第81話 薬草について:その3『自然回復ってなに?』
「ちなみにだけどさ、この『かいふく草』ってのはどこから調達するんだ? 山とか森にでも行ってジャスミンが取ってくるのか?」
「うんそうだね! 『かいふく草』くらいなら、よぉ~~くっと探せばどこにでも生えてるものだからね。ただ『貴重な薬草』とかは他の商人や旅をしている行商人から仕入れるのが1番かなぁ~」
「うん? 貴重な薬草って? 薬草にも種類なんてあるのか???」
「ふふっもちろんあるよお兄さん♪ ほらこれを見て」
ジャスミンに促されるまま、棚を見る。
「ウチで主に扱ってるのはこの4種類なんだよ~♪」
「ほら見てよお兄さん♪」っといった感じで手にとり、4種類の薬草を見せてくれる。
「へぇ~、この赤のは一際目立つけど、この緑色の2種類なんかほとんど見分けつかないよなぁ~」
通常の『かいふく草』と呼ばれるモノは鮮やかな緑をしていた。同じように緑色ではあるが、どちらかといえばお茶の葉に近い色のモノもあった。こうして2つ並べればなんとなく違うと判断できるが、これがもし森や山に生えていれば、とてもじゃないがオレでは2つを見分けることは難しいだろう。
「これは……色が違うだけじゃなくて『効能』ってヤツが違うのか?」
オレはそうだろうとは思うけど、確認の意味も含めて説明してもらうようジャスミンに聞いてみることにした。
「お兄さん正解だよ~♪ さっきも言ったけど、この深い緑色をしたのは『かいふく草』で主に体力回復や体の疲れを取る効能あるんだよ。で、こっちのちょっと見分けがつかない青色をしているのは『ちんせい草』って言って、主に『精神ポイント』を回復させる効能があるんだよ。これは魔法を扱う『魔法使い』『僧侶』『賢者』なんかの人に1番重宝されるアイテムだね。何せ精神ポイントってのは体力と違って、すぐには回復しないからね! 特に戦闘中には絶対に『自然回復』できないと思うし」
<かいふく草>
食べたり貼ったりすり込んだりして、主に体力回復や体の疲れを取る効能がある。
そこらに生えていてとても安価である。
<ちんせい草>
食べると鎮静作用により、心を落ち着かせ『精神ポイント《MP》』を回復させる効能がある。
だが、自生場所が限られなかなか見つけることができず高価である。
「えっそうなのか? ってことは体力なんかは『自然回復』するってことか!?」
「ま、自然回復と言ってもある程度ってことだよ。疲れて歩けない人が休めば少しは歩ける。そんな程度には回復するってこと!! だからあんまり過信しない方がいいよね」
自然回復ってのは息をつく程度には……という気休めの意味のようだ。
「じゃあ、精神ポイントは戦闘中には自然回復しないってのは?」
「……ふふっ」
何か知らないけど、ジャスミンに笑われてしまった。「よっぽど変なことを言ったのかなぁ?」っと首を傾げていると、ジャスミンが説明してくれた。
「ご、ごめんねお兄さん、笑っちゃって」
「いや、たぶんこの世界なら常識的なことなんだろ?」
別の世界から来たオレは知らないことばかりだった。もちろんRPGなどのゲームをしているからある程度は知っているのだが、かいふく草のように実際の扱い方などは知らなかった。
「ジャスミン説明を続けてくれるか?」
「うん♪ えっとね、お兄さんは戦闘中に心が休まるかな?」
「はっ? 戦闘中に? あっいや、オレまで戦闘したことねぇし……」
したと言ったらクソみたいなチュートリアルだけだしな。そもそもボタン押してりゃ勝てるとか静音さんに言われたくらいだ。
「だから、もしもの話だよ~」
「あ~……戦闘中って事は、目の前に魔物なんかの敵がいるわけだろ? それも敵を殺すかオレが殺されるかとかそんな戦いの最中で……そんなんで体力どころか心なんか休まるわけねぇよな?」
オレはジャスミンに対して「何言ってんだコイツ?」っと思ってしまった。
「そう! それなんだよ!! 『魔法使い』なんかの職業の人が使う魔法には必ず精神ポイントってのが必要でしょ。そもそも精神ポイントってのは、なんだと思うお兄さん?」
また質問に質問で返された。オレは疑問に思いつつも、考えたまま答えた。
「精神ポイント……精神って言うんだから『精神』の値なんだろ?」
「じゃあ『精神』ってのは?」
「精神? …………あっ!! 心だよな!!」
「そう! ふふっようやくその答えに辿り着いたねお兄さん♪ 敵が目の前にいるのに、心が休まらない。だから戦闘中は精神ポイントは自然回復しないのさ♪ まぁ例え戦闘以外の場合でも、ちゃんとした安全を確保した場所で。しっかりと休息を取らないとほとんど回復しないけどね!」
「ほぉ~、でもこの『ちんせい草』だっけか? これを食べるか貼るかすると精神ポイントが回復するわけなのか?」
「うん♪ 正しくは『食べる』が正解だね。精神には外的要因の傷口なんてモノはそもそもないしね。食べると強制的に精神つまりは心を落ち着かせることができるんだよ♪ ま、その分『かいふく草』のようにどこにでも生えてるわけじゃないから、とても貴重なモノなんだよ。それに『かいふく草』は1つ5シルバーと格安だけど、この『ちんせい草』はなんと…………」
ジャスミンはものすご~~っく引っ張った。そんなに高いモノなのかもしれない。
「ごくりっ」
オレはツバを飲み込み、その高い値段とやらを待った。
「……1つ100シルバーなんだよ!!」
ジャスミンは両手を広げオレへと突き出してきた。たぶん、指が10本で100シルバーと言い表したいのだろう。だが、オレの反応はジャスミンが期待していたのとはたぶん違う。
「1つ100シルバー…………ね」
とっても熱がこもってジャスミンは値段を言ってくれたのだが、オレは「ふぅ~ん、そうなんだぁ~」くらいの反応しかできなかった。なぜなら……、
「(ごめんなぁ~ジャスミン。きっとその値段はすっごく高いんだろうけどさ、オレにはそれが高いのか、安いのかすらわかんねぇんだよ)」
そうそもそも主人公には、この世界の貨幣価値とかそんなモノを知らなかったのだ!!
ジャスミンが両手を広げ突き出したまま、お話は第82話へとつづく




