第59話 『ローファン』という言葉には、そこまでの万能さは含まれてないっ!!
前回までのあらすじ!!
目覚めた葵ちゃんがもきゅ子を見るなり、抱きかかえそのまま教会の外へ逃亡しましたとさ……
「……毎回思うけど、あらすじもほとほといい加減だよなぁ~。はぁ~っ」
「ですよね! 良い加減ですよね♪」
オレは「ほんとやれやれだぜ……』っと言った風に溜め息をついたのだが、静音さんはどうも別の意味に捉えたらしい。どうやらオレと静音さんとの間には、とても深いイントネーションギャップがあるようだ。
あとなんで静音さんが少し喜んでいるのかさえ、凡人オブザイヤーに輝くオレには到底理解できなかった。
「お兄様ぁ~。そ、それよりも何か食べないとワタクシ、ワタクシっ!! あっそ、そういえば……じゅ、じゅるりっ(捕食者の目)じーっ」
「ほっほーぉっ……これはなんとも(ごくりっ)。う、美味そうに真ん丸と肥えてるではないか(猛禽類の目)ごくんっ」
天音と葵ちゃんは生き返ったばかりで死ぬほどお腹がすいているのだろう。必死にそう訴えかけると同時に、抱きかかえてるもきゅ子を捕食者の目でロックオンしたまま、じゅるじゅる……と不穏な音を立てていた。
「も、もきゅっ!? きゅー(ふるふる)」
もきゅ子は必死に「私、食べても美味しくないよ」っとアピールしているのだったが、
「がるるるる!」
「わんわん!! 」
天音と葵ちゃんは腹ペコのせいか野生に戻り、今すぐにでも『生』のままもきゅ子を食べるかの勢いだった。
(どっちが野生モンスターなのか、見分けがつかねぇよ……)
「し、静音さん。さすがにアレは止めた方がいいんじゃないか? だってヒロイン達がマスコット的存在のもきゅ子を『生』で捕食しようとしてんだぜ! 描写的にもヤバイだろ……」
オレは静音さんに天音と葵ちゃんを止めてくれるよう頼んでみた。
「そうですね。もきゅ子は最後の非常食ですしね!! アナタ様ワタシにお任せくださいませ!!」
「(いや、この二人にとってはまさに『最後の非常食』って認識だと思うんだよね。こ、怖いから敢えてそこには突っ込まないけどさ)」
オレの願いを聞いてか、静音さんは二人の傍に近づいて行った。
「お二人共おやめください!!」
静音さんは二人の間に割り込んだ。
「なら他にどうしろと言うのだ静音っ!!」
「そうですわ! ワタクシ達はお腹がすいているのですわよ!!」
「確かに……それもそうですよ、ね~(ちらっ)」
二人の迫力に押されてか、はたまた静音さん自身もお腹がすいているのか、「ね~」に合わせて視線をもきゅ子に移していた。
「もきゅ~~~っ。もきゅもきゅっ!!」
もきゅ子は食われまいと、じたばた暴れてなんとか逃げようとしていた。だが、葵ちゃんにガッシリと抱きしめられ逃げるに逃げられないようだ。
三人が「じゅるりっ」とする中で『このままでは読者からクレームが来ちまうぞ!?』と考えたオレは咄嗟に止めに入ることにした。
「待ってくれっ! 宿屋に行けばいくらでも食べ物があるんじゃないのか!? とりあえず、宿屋に行こうぜ! あと静音さん。アンタ天音達をまともに止めてくれるんじゃなかったのかよ!?」
「はっ! そうでしたそうでした。(ヨダレふきふき)ワタシもお腹がすいていたので、危うく食欲の赴くまま流されてしまうところでした。お二人共アナタ様の言うとおりですよ!! それに『生』で食すのはよくないと思います。できるなら宿屋で火を借りて調理するのはいかがでしょうか?」
静音さんもようやく正気に戻り(むしろ正気を失い)、とりあえずこの場しのぎに宿屋に行くことに賛同してくれた。
「そ、そうだな。『生』は怖いよな……」
「で、ですわね。『生』はやっぱり……」
季節柄なのか二人は何故だか『生』という言葉に異常に反応していた。
「(あとさ、あんまヒロインが『生』『生』って言わないで欲しいんだけど。べ、別に深い意味はないから勝手な解釈をするんじゃないぞ!! 絶対だぞ!!)」
本来なら『女の子』と『生』についての論文をしっかりと語りたかったが、生憎とこの作品は『R15』なので別の機会にすることにした。
※そんな機会はございませんのであしからず!!
そうしてオレ達は教会を後にすると、一路『調理目当て』もとい『お食事目当て』に宿屋に向かうことにしたのだった。その間もきゅ子は「もきゅもきゅ」鳴きながらオレの胸に必死にしがみついてきたので、オレが抱きかかえることになった。
たぶんあのまま葵ちゃんに抱き抱えられていては、宿屋に着く前に食べられてしまうと思ったのだろう。オレの服に穴を開けんばかりの勢いで、ぷるぷると振るえながら爪を立ててしがみついていた。
まぁコレと言って荷物もないし、また今は棺も引いてないのでもきゅ子を抱きかかえるくらい気軽なものである。
そして宿屋に向かう道中、それまでに色々な疑問があったので静音さんに聞いてみることにした。
「……ってか、教会ってかなり近かったんだね。森の中って説明文あったからもっと離れてるのかと思ってたんだけど……」
まず手始めに『行きは永遠あの農道を歩いていたのに、帰りでは既に目的地が視界に入ってる事について』を再び静音さんに聞いてみることにした。
「へっ? ああ……それもこの世界観を捻じ曲げたおかげですね。ぶっちゃけ移動の手間もありますし、既に元に戻しときやしたよ☆」
「いや、それはダメだろう。イチイチ世界観捻じ曲げてんじゃねぇよ。物語の設定として1番ダメなことしてるよね?」
「アナタ様……ぶっちゃけこの物語は『ローファンタジー』なのですよ。ご都合主義なんてのは当たり前でしょうが(笑)」
静音さんは草を盛大に生やしながら、そう言い退けた。
「うん、静音さん。それはぶっちゃけすぎだからね。あと『ローファン』という言葉にはそこまでの万能さは含まれておりませんので、あしからずっ!!」
「うーん、それなら『あな嫁』ならどうでしょうか? これなら万能な言葉でしょ? もう散々既存小説の既成概念をブチ破ってるんですから、今更世界観を捻じ曲げるくらい何でもないさぁ~♪ ですよね~♪」
「…………」
この『あな嫁』に住む主人公であるこのオレは、もはや反論の余地がなかった。
悲しいかなこれも登場人物故の宿命ってやつなのだろう。この世界の管理人である静音ライオンと作者の意向にまったく逆らえるはずがなかったのだ。
「(……というより考えたくない! ってのが本音だけどね)」
次話がまったくもって考えつかないのでショート投稿で時間を稼ぎつつ、お話は第60話へとつづく。
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