第54話 オレ……疲れてるのかな?
前回までのあらすじ!!
冥王ジズさんからもきゅ子を託され仲間にしたオレ達はようやく……いや、やっとの思いで教会へと足を向ける事にしたのだった……
「オレはどれだけ長い間棺を引っ張り歩いてんだよ。はぁ~っ……」
疲れが出てきたせいか、ため息交じりに棺を引っ張りながら、今頃その気付きたくない事実とやらを考えてしまうのだった。体感的にはたぶん数時間くらいなのだろうが、精神的には約13話2週間くらいは『棺と件』を引っ張ってる気がしていた。
「へっ? え~っと、言いにくいのですが……実際にはアナタ様が棺を引っ張り始めてから、まだほんの数分なんですけどねー」
「……はいぃ~~っ!?」
(なななな、なんか静音さんが怖いこと言い始めたんですけどっ!! えっ? えっ??? あれだけの出来事があったのに、まだ数分なのっ!?)
目を細め「そんなもんっすけどね」っと、サラダ煎餅の塩味くらいか~るい感じで語る静音さんの言ってる意味が分からなくなり、オレは大混乱状態に陥ってしまう。その混乱具合と言ったらもう……、……、説明が面倒なのでここは割愛させていただきやす! キリッ
そしてオレは職務怠慢したいが為の謎のキリッ顔を決めつつ、静音さんに詰め寄った。
「静音さん! い、今言ったこと『嘘』だよね? ねっ? だってだって、こんな尺引っ張ってるのに絶対数分なワケもんっ!!」
オレはどこぞのヒロインのように静音さんに「嘘だよっ!」と迫力満点にヤンデレて欲しかったのだが……
「いいえ~本当ですよ~♪ もしかしたらまだラノベなどによく付いてる『帯』くらいの内容かもしれませんしね。アニメで例えるとそうですねぇ~……第1話のOP始まる手前くらい……みたいな感じですかね?」
「もきゅっ!」
だが、生憎と静音さんは本気のようだった。またもきゅ子も静音さんの言うことが「本当だよ!」っと言わんばかりに頷き肯定していた。
「д」
その衝撃からオレはお口をアングリと開けたまま絶句してしまった。
それもそのはず、この『あな嫁』は既に20万文字超えているのだ。ライトノベルで例えると2冊分の分量。それなのに、である。まだ『本に付いてる帯』とか『アニメ第1話のOPの手前』とか言われたら日にゃ~、誰でも絶句面白顔の1つはしたくなるだろう。
「ま、冗談なんですけどね~(笑)ってあれ聞いてない???」
「きゅ~っ???」
静音さんともきゅ子が何かを言っていたが、残念ながらウインドーショッキング真っ最中のオレのお耳にはその声は届いてなかった。
「……にしても見事にДとしたお口開けてますよねぇ~。……今のうちにそこらのドングリでも入れちゃいましょうかねっ。ふふふっ」
「もきゅっ。もっきゅきゅっ」
「……っ!? って静音さんっ!! さっきの絶対嘘だよねっ!!」
オレは草原で草の生える音が聞こえ、なんとか正気を取り戻したのだった。
見れば悪魔の顔をしたクソメイドともきゅ子がそこにはいた。
「あ、あぶねーあぶねーっ!!」
額の汗を拭い状況を安全確認をした。どうやら何かされる前にオレは正気に戻れたようだ。
「ちっ……もう正気に戻っちゃいましたか。てへりっ☆(コツン♪)」
「ちっ……もきゅっ☆(コツン♪)」
静音さんともきゅ子はまったく悪びれた様子もなく舌打ちをしてコツン♪ と自分の頭を丸めた手を乗せただけだった。
「(こ、こんのぉ~クソメイドとクソドラゴン共めぇ~っ……)」
オレはからかわれたと気付いたが、あちらの武力には勝てるわけがないと即座に判断し、あくまでも大人の対応を取ることにした。
「まぁぶっちゃけこの『あな嫁』はローファンタジーですしね《笑》」
「もきゅっ(笑)」
「オマエら本編中にネタバラシしまくりだろうが。あと『ローファン』というジャンルにはそのような便利さは備わっておりませんから~っ!!」
オレは諭す意味で苦言を露にしたが、コイツらには何ら意味をなさないだろう。
「ま、まぁいいや……。とりあえず気を取り直して教会へ向かわないとね」
「はっ? アナタ様は何を仰っているのですか???」
「きゅっ???」
静音さんともきゅ子は頭に?マークを浮かべ、「何言ってるのコイツは?」といったような顔をしてオレを見ていた。
「いやいや、静音さんももきゅ子も本来の目的を忘れてるのかよっ!?」
オレは大人の対応をしたかったのだが、コイツらがあまりにも不真面目なのでややお怒りモードになっていた。
「い、いえ、その……教会なら目の前にありますけど……」
「もきゅっ!」
「はあ~っ!? まだ教会までは遠いでしょ! 何もきゅ子まで静音さんの言うことを……ってなんじゃこりゃっ!?」
静音さんがオレの後ろを指差して「教会が……」とか変な事言ってるので後ろを振り向いてみると、なんとオレの目の前には『教会』が存在していたのだ。
さっきまでは、ただの農道・畑ばかりだったのにいつの間にか……いや、よくよく周りを確認すれば、たくさんの木々に囲まれた森の中にオレはいたのだ。
「(震えた声で)お、オレ夢遊病でも病んでるのかなぁ」
オレは突如として教会が出現しまた森の中にいつの間にか突っ立ってた事実が信じられず、また自分自身の行動でさえも信じられなくなっていたのだ。
「アナタ様言いにくいのですが……頭大丈夫ですか? (頭なでなで)」
「もきゅ~っ(頭なでなで)」
静音さんともきゅ子はオレの『頭』を嫌に気遣い頭を撫でてくれた。
「(ぐすっ)静音さん……もきゅ子……あ、ありがとうっ!(泣)」
オレは涙ぐみ、そして静音さんともきゅ子に感謝していた。
「(やっぱりさツライ時には人の優しさが身に沁みるよね!!)」
改めてそう心の中で思い、そして今の状況を確認することにした。
「(ぐすっ)じ、実はさっきまで農道にいて周りが畑ばっかだったのに、オレはいつの間にか森にいて目の前には教会が出現したんだよ。ほんと言うと自分が病気か何かじゃないかって心配で心配で……」
オレは涙ながらに静音カウンセラーともきゅ子看護師に悩みを打ち明けていた。
「アナタ様……それはきっとお疲れが原因なんですよ。少し休めばすぐに良くなりますからね♪ (頭ぽんぽん)」
「きゅっ♪ (頭ぽんぽん)」
「静音さん、もきゅ子……あ、ありがとうっ! 実はね、最近特に忙しくて睡眠時間が3時間しかとれ……」
「ま、ぶっちゃけこのワタシが原因なんですけどねぇ~♪」
「もきゅっ♪」
「……ないんだけどぉ~おおおうっ!!」
オレは静音さんが言った事が理解できず、語尾アゲアゲ↑↑気味となり言葉が変になっていた。
「し、静音さん……い、今なんて???」
オレは自分のお耳を疑い、とりあえずはもう1度だけ聞いてみることにした。
「へっ? ああ『森』や『教会』がいきなり出てきたのは『ワタシが原因だ』っと言っただけですが……」
「それが何か???」みたいな不思議そうな顔をして首を傾げる静音さん。
「Are you genin?(あなたが原因なの?)」
「YesYes!(そうですそうです!!)Yes I am geinin.(ワタシが芸人です)」
オレ達は適当な英語を並べ立て、互いに意思の疎通を謀ったのだが、まったくもって噛み合っていなかったのだ。
「(……いやいや、謀っちゃダメだろうがっ!!)」
オレは本文中説明文の謀を慮ったのだが、残念ながら裏切られ失敗に終わってしまう。
「ど、どゆこと???」
素直な性格がウリのこのオレは直接静音さんに聞いてみることにした。
「あっ説明いりましたか? え~っと、早い話この棺の件があまりにも長いので世界観を捻じ曲げて『森』と『教会』をワタシ達がいるこっちに強引に引っ張り持ってきたわけなのですよ~」
静音さんは笑顔オームみたいな顔しやがって、この世界の摂理を改変したらしい。……しかも話が長いからという理由で、だ。
「ま、マジかよ。どんだけこの世界は適当なんだよ……」
オレは受け入れがたいその事実とやらに苦言を示した。
「アナタ様! 適当という言葉は『いい加減・無責任』などの意味も持ちますが、本来は『適切に当てはめる』と言う意味もあるのですよ!! また『いい加減』も『良い加減』と解釈できるのですよ!!」
静音さんはキャリア官僚みたいな言葉の解釈理論を展開していた。
「そんなん知らんがなっ!!」と関西風にツッコミをしようと思ったが、キリがない……っつうかこれ以上巻き込まれたくないので、オレは物語を進めることにした。
「と、とりあえず教会の中に入ろよ」
「ちっ……あっそうですねー」
「きゅーっ」
ネタを受け流したせいか、静音さんともきゅ子はなんとも形容しがたいゲシュタルト崩壊の顔をして関心なさそうにするだけだった。
「(ひ、ヒロインがそんな変な顔していいのかよっ!!)」
っとは思っても言えず、オレはただ教会の扉を開けることしかできなかった。
ギィィィィィーッ。あまり使われていないのか、木で出来た扉はありがちなギィ音を奏でた。
「おっ! でも中は意外と綺麗なんだね」
教会の外は簡素な作りだったが、中は掃除が行き届いた小奇麗な感じに思える。
また窓からは光が幾重にも差し込みステンドグラスを通して綺麗な色を映していた。生まれて初めて教会を訪れたオレにとってそれは、とても幻想的にも思える光景だった。
「(キョロキョロ)……でもさ、誰もいなくね?」
そう中はだだ広いのだが、誰もいなかったのだ。普通ならいかにもな神父や修道女が居てもいいはずなのに……。
「とりあえず教壇の前にでも行きましょうか」
「きゅっ」
「あ、ああ……そうだね」
静音さんに促されると、棺を2つ引っ張り回しながら教壇の前へと進んで行ったのだった……
物語版ゲシュタルト崩壊させつつ、お話は「第55話 仲間の復活にゃ金がいるわけよ……」へとつづく




