第51話 もきゅ子がプリンセス《お姫様》?
前回までのあらすじ!!
オレは棺でin the sky飛び出したのだったが、その先には大きな木が現われぶつかってしまった。そして静音さんもきゅ子と漫談をしているうち、ついに後ろから追いかけてきたドラゴンに追いつかれてしまったのだった……
「あわわわわわ」
ついにドラゴンに追いつかれてしまい、オレは混乱を意味する呪文を唱えるだけで精一杯。
「うん??? アナタ様一体どうされたのですか?」
「きゅっ?」
ここにきて尚、静音さんもきゅ子コンビは冷静なまま首を傾げるだけ。
「おおおおお、オマエら!? ど、ドラゴンだぞドラゴンっ!! 食い殺されるかもしんないのに、何でそんな冷静なんだよっ!?」
オレは声だけでなく、足までも生まれたての小鹿のようにぷるぷると震わせながら文句を言う。
「えーーっ!? もきゅ子は人間を食べるのですか!?」
「も、もーーきゅっ!? きゅ~っきゅ~っ(ふるふる)」
静音さんは肉食もきゅ子に驚き、またもきゅ子も何故か一緒に驚いていたが首を左右に振りながら「私、人間、食べないよ』っと猛烈にアピールしていた。
(もういい加減、その同じリアクションにはウンザリだわ……)
「いや違くて! この隣にいる大きなドラゴンの事だよっ!!」
オレは未だにボケを続けているお二人さんを尻目に、呆れながらちょいキレてみた。
「ああ~、そっちでしたか~」
「も~きゅっ」
静音さんともきゅ子はようやく納得したかのような表情をする。
「お、オマエらほんと状況分かってんのかよ……」
「ええ……も、もちろんですよー。ねー」
「きゅっ……も、もきゅーっ。きゅーっ」
絶対分かってないように、目を逸らしながら言い淀むように誤魔化している。
「ニンゲンヨ……」
「な、何か声をかけられたような……」
オレは背後から声をかけられ、後ろを振り向いた。
「がるるるるるるっ」
追いかけてきたドラゴンが赤い目を見開き、今にもオレの事を捕食しようとその大きな口を開け唸り声をあげている。
オレはそんな恐怖心からドラゴンに対して日本人風の土下座をして助けを懇願するのだった。
「お、オレなんか食べても美味しくないから!! どうか命だけは……」
「ワレハ、ニンゲンナド……」
「いやいや無理っすよ、まぁアナタ様は美味くないかもしれませんけど、ないよりはマシですしね(笑)」
「もきゅっ(笑)」
「いや、だからオマエらには聞いてねぇよっ!!」
オレは何故だか敵側のドラゴンに捕食を薦める静音さん&もきゅ子に抗議をする。
「……タベヌ、ノダガ」
「いやいや、食べてもらわなければこっちが困りますよ。ねー(笑)」
「もーきゅっ。きゅー(笑)」
「オマエらが困るってどんなんだよ!? 静音さんももきゅ子もオレの味方じゃねぇのかよ! あと草生やしすぎの首傾げての可愛さアピールしすぎっ!!」
「……ア、アノ……ワレノ、ハナシヲ……キイテ……」
「えっ? ワタシともきゅ子がいつアナタ様の味方になったのですか???」
「もきゅっ???」
真剣な顔つきで『味方じゃない宣言』をする静音さんともきゅ子。
「……えっ? ま、マジで味方じゃなかったのかよ……まぁ薄々は気付いていたけどさ。ははっ」
「一人勘違い祭り……寺でワロスワロス(笑)」
「きゅっきゅっ(笑)」
「いや、今この状況下で寺感は関係ねぇだろうが……」
「(神妙な面持ちで)いえ、実はこの『あな嫁』はお寺と密接な関係が……」
「えっ? マジで!?」
「……なかったんです!」
「……ってねぇ話かよ!? そんなのするんじゃねぇよ!! 読者からまた『これって誤字ですか?』ってクレーム来んだろうが!!」
「きゅきゅきゅ(笑)」
そんなオレと静音さんのボケとツッコミのやり取りを見てとり、もきゅ子が死ぬほど笑いまくっていた。
「もきゅ子……オマエも笑ってねぇでさ、この状況を少しは考え……」
「ダカラ……ハナシヲ……………キケッッッ!!!!」
「ぐわおおおおおおっ!!!!!」
いつまでも無視するオレ達に痺れを切らしたのか、自分の言葉に注目するようにドラゴンが大地を揺るがすほどの咆哮をした。
「うおーーーーっ!! すっげぇ大きな鳴き声だな!!」
(やべえっ、すっかり存在忘れてたぜ……)
オレは咄嗟の判断ですぐに両手で耳を塞ぐのだが、ドラゴンの咆哮はほぼそのままの音量で効果はあまりなかった。
「おっきな欠伸ですねぇ~。貴方もそんなに出番欲しかったんですかぁ~? もしかしてそんな大きな姿して構ってちゃんですかね?」
「きゅ~っ?」
まだまだノンビリモードの馬鹿連中。
「ワレハ……セリフモ……デバンモ……ホシクナイ……」
「いやいや、それなら何で追いかけてきたのですか?」
「きゅっ!」
「うんうん」
静音さんともきゅ子がようやくお話を進めてくれるようだ。オレは話が逸れるのを恐れてただ頷くだけだった。
「オマエタチガ……ワレラノ……プリンセスヲ……ツレダシタ……カラダ」
「姫様ぅ~?」
「お姫様……ですか?」
「もきゅきゅ?」
目の前のドラゴンが何を言ってるのか分からず、オレ達は首を傾げた。
「プリンセスってドラゴンのか? そんなのオレ達は……っ!?」
そこでようやくオレは気付いた。そう静音さんが抱いているソイツこと……まさに『もきゅ子』を指しているのではないかと!!
「も、もきゅ子オマエ……オマエが『プリンセス』なんじゃないのか!?」
「ええ、そうですよ~。ねー♪」
「もーきゅっ♪」
静音さんももきゅ子も「あっそうだよー」っと言った軽い感じで答えていた。
「えっ!? し、静音さんは知ってたの!?」
「え、ええ……ワタシは最初から知ってましたよ」
「マジかよ……それを早く言いやがれよ!!」
「(急急)え…」
「ちなみに早口は求めてないからな!!」
「……ちっ」
オレが先取りツッコミをすると、静音さんは残念そうに不機嫌になりながら舌打ちをした。
「ソウダ……ワレガ……」
「あ、あのすみませんが……ぶっちゃけ『カタカナ表記』だと読みづらいんで、普通にお願いできますか?」
オレは読者を配慮し、普通で喋るようドラゴンさんに申し出た。
「メンドウダガ……ショウチシタ……」
オレの願いが通じたのか、ドラゴンは普通に喋ってくれるようだ。
「(こほん)あ~どもどもぉ~。ワテの名は『ジズ』言いますねん。以後よろしゅうな兄ちゃん! そんでな、あんさんら(=主人公達)ワテが目を離した隙にウチの姫さん攫いましたやろ? そんなんアカンで自分ら! いくらウチの姫さん可愛いくても、人間の道外れたらあきまへんっ!」
「……はあ~っ!?」
オレはいきなりの似非関西弁に対して戸惑きを隠せない。
「(だってさ、こんな姿なんだぜ? しかもドラゴンだぜ? 何で関西弁なんだよ……あとさオマエはドラゴンだろ? 何でソイツに人間道を教わりゃならねぇんのだよ!)」
「あなたの言い分も分かりますが、とりあえずワタシ達にも言い訳させて下さい」
「ええよええよ。どんななん?」
「(おい言い訳なのかよ!? しかもドラゴンまでそれをスルーすんなよ)」
「まずもきゅ子を攫った目的なのですが……身代金目的です!! ドヤ」
「静音さん! 何ドヤ顔決めてながら、もきゅ子攫った事を暴露してんだよ!? ってか金目的なのかよ!? そんな事言ったら相手を怒らせるだけだろうがっ!!」
「なるなるやなぁ~。確かに金は大事やもんな! でもな、ウチの姫さんの実家金持ってへんのやけど……自分らまったくの骨折り損やで~」
「な、な、な、なんですってーっっ!? それでは攫い損ではないですか!? 損して損を盗るとはまさにこのことですね!」
「き、きゅ~っ」
「(なんか絵で表現できないくらい、もきゅ子がすっげぇ泣きそうなんだけど……まさか金目的だとは思ってなかったんだろうなぁ~)」
「とりあえず……姫さん攫ったんや、自分ら覚悟できてるんやろうな!!」
ドラゴンは先程とは打って変わり「がるるるる……」と唸り声を挙げながら睨みを利かせ、今にもオレ達を食い殺さんばかりに憤っていた。
「……ま、待って下さい!! 実はさっきのはおふざけで、本当はもきゅ子が迷子だったのです!! それを保護していたら、あなたが追いかけて来た……そうゆう『『設定』』にしてくれませんか?」
「(はい来ました! 来ましたよ! 読者諸君!! 『あな嫁』名物『設定』なら何でも誤魔化せ~る方程式!!)」
オレはたぶんこの危機を乗り越えられるだろうと安易に思ってた。
「うーーーん。でもさ、自分らそれは無理あると思わんの? 第一『設定』って何なん?」
「あっやっぱり~無理でしたかぁ~(笑)」
「いや、何で静音さんは嬉しそうにしてんだよ……」
だがしかし、ドラゴンには『設定』という魔法の言葉は通用しなかった。
恐るべき似非関西弁のドラゴン。みんながスルーしてしまう『設定』ですら、素でツッコミして聞いてしまっている。
「もきゅっ! もきゅきゅっ!!」
っとそのとき、である。またしても、もきゅ子が騒ぎだした。
「も、もきゅ子どうしたのですか?」
「も、もきゅ子?」
「どないしたん姫さん?」
皆がもきゅ子の言葉に聞き入った。
「(と言っても、オレにはもきゅ子の言葉が分からないんだけどね……)」
「もきゅっ!! もきゅう!!」
もきゅもきゅ言いながら、もきゅ子はオレの事を手でぶんぶん指していた。しかも、何だか怒ってる雰囲気を醸し出していた。
「なるほど……確かに……」
「姫さん……それはほんまなん?」
「えっ? えっ?」
もきゅ子の言葉がわからないオレだけが蚊帳の外になり、状況がまったく分からなかった。だが、良い話をしているようにはとても見えない。
オレはもきゅ子が言ってる事が気になり、静音さんに聞いてみた。
「静音さん……そ、そのもきゅ子は何て? さっきからオレの話をしているみたいなんだけど……」
「えっ? あ~……あははははっ。どうやらもきゅ子はアナタ様を悪者にして、この話を丸く治めようとしているみたいですね~」
「おいおい!! オレ何もしてねぇからな!! それで何で悪者になるんだよ!!」
オレは意味の分からず『悪者』扱いされている事に怒り心頭になっていた。
「……ふんふん。あ~逆にアナタ様が『何もしてない』から、悪い? みたいな感じですね……」
「えっ? 何その逆相対性理論みたいな強引な物言いわっ!?」
「いや、ワタシに言われても。もきゅ子が言ったことですし……」
っと静音さんは責任を回避する。
オレはもきゅ子に事の真意を確かめる為に、問いただす。
「も、もきゅ子!! オレが悪いのか!? 悪者なのか!?」
「き、きゅっ?」
「おーっと! あんさんウチの姫さんに悪さする気なら……ぼわっ!!」
ドラゴンはもきゅ子に近づこうとするオレをけん制するように、口から火を吐き出した。
「あっぶねーな!!」
「どないです? ワテの火の甘い吐息のお味は? ちなみに今のは警告も兼ねてますねん。次は確実に当てますさかい……」
そんな火の威嚇もあってか、オレはもきゅ子に近づくこともできなかった。
「(……周り燃えてるけど、いいのかよこれは……)」
先程のファイヤーブレスのせいで森が燃え始めていたが、誰も気には留めてない。
「(『どうせそのうち消えんだろう?』『むしろ焼畑農業に貢献しちゃう?』みたいなノリなんだろうなぁ~)」
オレは燃える木々をただ見つめているだけだった。
「……で、姫さんは……んですか?」
「もきゅっ!」
何やら話込んでいるが、生憎とオレは近づけず話してる内容を知る由もない。
そしてようやく話合いが終わったのか、もきゅ子とドラゴンはオレと静音さんの元へ来た。
「……で、あれなんやが……結果としてはあんさんが悪い!! ちゅう『設定』にしときましたわっ!」
「もきゅっ!」
「結局引っ張りに引っ張って『設定』なのかいっ!! (ツッコミ)」
オレは当たり前すぎる結論に突っ込まずにはいられなかった。
「あんさん、ええツッコミしまんな。さすが主人公補正かかってるだけわありますわ!」
「そ、そんな補正いらねぇよ……」
(大体オレの周りにはボケしかいねぇのかよ……ツッコミ役の割合低すぎだろ)
「で、あなたはアナタ様の事をどうするおつもりなんですか?」
ようやく静音さんも話の進行を始めた。
「そやなぁ~……兄さん、ちょくら首から上を噛み千切ってもよろしゅうおまんな?」
「いやいや、首噛み千切られたら死ぬだろうが!!」
オレは生命の危機を察知したが、平凡なツッコミをするに留まった。
「大丈夫ですよアナタ様……」
「し、静音さん!? もしかして助けてくれ……」
「いえいえ、もし首から上がなくなったら、代わりにそこいらの雑草でも植えて差し上げますから安心して下さいね♪」
「…………それだとさ、オレ……生け花の花瓶になっちゃうよ」
(だってよ、そんなの想像してみろよ。首から上が無くてそこに雑草生えてんだぞ……いや、あまりにも怖すぎる光景だからっ!!)
「さてと、お遊びはここいらにしといて……そろそろ本気で責任とってもらいますわ。みなさん覚悟はよろしいでんな?」
『貴方の目の前に『冥王ジズ』が現われました。コマンドを入力してください』
『たたかう』ただいまお選びできません
『にげる』品切れ中でございます
『説得する』……えっ? それって誰得なの?
『責任をとる』さぁ勇気を出して、自らドラゴンのお口にイートインしましょう(笑)
「相変わらずまともな選択肢とその説明が1つもない!! 大体『説得する』で……誰得? って説明はおかしいだろ!! オレ得じゃねぇのかよ!!」
オレは3段活用ツッコミを決めると、どうにかこの場をやり過ごす方法を模索していた。
第52話でどう切り抜けるかを今考えつつ、お話は「第52話 とりあえず肉体言語で語ろうぜ♪」へとつづく。




