかからないサイドストーリーを指す




