第63話 ビッチビチのぷっるんぷるん♪なお姉さんが登場!!
前回までのあらすじ!!
武器屋でロングソードを手に取ったオレだったが、そのあまりの重さに現実と空想とのギャップに困惑していた。そんなとき天音が『勇者だから……』っと言う設定だけで、オレが持つのもやっとだった剣を片手でいとも容易く操ってしまうのだった……
「これが『勇者』とオレの…………あれ?」
何故か次の言葉が上手く出てこなかった。
「そもそも今のオレは何の役なんだ???」
長い長い話の中で、自分の配役すら覚えていなかったのだ。
「(いや、そんな風に本文で説明してるけど『村人C』や『盗人E』だったりと、忙しなくオレの立ち位置というか役柄が変わってしまってるわけだよ。しかもオレの許可を得ずしてな。そんなものイチイチ把握できるわけねぇだろが……)」
そんな困ってるオレに対して、静音さんが……、
「あ~アナタ様の今の役割ですか? え~っとそうですねぇ~。ちょ、ちょっと待ってくださいね。今探しますから……」
静音さんはペラペラと『○否と書かれた設定資料集』をめくり探していた。
「なんだよあの本は? 表紙に○否って書かいてあんぞ!?」
(その設定資料とやらを否定したいのか? 肯定したいのか? ……どっちなんだ???)
そんなことを思っていると静音さんはようやくオレの配役とやらを見つけたのか、顔を上げた。
「……どうやら今のアナタ様は『 』のようですね」
「えっ? 何??? 何か空白みたいなんだけど、目の錯覚っすか!?」
静音さんが示してくれたのだが、そこには何も書かれていなかった。
「いえ、どうやら作者の方が逐一アナタ様の役柄を調べるのが面倒になったらしく『ならアイツの好きにさせたらいいんでねぇの?』っと言った次第でして……」
「それはダメすぎるだろうが!? も、もしかしていつものセルフサービス方式っすか?」
「セルフサービス方式みたいですね」
どうやら作者はセルフサービスの名の元に「オマエが勝手に決めやがれ!!」っと言いたいらしい。
「登場人物が勝手に設定や配役とか決めていいのかよ!? どんだけ自由な作風なんだよ!? そんな小説初めてみたわ!」
「…………」
オレはこれを読んでいる読者と共に華麗にツッコミを入れたのだが、生憎とそのツッコミお相手はご不在のようだ。
作者が楽をするため、本文すら読者の思うがままの物語、略して『小説界のセルフサービス方式やぁ~』にしつつ、お話は……
「いや終わるにはかなり早いからな!? まだ1000文字も書いてねぇだろうがっ!! 本文にまでその方式を取り入れて楽するんじゃねぇよっ!!」
「…………」
だが虚しくも、オレのツッコミ4thシーズンは再び空振りに終わってしまう。
「あ、アナタ様……先程からどなたとお話になられているのですか? お薬要りますか? (鎮痛剤2錠)」
「キミ……大丈夫なのか? 頭でも打ったのか? (なでなで)」
「お兄様……はぁ~っ(なでなで)」
「きゅ~っ(なでなで)」
「…………毎度毎度オレの扱いだけ酷くねぇか?」
誰も人がいない所ばかりに話ながらツッコミを入れてるから、ヒロイン達に頭のおかしいヤツだと思われ慰められてしまった。
カランカラン♪ そしてちょうどそのとき、突然店のドアが開かれた。
「……ったく、また何で値上げしてんだよ。……ってアンタら何者だい? あたいの店に何か用?」
ぶっきら棒の口調で、とってもビッチビチなお姉さんが店の中へと入ってきた。……どうやら彼女がこの店の主らしい。
「何か言ったらどうなのさ? ……もしかしてあたいが留守にしてたからって盗みを働こうてんじゃないわよね?」
お姉さんは店先に飾られていた商品のサーベルを手に取ると、オレ達の方へと刺し向けてきた。
「あっいや、オレ達はただ買い物に来ただけでっ!!」
お姉さんのその得も言わさぬいでだちに対して、恐怖を覚え慌ててそう繕った。
「……ふーん。そっ」
お姉さんは興味がなくなったのか、オレの前を通り過ぎ対面式のカウンターに向かって歩く。
「よっと」
お姉さんはパコパコ開く木で出来たスイングドアがあるにも関わらず、対面カウンターに左手をかけると、そのままクルリと回り映画のように格好よく、横っ飛びで軽々と乗り越えてしまった。
トタン……ぷっるんぷるん♪ 着地音でさえも華麗だ。
あと今にも零れ落ちそうなお胸がぷるんぷるんと上下に揺れ動き、男なら誰でも目を奪われてしまうほど、とてもいやらしかった。
「ほぇ~」
(カッコイイ人って、何気ない動作でもすっごく絵になるよなぁ~)
そんなお姉さんに見惚れていると、
「んっ? なにさ? あたいに文句でもあんの?」
惚けて見ていたせいか、お姉さんは不機嫌そうに眉を顰める。
「いえ、お姉さんのカッコイイなぁ~って思っちゃいまして……」
こんな美人なお姉さんに初めてお近づきになったオレは、照れながらに後頭部を擦った。
「こまし?」
「……へっ? こましですか???」
お姉さんは疑問系で「こまし?」と聞いてきたが、一瞬何を言われたのか分からず、オレは言葉を畏まってただ繰り返してしまう。
「アンタ……あたいだけじゃなくて、女なら誰にでもそう言ってるのかい?」
「あっ、いや、そそそ、そんなことは全然まったくないです!?」
更にお姉さんが不機嫌になってしまい、オレは慌てて両手を左右に激しく振って違うとアピールをする。どうやら先程の「こまし」とは『女こまし』を指していたようだ。
「ちっ……まぁ、あたいには関係ないからいいけどね」
ダンッ! お姉さんはイラついているのか、対面カウンターの上に持っていたサーベルを無造作に放り投げると、脇に置いてあった箱へと手を伸ばす。
そして箱の中から白くて細い棒を一本取り出すとそのまま口に咥えた。どうやら箱の中身はタバコのようだ。
その光景をじっと眺めていると、どうやらそれがお気に召さなかったのか、またお姉さんが不機嫌そうに声をかけてきた。
「あのさ……まだ文句あるっての?」
咥えていたタバコを指で挟み込むと、胸の下で腕組をして威圧的にポーズをとっていた。だが、そのおかげで大きな胸が更に強調されてしまった。
「(何をするにもこのお姉さんカッコイイなぁ~♪)」
っと思いはしたが、その事をお姉さんに言ってしまうと更に機嫌が悪くなるだろうと思い、話題を逸らす事に。
「あっいやその……タバコに火をつけないのかなぁ~。な~んて思っちゃったりして。あははっ」
そんな風に冗談めかして話題を逸らしてみる。
「あっコレのこと? そもそもこれタバコじゃないしね」
「へっ? タバコじゃない???」
またもやお姉さんの言ってることが理解できず、聞き返してしまう。
「だ、だからこれはその、タバコじゃなくて……(ぼそぼそ)……なんだよ」
「???」
途中お姉さんが小声だったせいか上手く聞き取れず、オレは首を捻ってしまう。
「だからこれはタバコじゃなくて『チョコだ!』つってんだろうがーっ!!」
「あ、ああ~。それタバコじゃなくてチョコだったんですか……」
「ああ、そうだよ!! ……悪かったな。あたいみたいな格好をした女がタバコじゃなくて、チョコなんかを咥えててさ……ったく(照)」
お姉さんは恥ずかしいのか、少し顔を赤らめていた。
「どうせアンタもアレだろ? チョコなんて可愛らしいもの、あたいのイメージに合わない(笑)。そう心の中で思って笑ってやがんだろ?」
そう言うと顔を赤くしたお姉さんはぷいっと横を向いてしまう。
「(なんてゆうか……こうゆうのをギャップ萌えって言うのかな? こんな可愛らしい美人なお姉さんもイイよね♪)」
そんなビッチビチなお姉さんに愛らしさを感じつつ、お話は第64話へとつづく




