第58話 仲間との久しぶりの再開……
前回までのあらすじ!!
静音さんが本気で『復活の儀式』を行い僧侶らしく魔法陣やら詠唱やらをして、そうやくヒロイン二人が生き返りましたとさ……
ギィィィーッ、バタンッ!! 突如として一つの棺蓋が豪快に開け放たれた。
「ぷっはぁ~っ!! 何だこの棺の中は!? 息ができなくて死んでしまうではないか!!」
天音はそう元気良く棺をブチ開けると、開口早々相変わらずのハイテンション状態で肺呼吸をしながら酸素を二酸化炭素に変える作業でお忙しそうである。
「いや、天音。今のいままでお前、死んでたからな。そりゃ息苦しくてもおかしくねぇわ」
「あっ天音お嬢様、起きられたのですか?」
「(にしても、天音の声久しぶり聞いたな。何だか26日ぶりくらいに聞いた気がするわ)ってそういえば、葵ちゃんはどうした!?」
オレは今更ながらに、義理の妹である葵ちゃんの事に気づいてしまう。
「あっ。葵お嬢様なら棺の蓋が重くて開けられずに、今まさに酸欠状態で天に召されてる最中ではないかと……」
「な、なんだとっ!? 葵!? 葵大丈夫なのかっ!!」
天音はその言葉を聞き棺から這い出ると、隣に置いてある葵ちゃんの棺にしがみつき蓋を開けようとしていた。オレはその光景をただ突っ立って傍観……
「……いやっ!? オレも説明文で解説してる場合じゃねぇわ!! あ、天音オレも手伝うぞ!!」
オレも葵ちゃんの棺に駆け寄り、天音が蓋を開けるのを手伝うことにした。
「キミ、1・2・の3で一緒に開くぞ!! 3!! ほら、さっさとキミも力を入れるんだ!!」
「天音っ!! オマエカウントの過程を端折りすぎだろうがぁ~~っ!! こんのぉ~~っ!! なんで葵ちゃんのだけこんな蓋重いんだよぉ~~~っと!!」
キィーッ……バッターン!! オレと天音はどうにかこうにか、葵ちゃんのクッソ重い棺の蓋を開けることに成功する。
「葵大丈夫か!!」
「葵ちゃん平気か!? 死んでないか!?」
「……お姉様? お兄様? ……ここは一体???」
葵ちゃんは生き返ったばかりで混乱しているのか、よく状況が分からないようだ。
「葵お嬢様。お嬢様は死んでしまったのですよ。そして……このワタシが天音お嬢様共々、葵お嬢様のお二人をぶん殴って生き返らせたのですよ!」
静音さんはこれ幸いとばかりに「ふふん♪」っと無い胸を精一杯張り、自分の手柄をアピールするドヤ顔を決めていた。
「(いや、確かに生き返らせたのは静音さんだけどね。何回も殺してゾンビにしたのも静音さんだって事をオレは忘れないぞ!!)」
そう心の中で誓うと同時に、「実はオレもあんな風に生き返らせてもらったのかなぁ~」と今更ながらにその事実を考えてしまう。
「とりあえず、葵お嬢様お手を……」
静音さんは葵ちゃんを棺から出すために、手を差し出して出るように促した。
「ありがとう静音。……なんだか久しぶりに空気を吸った気がしますわ」
「ん? 葵もか? 私もなんだか久しぶりに声を出したような気がするのだが」
「(うんうん。オレも二人の声を久々に聞いた気がするわ! 天音の声は1ヶ月ぶりに、そして葵ちゃんに至っては3ヶ月ぶりに声を聞いた気がするもん)」
二人のヒロイン達が恐ろしいことを言っているが、大人の事情という事でここはあえてスルーしてみることにしよう。
「も、もきゅ~ぅ?」
今の今まで放って置かれたもきゅ子が会話に入れず寂しそうに鳴いていた。
「お、お、お、お兄様!? なんですの、この生き物はっ!!」
「な、何だ!? 魔物……いやドラゴンの子供が何故こんなところに!?」
「ああ、そっか。葵ちゃんも天音ももきゅ子とは初対面だったんだよな」
もきゅ子の存在に気づいた葵ちゃんと天音は声を震わせながら、魔物がいることに酷く動揺している様子だった。
「天音、そして葵ちゃん。コイツはもきゅ子と言って……」
「か、かわいい! お兄様この子テイクアウトできますよね? ね? いいえ、例えできなくても須藤家すべてを動員してでも、おウチに連れ帰りますからねぇ~♪ お持ち帰りですわ~♪」
葵ちゃんはもきゅ子を抱きかかえるとそのままの勢いで逃走をはかり、教会のドアから外へと向かって走り去ってしまった。
「も、もきゅ~~~~~っ」
後にはもきゅ子の泣き叫ぶ悲鳴と、走っておかげで巻き上がるホコリだけが残ることになった。
「……して、あのドラゴンの子供はなんなのだ? 私がいない間に何があったというのだ? いや、それよりもあの農夫との戦いはどうなったのだ?」
天音は状況をいち早く確認したいのか、そう捲くし立てて聞いてきた。
「天音お嬢様。実はですね……ごにょごにょ」
「ふむふむ。なーるなる。ふむむ……」
静音さんが今までの経緯を説明してくれてるようなのだが、オレの耳にはただ「ごにょごにょ……」と言ってるようにしか聞こえない。そして天音もただ受け流してる風にしか思えないのでほぼ同罪。
「説明もいいけどさ。葵ちゃんどうすんだよ……」
「……で、ですね。えっ? アナタ様どうかされましたか?」
「……なるほど。んっ? キミどうかしたのか?」
……どうやら二人共話し込んでる風を装い聞こえないフリがしたいが為に、オレにもう一度今のセリフを言いやがれっと言う事らしい。
「いや、だから!! 誘拐犯の葵ちゃんと、攫われたもきゅ子をどうすんだよって聞いてんの!!」
オレは聞こえるように大声で、強調して台本どおりのセリフを二人に叫んだ!!
「ああ……きっと大丈夫でしょ。葵お嬢様ももきゅ子もお腹が空けば帰ってきますって。HAHAHAHA」
「うむ! 静音の言うとおりだぞ!! さすが私の妹だ!! あぁ~はっはっはっはぁ~っ」
「…………」
(いや、天音さん天音さん。静音さんのそれは葵ちゃんの事を食いしん坊キャラとして、かな~り馬鹿にしてんだぞ。何で一緒に高笑いしてんだよ。ほんと大丈夫なのかよ。コイツら……)
オレが呆れているとほぼ同時にギィィィィーッ、っと教会の木製のドアが開いて葵ちゃんともきゅ子が帰ってきた。
「葵ちゃん!? 帰ってきたのか!?」
「お、お兄様ぁ~」
ふらふら~っとよろけながらに、オレの元へ来た葵ちゃんを咄嗟に抱き止める。
「葵ちゃんどうかしたのか!?」
「お兄様ワタクシ……ワタクシ……」
葵ちゃんは今にも死にそうな声を出し……
「ワタクシお腹が空きましたわ!!」
「……て…………ってお腹ぁっ!? お腹が空いたからそれで戻って来ちゃったのか!?」
説明文の途中なのに葵ちゃんのセリフで遮られてしまい、本来ならセリフじゃないところに説明文の続きが乱入してしまうほど、文体が乱れきってしまっていた。
「ニマニマ~♪」
「ニマニマ~♪」
静音さんと天音は「ほれ見たいことか!」と言うようなニマニマ笑い顔をして、オレの事を嘲笑っていた。
「オレさ……コイツら全員ほんと嫌いだわっ!!」
オレ以外の全員が毎度毎度こんな反応ばかりしやがるから、さすがに嫌いになってもおかしくはないだろう。……ってかこの作品にまともな人間いたか!? 否! オレ以外に誰もいなかった。そもそもツッコミ役すらいないのではないだろうか。
もし新キャラが出るならツッコミ役を!! などと星に作者に願いつつ、お話は「第59話 『ローファン』という言葉には、そこまでの万能さは含まれてないっ!!」へとつづく




