第60話 な、中がギッチギチッのミッシミシッだなんて……
前回までのあらすじ!!
お腹が空いたヒロイン3人はもきゅ子を『生のまま』食べようとしていたので、オレがとりあえず宿屋に行こうぜ!! っとどうにか説得したのだった……
「おっ、ようやく街の中心まで戻って来れたな」
オレ達はあれから数分歩き、ようやく街の真ん中にある噴水までやってきた。
「わーい♪ わーい♪」
「まて、まて~♪」
相変わらず噴水の周りを永遠に走らされてる子供達は健在のようだ。まぁ玉手箱も開けてないのに、いきなり大人になってたらこっちがビックリするけどね。
「思えばすっごく懐かしい光景だよなぁ~」
オレは近い目をして何気ない街の様子に黄昏ていた。思えばこの世界に来てからまだ1日も経っていないと言うのに、なんだか数ヶ月ぶりに街に帰ってきた気がしていた。
「そういや、宿屋ってこっちから見ると左手になるんだっけ?」
「あっ、アナタ様よく覚えてましたね! 作者の方ですら街の基本配置を忘れてたと言っていたのに」
「いや、それはあまりにもダメすぎるだろ……。何だよ自分で作っておいて忘れるとかさ」
ちなみに言っておくがオレ達は今現在、北側に立っている。マップで言えば左上の方だ。だから「あれ? 最初の説明だと宿屋って右じゃねぇ?」っと思うだろうが、今は反対側から見ているので左で合っているのだ。
「……ってか何でオレがイチイチ読者に配慮して、説明せにゃならんのだ!? これって静音さんの仕事じゃなかったのか!?」
オレは隣で歩いている静音さんに文句を言ってみた。
「いやぁ~最近は『楽』というものを覚えまして、楽できる時には楽をする! それが今のワタシのポリシーとなりました」
「そんなポリシーは捨ててしまえや!!」
相変わらずオレ達はボケとツッコミを繰り広げながら歩き、宿屋の前まで来た。
「ほっ。何とか無事に宿屋まで着いたな」
「アナタ様も時々おかしなことを言いますよねぇ~。街中なのに宿屋まで無事に着いたとか(笑)」
静音さんは草を生やしていたが、無事で合っているのだ。何故なら……
「「がるるるる」」
「(ぷるぷる)」
オレのすぐ隣で、お腹を空かせた野獣ヒロイン共がもきゅ子をずっと狙っているのだから。そしてもきゅ子もオレの腕の中ですっげぇぷるぷる震えてるしな。このままでは、いつもきゅ子が野生化した天音と葵ちゃんに襲われてもおかしくないこの状況。
「さ、さっさと中に入ろうぜ♪」
オレはもきゅ子が食べられない内に宿屋の中に入ろうとしたが、宿屋の窓から突き出しているモノが気になり中に入るのを躊躇してしまう。
「うっ!? あ、あれは……」
「んっ? どうかしたのですか? アナタ様中に入らないのですか?」
静音さんは何食わぬ顔でそう言ってくれたのだが、オレは宿屋の中に入りたくなかったのだ。だってオチが既に出オチ確定してるんだもん。
「ま、とりあえずあのボケに対して突っ込むの為にも中に入りましょうか♪」
静音さんにズルズル引きずられながら、宿屋の中に強引に突っ込まれた。
<やがて土に還れる宿屋:貴腐老人の館>
「らっしゃせー♪ 兄さんらお泊りでっか? それともご休憩でっかー?」
「…………何でここにいるの???」
お察しの良い読者はもうお気づきだろうこの似非関西弁で。そう宿屋の受付には冥王であるジズさんがいたのだ。宿屋の中がかなり手狭なのだろうか、その大きな体が入らず窓の外に羽やしっぽなどがはみ出していたのだ。
「ってかアンタどうやって入ったんだよ!? 宿屋の中ギッチギチッじゃねぇかよっ!?」
ジズさんが少し動く度に木で出来た宿屋の中はミッシミシッ……っと壊れんばかりの音を立て、上の梁からホコリが舞い落ちていていたのだ。
「アナタ様。何度も言いますがこれはローフ……」
「だからローファンはそんな万能な言葉じゃねぇっての!!」
「それなら『あな……」
「ついでに言っとくけど『あな嫁』にもだぞ!!」
「……ちっちっ」
静音さんはオレの早すぎるツッコミを味わうよう舌鼓していた。
「そらタネを明かせば簡単なこってすわ。単にワテが擬人化しただけですわ」
「えっ!? ぎ、擬人化??? 擬人化ってあれだよね? 人間の姿になるやつ」
「そやそや。兄さん知ってるやないですか」
「もきゅもきゅ♪」
「おっ姫さんやないですかー元気してはりましたかー♪」
「いや、さっき別れてからそんな時間経ってねぇから……」
「アナタ様、さっきからツッコミまくりですね♪」
「誰のせいだと思ってんだよ……。オレ以外の全員がボケだからツッコミ役のオレが休まる暇がないわ!」
「うむ。話の途中で悪いのだが……そのキミ達はこのドラゴンとは知り合いか何かなのか?」
「お、大きな方ですわね~」
天音と葵ちゃんはジズさんを見て驚き、またオレ達と知り合いだったことについても驚いている。
「あっ、そっか。そういえば二人は死んでで知らないんだよな……」
「ああ」「ええ」っと相槌を打ち、説明するよう促される。
「え~っと、この人……あっいやこのドラゴンは『冥王ジズ』さんと言って、もきゅ子の護衛なんだよ」
「どもどもです。ワテの名は『冥王ジズ』言いまんねん。ウチの姫さんのお仲間ならお嬢さんらも気軽にジズでええよ」
「め、冥王なのに随分と気軽なのだな……」
「お、おっきいですわねぇ~(照)」
ジズさんの軽さと、その大きなに各々リアクションをとっていた。
「(さっきまで三人がもきゅ子の事を食おうとしてたのは、絶対に黙ってた方がいいんだよな)」
オレはこれ以上面倒ごとにならぬよう、お口にチャックをした。
「先程擬人化と言いましたが、ジズは擬人化できるのですか?」
「(静音さん相手が冥王でも呼び捨てっすか。やっぱパネぇっすね)」
「もちろんですがな!! お疑いならお見せしまひょか?」
「「「わー♪」」」「もきゅっ♪」
三人プラス一匹はジズさんの擬人化が見れると手を叩きまくってはしゃいでいた。
「す、すっげぇ安っぽい歓声もあったもんだよな……」
「ほんならいきまっせ~…………うーん!!!! はぁっ!!」
ジズさんは唸りを上げると、眩いばかりの光が全身を包み……それが現われた。
「んふふふっ♪ ど~お~っ♪ ワ・タ・シの姿♡」
「ぽか~ん」
そこに現われたのはお胸がバインバイン♪ のクッソかっわいい女の子だった。胸に視線が捕らわれ気づかなかったが、よくよく見ると羽としっぽがある。
これがまさしく、擬人化の極みなのだろう……。
擬人化を極めつつ、お話は第61話へとつづく




