第70話 見たければ、好きなだけ見るがいいさっ!!
前回までのあらすじ!!
アリッサは金を貸してやるから代わりに保険の意味で、担保を差し出せと言ってきた。だが、静音さんは意図して担保を『タンポン』っと言って……ってなんだか説明するのも馬鹿らしくなってきたわ!!
オレは前回のあらすじを紹介するのが馬鹿らしくなり、早々に切り上げ横でポンポン談義をしている静音さんを回避しつつ、本筋のアリッサに聞いてみた。
「アリッサ。何を担保にすりゃいいんだ!? もきゅ子はダメだし。それに……」
「そうさね。……やっぱりあの赤いのが携えてる『剣』がいいかね」
やはりアリッサは天音の剣が欲しいようだ。武器屋をしているから気になるのだろうか?
「あっいいよー」
「待て待て天音!! オマエいつからそんな軽い女になったんだよ!! あとその面白顔はマジでやめろ!! それも静音さんの影響か!?」
ほぼほぼヒロイン達が尻軽になり始めてきたが、毎度毎度そこを拾うとオレの気苦労が堪えないので受け流し、気を取り直してアリッサとの商談を進めることにした。
「いや、でもそれだとっ!!」
「おっと、ちょい待ち。アンタ気が早すぎるんだよ。別にあの剣を売れとは言ってないさね」
否定文を繰り広げるオレに対して、「まずはあたいの話を聞きな!」っと落ち着くように諭した。
「……では、アリッサはどうしろと仰るのですか?」
オレに間を置くよう、ようやく正気(?)に戻った静音さんが先に質問をしてくれた。
「あの剣を売るんじゃなくて、あたいに『担保』として預けるのさ。アンタらこの世界のcaparra略して『CPR』ってシステムは知ってるのかい?」
「へっ? か、カッパだぁ?」
アリッサが口にした言葉は、そもそも聞いたことがない言語で、どうゆう字なのか解らずに誤字変換してしまう。
「なんだそれ??? 聞いたことない言葉なんだけど……カッパがこの辺にいるの?」
「こんな異世界にもカッパいるのかぁ~」っとイタリア人みたく暢気に思ってると、くいくいっと服を引っ張られた。
「(アナタ様アナタ様。カッパではなく、『caparra』とはきっと質草、つまりは『質屋のシステム』を指しているのではないかと思います。たぶんこの世界独自の言い回しではないかと)」
アリッサの言葉を理解できなかったオレに、静音さんが小声で補足説明を入れてくれた。
「質? 質って確か……」
『質』とは、お金に困った人が借りるお金以上の価値のモノを担保として相手に預け、お金を借りるまたは得る仕組みを指す。「それって普通じゃねぇ?」っと思うかもだが、質という仕組みは一味違うのだ。
借りた側が借りたお金を返せる場合は、貸し金にプラスして利息も支払う。で、返済が終われば担保として預けたモノが戻ってくる仕組みなのだ。
だが、もしも借りた側がお金を返せなくなった場合でも、貸した側は既に担保にしたモノで代物弁済してもらうことで、貸し借り両者の関係はそこで終わるのだ。
だから貸す側としては、最初に利息込みでお金を貸す以上の価値のモノを最初に担保として預かるのが一般的なのである。
そうすれば例え借りる側が返済したとしても、逆に返済できなかったとしても、貸す側にデメリットというマイナスは存在しなくなる。
「ま、CPRの仕組みはこんなもんさね」
アリッサが長々とCPRつまりオレ達の世界で言う『質屋のシステム』を説明してくれた。まぁ実際はオレの目の前にヘルプ画面が出てきて日本語表記で「カッパだ!! ついにカッパが出たぁ~♪」っと陽気に説明されただけなんだけどね。
「(……ってか本来ならこれは静音さんの仕事ではないのか? 最近『楽』を覚えたようだかまた手抜きに走ってるのかな?)」
そんなことを思いつつ、アリッサと話す。
「……で、アリッサはいくら貸してくれるんだ?」
「うーん。それは剣の状態を見てみないとわからないね。中には『見た目だけ豪華な剣!!』ってのもあるしねぇ~。まずはあたいが目利きしてからの話だよ」
「それもそうだよな。この世界では『魔王軍』なんてのが存在するんだもんな!」
オレはそんな『設定』を思い出すかのように、これを読んでる読者へと知らしめた。
<鋼の剣>
この世界での『剣』の役割とはお飾りなんかの装飾品的存在よりも、むしろ実戦的意味合いの方が強いのだろう。
剣の実戦的意味合いとは、剣身本体の『切れ味』から始まり、腐食や剛性などに対する『耐久性』、重さやリーチ(間合い)などの『扱い易さ』が主な重要項目である。
また剣には攻撃だけの意味に留まらない。相手の攻撃を防ぐ『防御的』の役割も兼ね備えているのだ。
相手の攻撃を剣身で受け止める。これも『防御』だろう。だが、相手が攻撃する前に相手を攻撃をするのもまた防御に値する。『攻撃は最大の防御なり』とはよく聞く言葉だろう。
それに鞘にも防御的役割が備えられている。剣身同様に相手からの攻撃を受け止めることもできるし、利き手とは逆に持つことで二刀流にもなる。
もちろん鞘では相手にダメージを与えられないが、その分相手の『間合いを潰す』ことができるのだ。
敵と戦う上で、相手に気持ちよく攻撃させないのも戦闘を勝利へと導くことになる。
<鋼の盾>
これは『盾』を使った場合でも同様である。まぁ盾の方が面積が大きい分防御にも優れてはいるし、相手の間合い『空間』をより広く潰すことができ、戦闘を有利に進めることができる。
だが、その分盾は重量があるのだ。また表面積が大きい分振り回しにくさがあり、足運びなどの立ち回りが重要にもなる。価格も剣と同等ほどの金かかってしまうのも難点だ。
また剣ならば攻撃も防御も兼ね備えているが、盾は防御のみに特化している為、資金に余裕がない初心者の冒険者には『防具よりもまずは武器を買え揃える!!』っと言う人が多く、後回しにされてしまい防具を持たないまま冒険へと出てしまい、結局はモンスターの餌食になってしまうのだ。
これは防具の重要性を軽視した結果なのだろう。
そして剣身には加工調度(加工のしやすさ)などもあるだろうが、今はあまり関係がないので割愛する。
「ふむ! 見たければ、好きなだけ見るがいいさっ!!」
そう声を高らかに天音はアリッサの目の前まで出向き、ダンッ! っという音と共にカウンター上に聖剣フラガラッハを置いた。
「な、なんだか偉そうな娘だね。もしかしてこの娘は貴族か何かなのかい? 王族出身ってわけでもなさそうだし……」
天音のお金を借りる側なのに、すっごく偉そうで傲慢な態度に対して若干引き気味になってしまうアリッサ。
「(いやいや、アリッサだって初登場シーンではこんなもんだったよ。それで人の事言えんのかよ……)」
っとは思っても口にしなかった。やはりアリッサは相手に強気でこられると弱くなってしまうようだ。
「(チョロインって何か強引にいけば、無条件でも金貸してくれそうじゃねぇ?)」
とは言いたくても物語の性質上言えず、アリッサが目利きをするのをただ黙って待つだけだった。
今回は少し真面目に剣に関する話をしつつ、お話は第71話へとつづく




