第80話 薬草について:その2『効能と服用時間』
「お兄さん!」
ジャスミンは「ボクは全部見抜いてるんだよ!!」っと言った感じでオレを呼んでいる。だとするとオレに残された手段はもう一つしか残ってなかった。
「ご、」
「ご?」
「ご、ごめんなさい!! 見栄を張りました!!」
「まったくもう~……そんなつまんない意地張ってたら、戦地では死んじゃうよ!!」
ジャスミンにすっごい怒られた。確かに戦闘の要である『回復』の用途が分からにゃ、死ぬだろうな。オレは納得し、つまらんプライドをかなぐり捨てその三つの用途とやらの説明を聞くことにした。
「ごめんジャスミン! 頭の悪いオレにはかいふく草の3つの用途とその意味がまったく理解できないんだ! 悪いけど詳しく説明してくれるかな……頼むっ!!」
オレは頭を下げジャスミンに詳しい説明をしてくれるよう頼み込んだ。
「あわわ、お兄さんそんな頭なんか下げないでよ!! 説明くらいならいくらでもしてあげるからさ!!」
「そんなことされたらボクの立場がないよぉ~」っと困った顔をして、オレに顔を上げるように言ってくれた。
「んっんーっ。じゃあ、詳しく説明するね! 結構重要なことだからちゃんと覚えておいてね♪」
ジャスミンは気を取り直すように、咳払いをすると詳しい説明を始めてくれた。
「まずだけど3つの用途の違いは、『効能』と『効果が現われるまでの時間』が違うってことが1番違うかな」
「『効能』と『効果が現われるまでの時間』?」
時間は理解できるのだが、その『効能』ってやつの意味がよく理解できなかった。
「でもよ。同じ葉っぱなんだよな? それで『効能』とやらが違ってくるのか?」
「うん、もちろんだよ! まず1つ目の直接食べる事、これが1番効能はほどほどかな。次に2つ目の直接貼る事、これは普通の効果だね。で、最後3つ目のすり潰してから傷口にすり込む方法、これが1番効能が強いやり方だね」
「う、うーん???」
ジャスミンが説明してくれたのだが、イマイチ違いが理解できなかった。
「うん? まだ理解できない?」
「ご、ごめん……」
謝ってばかりいるオレがいる。
「いいよいいよ。……三つ目が一番効能があるってのは理解できるよね?」
「ああなんとなくだけどな。二つ目の葉っぱのまま貼るよりも、すり潰してからの方がより吸収というか効果が出るような感じはするわ」
「お兄さん大正解~♪ 葉っぱのまま貼っても効能は得られるんだけど、すり潰してからの方がより早く効くし、それ以上血が出なくなる止血効果も期待できるんだよ♪」
「お兄さんだってこうして考えれば、ちゃんと理解できるじゃない♪」っとジャスミンから褒められた。それがなんだか嬉しい。
だがそこでまた新たな疑問が生まれた。
「うん? なら最初から三つ目のすり潰してから使えやいいんじゃないのか? だってそれが一番効能があるんだろ?」
「ふふっ、そこがポイントなんだよお兄さん♪」
「やっとで気づいたお兄さん?」っと得意げな顔をするジャスミン。
「確かに三つ目のすり潰してからが一番効能があるけど、使うのはどんな時でしょう?」
「使う時??? 使う時って……そりゃ敵からダメージを受けた時だよな?」
「はい正解!! でもさお兄さん、戦闘中にかいふく草なんかをすり潰してる暇があると思う?」
「ああっそうか!! 戦闘中は敵と対峙してるわけだから、とてもそんな時間ないよな? あれ……でもさ、だったら戦闘前に用意しとけばどうなんだ? それなら問題ないよな?」
「ちっちっちーっ! お兄さんは甘いねぇ~。かいふく草なんかの効能がある葉っぱってのは、すり潰すと時間経過と共に効能が劣化していくんだよ。もちろんすり潰してから瓶などに詰めて保存する事もできなくはないけど、それでも効能はどんどん落ちていくしね。やっぱりすり潰した直後が一番効能を得られるんだよ♪」
「あー効能が劣化するのか! ちなみにどれくらいで劣化しちまうんだ?」
「うーん、湿度や温度・葉っぱの状態にもよるけど、半日は持たないはずだよ」
「半日かぁ。……事前に戦闘するって判ってれば、できなくはないけどそれでも劣化するんだもんなぁ~」
「そりゃ無理ってもんか……」と納得をした。
「じゃあ一つ目の食べるってのは……」
「直接食べるやり方だね! さっきも言ったけど、ものすご~~~っく苦いんだよ。あと食べると効能を余すことなく得られる代わりに、吸収時間がかかるわけ。止血効果もあるけど、今血が出てるってのに効くのがずっと後からじゃあんまり意味がないしね。ま、ただ戦闘前に食べておけばダメージを受けても、血が出にくくなったり、止血効果もあるからまったくの無意味ってわけじゃないんだよ」
「へぇ~、直接食べると時間差で効果が現われるわけなのか! ボス戦みたいにダメージを見越して、先取りで回復できるのはありがたいかもしれないな!」
「まぁ後は疲労回復なんかの効果もあるから、日常的に使われることもあるね」
「結局はどれが一番良いんだ? やっぱり時と場合によるのか?」
「うん。まぁ……そだね。ただ旅でしょ? それなら荷物はできるだけ少ない方がボクは良いと思うんだよね。瓶に詰めて何個も持ち歩くと重くて疲れるし、何より戦闘時にはその分動きが鈍くなるわけだし、逃げる時にだって邪魔になる可能性もあるし。結局は葉っぱのまま持ち歩いて、状況に応じて用途を決めるしかないと思う。
もちろんボクの店や他の所でも売ってるようなモノだし、旅先でもそこらを探せば生えてるはずだしね。あんまり多くは買い入れない方が無難かな。でもお兄さん達見たところレベル低そうだから、そうなると敵から思ってる以上にダメージを受けることもあるかもしれないから、少し余分に持ってた方がいいかもね! それに調達しようと思っても周りに生えてない場合もあるかもだしね!」
「なるほどなぁ~。色々あるんだなぁ~」
こうして薬草一つとってみても、まだまだ知らないことばかりだった……。
常に文字稼ぎしつつも、第81話へとつづく




