第45話 それは間違っても捨てられた子犬じゃねぇぞっ!!
「も~きゅっもきゅっ、もきゅきゅっ♪」
前回までのあらすじ!!
オレは最近流行りのお一人様パーティよろしく、再び静音さんを棺の上に乗せ教会へと……いや、とりあえず農夫のおっさんの家まで戻ることにした。
「もきゅっ♪」だがその途中……「もきゅっ?」……さっきからこの「もきゅもきゅ」言ってるのなんなんだよ???
「……何かさ、オレの空耳であって欲しいんだけど……静音さ…………ん」
オレは歩みを止め、静音さんにこの「もきゅもきゅ」言ってる音源は一体どこから聞こえるのか? と聞いてみようと後ろを振り返った時のことである。
「えっ? アナタ様何かありましたか?」
「もきゅぅ?」
「……」
静音さんと静音さんが抱いている、その何かは互いに不思議そうな顔をしていた。
……何かオレの知らないモノがいるんですけど。あれはなんだい?
「静音さん……その……あなたが抱いているソイツは何?」
オレは既に答えを理解していたが、一応間違いかもしれないのでとりあえず聞いてみることにした。
「あぁこの子の事ですか? この子は先ほど道で拾った子犬ですけど……カワイイですよね♪ ねー♪」
「もーきゅっ♪」
「……」
静音さんとソイツは互いに「ねー♪」って感じで心を通わせているようだ。
まぁオレも鬼ではないのだ。子犬が捨てられていれば、その可愛さでつい拾ってしまうかもしれないだろう。
ただしっ!! ……である。それが本当に『子犬(他ペットも可)だった場合に限る』という最低限の条件付きである。
ここまで前フリを入れれば、察しの良い読者なんかはオレの次のセリフも想像がつく事だろう。
「静音さん……それは間違っても捨てられた子犬じゃねぇぞっ!!」
オレはここでこの第45話のタイトル回収をすると同時に、ツッコミを入れた。
「えーっ!? そうなのですか!?」
「もーきゅっ!?」
「何二人(正確には一人と一匹)仲良く同じリアクションで驚いてやがんだよ……」
大体ソイツ自体も驚くってなんだよ……人間の言葉理解できるのかよ。
……ソイツは人間どころか、もちろん子犬でもない存在だった。
静音さんが抱いているソイツの正体はRPGでお馴染みの……
「がるるるるっ」
オレが地の文を生かして解説しようとしたまさにそのとき、何かの唸り声が空から聞こえてきた。
バサバサッ、バサバサッ……。
そしてこの羽音は一体……オレはその音を聞き、何故かいやな予感がしてならなかった。
「がるるるるるるっ……がああああああぁっ!!!!!」
「ドラゴーーーーーンっ!!!!!」
『ドラゴン先生がこの世界に降臨いたしました!! コマンドを選んで下さい』
『にげる』しかしまわりこまれてしまい、結局食べられます(ぶふっ)
『たたかう』空から炎でこんがりですね(笑)
『防御』頭から足まで一口でペロぺロリン♪
『死んだふり』ちょっおまっ!? そのまま食われますよ(笑)
「相変わらずまともな選択肢が一切ないっ!!」
だってだって、『にげる』を選んでも既にオチがついてるんだもん!? それに残りの選択肢だって焼かれるか、食われるかだけだしな!
「わなわなわな」
オレはわなわなしながら、恐怖から選択肢を選べずにいた。
「おっき~いですねぇ~♪ あなたも大きくなれば、これくらい大きくなるのですかね?」
「もきゅっ? (ふるふる)……もっきゅもきゅ!! もきゅきゅっ!」
「えっ? こんなちんまいサイズなんかじゃない? 私はボン・キュ・ボンなナイスボディーの『ファフニール』になる予定だ! ですって(笑)。ファフニールの種族ですと、もしかしてお金とか財宝好きなのですかね?」
「もきゅっ♪」
「それは奇遇ですね♪ ワタシも自称守銭奴と名乗るほど、お金が大好きなのですよ~。いやぁ~、これはなんだか運命を感じますね~♪」
……この危機にも関らず一人と一匹はのんびりとした会話をしていた。
そう静音さんが抱いていたソイツとは、赤い色をしたドラゴンの子供だったのだ。
これを読んでいる読者の方々は「もきゅっもきゅっ♪」とか可愛い鳴き声に騙されていたことだろうが、コイツは『ドラゴン』なのだ。
後々あんな(頭上の凶暴ドラゴン)になることを考えると、可愛い顔してなんとやらだろう。だが、今は明日の未来の事を考えるよりも、当面の危機を脱することが先決だ!!
「し、静音さん!! その小さいのは置いておいて、あっちの空を飛んでるドラゴンの方をなんとかしようよ!! い、今にも襲ってくる勢いなんだよ!!」
その間にも上のドラゴンはぐるぐる、ぐるぐる……っとオレ達の頭上を旋回しながら、「がるるるるっ」と威嚇なんだかお腹がすいてる音なのか、識別できないほどの大きな音を立てていたのだ。
「あ~……あれはたぶんお腹がすいているのですよ。ワタシとこの子を助けると思って、アナタ様ちょっくら食べられて来てくれませんか? もきゅ子もそう思いますよねー♪」
「もーきゅっ♪」
まるで返事をするかのように、その……もきゅ子(仮)も頷いている。
(相変わらず静音さんのネーミングセンスなさすぎるだろっ!! あと何で挿絵がゲームぽくなってるのさ!?)
「……ってオレが犠牲になるのかよ!! 腹すいてたのかよアイツわ!? どっか飯食いに行けよ!」
やや遅ればせながら、無難をツッコミを入れた。
「えぇそうですよ。アナタ様が先程『お腹がすいてる音なのか~』っと解説されましたので、作者の方がそれを拾い、今しがたそのように設定したようですよ~」
「それが本当だとすると、オレはセリフどころか心の声、いや本文補足の文字すら説明できなくなるだろがっ! 主人公なのにオレはもう喋らなくていいのかっ!? だったら、オレはもう黙って……」
「つ一」
「……具になるたいわ!!」
……うん? 何かさ、今おかしいとこなかったか???
「あっ、ならちょうど良いですね♪ ささっアナタ様、さっそくあの飛んでる奴の具になってきて下さいよ~♪」
「だからならねぇよ!! 大体なんだよ『具』ってのは!!」
「いやいや、アナタ様が『オレはもう黙って具になりたいわっ!!』と叫びましたよね? 『具』つまりはエサって意味ですよね?」
「オレがいつ、『具』などと言ったんだよ!!」
「言いましたよぉ~……なんならログってみますか?」
「ああ、いいともさっ!!」
オレは静音さんが言うがまま、先程のやり取りをログってみることにした。
「……」
「ね! 言ってるでしょ?」
……うん。確かにオレはセリフの所で『具』って言ってるね。
「……ってなんだよこの『つ一』ってのわ!」
「あっ、それはワタシが勝手に付け足しといてやした☆てへっ」
「もろ静音さんが犯人じゃねぇかよ……」
貝に『一』を付け加え『具』変貌させつつ、お話は第46話へとつづく。
※パティーン=あな嫁独自の語句。パターンの上位互換を指す




