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あな嫁~あなたの目の前に野生のお嫁さん候補(お嬢様)が現れた!!入力コマンドは!?……だがしかし、コントローラーにシカトされてしまったようだ。~  作者: 立花ユウキ/scarlet
第3章本編『そして、長い旅の始まり……』

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第37話 輪廻-りんね-

 貴方はまだ一度も『傍観の書(ブックマーク)』に記録(追加)をされておりませんでしたので、すべて最初から(・・・・)となります。……ですが!! 本来ならすべて始めからのスタートになりますが、ぶっちゃけ面倒なので自動記録地点(チェックポイント)より、物語を再開させていただきます。ですが、これまでに獲得した経験値やお金(シルバー)また記憶などはすべて自動記録地点以前の記録となります。……今後はこまめに記録しやがれよ!!』


『物語を再開しますか?』

『はい』←

『いいえ』


『Now Loding. しばらくそのままでお待ちくださいませ……』

挿絵(By みてみん)


<第9話 異世界(RPGの世界)へようこそ!>


『そうですか……残念ながら死んでしまったのですね。……貴方はまだ(・・)この世界に抗うつもりなのですか?』


「…………」


『ここより先は既読部分です。文字数節約の為、重要選択肢部分(ターニング・ポイント)まで自動(オート)スキップさせていただきますね♪』


・・・

・・


<第35話 静音さんの正体とは……>


「おい小僧! どうしたのじゃ? せっかく(わらわ)が『魔力移動マジスティック・ムーブ』でお主に『力』を分け与えてやったのじゃぞ! 早く(はよう)静音にライブラを使わぬか!!」

「あ、ああ……」


『貴方のアクセス権限が認証されました……。ライブラを『僧侶:静音』に使いますか?』

『はい』

『いいえ』←



「…………」


 オレは理由もわからずに、ここでライブラを静音さんに対して使うことを躊躇ってしまう。


「どうしたのじゃ? ボーっとしよってからに!! 早く(はよう)せい!!」


 急かすサタナキアを尻目に、そっと静音さんに目を向けた。

 静音さんは下を向き、何かを我慢するように今にも泣き出しそうな顔をしていたのだ。オレはそれを見て、得も知れぬ不安と気持ち悪い恐怖から選択肢を選ばずに……逃げ出した!!



 すぐさまクルリと回れ右をすると天音や静音さん、敵のおっさんらを置いてけぼりにして、先ほど街から来た道の方へ全力で走り出した。


「おい小僧ぉっ!! お主どこに行くのじゃ!! 待たぬ…」


 サタナキアさんが何かを叫んでいたが、もはやどうでもよかった……


「はぁはぁっ!! はぁぐっ!? っと、とと、はあはあ…」


 小石に足をとられ、それでもなお、みっともなくまるで正体の見えぬ恐怖から逃れるように一心不乱に、走る! 走る!!


「(ゴクリっ)はぁはぁ! ……んっふぅ」


 普段の運動不足のせいか30秒も走らずに息が切れ、より酸素を多く取り入れるため口を開けて走る。そのせいか喉の渇きが酷くなってくる。

 だがしかし、オレはそれすらも気付かぬよう、ただただ逃げ出すように必死に走っていた。


「(さっきの違和感は一体なんだっていうんだよ……もしあそこで選んでいたらどうなっていたんだ……)」


『貴方はまだ選択肢を選んでいませんよ!! 早く選んでください!!』


「ええいっ!! うるさいうるさいっ!! もうオレに構うなっ!!!!」


 オレを追いかけるようにまた「逃がさん!」ばかりにオレの行く道を遮るよう、次々と赤文字の選択肢表示が浮かび上がる。


『逃げるのダメ! ぜったい!! 後悔しますよ!! ……絶対におめぇだけは逃がさないからな…………』


 それまで女の人の声だけだったが、最後の声はまるで男の恨みが篭もったような声へと変わっていた……。

 オレは怖くなり後ろを振り返るのだったが……声と文字だけが追いかけて来るだけで、不思議と誰も追いかけては来なかった。


『ビービー! エラーエラー! その行動は筋書きにありません!! 早く選択肢を選んでください!!』


 オレはまだ空に浮かんでくる文字をかき消すように右手左手っとまるで暴れるように振り払う。まるで文字の海に埋もれてしまい、それを掻き分けてるような錯覚にだんだんと陥っていたのだ。


『……てめぇクソガキがっ!! こっちが甘くしてりゃ調子に乗りやがって!! これ以上逃げるならブチ殺すぞ!!』


 度重なる選択肢さんの警告を無視したせいか文字が、言葉が、次第に過激になってくる。だが、オレはそれすらも無視するかのように走っ……


 ヒューーーーン!! そのとき……ふと……背後から何かが飛んでくる音がした。そして背中に強い衝撃を受け、まるでスローモーションのようにゆっくりと地面が近づくとオレはそのまま地面へと倒れこんでしまう。

 そしてまるで狙い済ましたかのように、声が、そして文字が、……オレの目の前に表示されていた。


『だから逃がさねぇっつてんだろ!! 馬鹿がぁっ!! けたけたけた……』


 そう吐き捨てるように、気色の悪い「けたけた……」っという笑い声が耳を通さず、直接脳へと響かされる。

 ……だがオレは倒れてはいない。オレを通して何かが支えとなり、辛うじて倒れるのを免れたのだ。

 だから倒れはしなかった。だがその代わりといわんばかりの鋭いフォーク状のモノがオレの体を腹を貫いていた。


「……こ…れはっ? …………っ!?」

(農夫のおっさんの武器……か……)


 それそれは『聖剣フラガラッハ』と同等の威力を持ち、なおかつ自動追尾(オート・フォーミング)機能を持つ伝説の槍『ロンギヌス』だったのだ……。


「(まさかマジであの農機具(ピッチフォーク)が『伝説の武器』だったなんて……てっきり冗談だとばかり思ってたんだけど……)」


 ガクガクガク……。っと何かの拒絶反応なのか、突如として体が痙攣してズルズルっと音もなく、またその振動で地面へとゆっくりと落ちてゆく……。


「…………」


 そうしてオレは動けなくなり、地面と再びお友達となってしまい……また死んでしまったのだった……。



『You are dead.あなたは死にました。またのご利用を心よりお待ちしております(ぺこりっ)』



・・・・・

・・・・

・・・

・・



『はぁ…ま~た貴方は死んでしまったのですか……ほんとやれやれですよまったく(ふぅ~っ)』


「…………」


『貴方、これで死んだのは何度目だと思ってるんですか?』


「…………」


『……えっ? もう死んでるんだから、そんなの覚えてるわけないだろって? 貴方はそんな逆ギレできる立場なんですか!? まったくもう……イチイチ『』(かぎかっこ)で駆り出される身にもなって下さいよ。ま、ワタシとしてはセリフ(仕事)が増えますから、貴方が死のうが生きようが別にどうでもいいんですけどね』


「…………」


『えっ? 「どうでもいいからさっさとオレを復活させて物語を始めろよ!」ですって? ほんと何様なんだか。ええいいですよ、さっさと始めさせてやりますよ!! ですが貴方を復活させるのは今回限りで打ち切りにいたしますからね!!」


「…………」


『もう二度と貴方は復活できませんので、どうぞごゆるりと必死にあの世界にてもがき苦しみ、二度と死なぬよう頑張って下さいね……アナタ様(・・・・)♪』


「…………」


『…………』


「…………」


『……って、だからもう復活してんだから、起きんかいワレぇ~っ!! 毎度毎度コレはてめぇが望んだことだろうが!? 袋潰すぞコラっ!! (ボゴォリッッ!!)』


「……そこなのじゃっ!! (ボゴォリッッ!!)」

「ぐはっ!?!? うぷっ…お、おぇぇっっっ、……い、いっててぇ~、い、一体何事だっ!?!?」


 オレはいきなり衝撃と腹(主に肝臓部分)への痛みから涙目になり、口から色んなモノを撒き散らしながら、お口のすっぱさの原因を探ろうとするが、まったくもって訳が解らなくなっていた。……普通にあと肝臓部(ぽんぽん)痛すぎ問題発生中!


「何をゆうておるのじゃ! お主が悪いんじゃぞっ!! この肝心な時にボーっとしよってからに、だから(わらわ)がそのガラ空きの肝臓(リバー)部分に(ガード)部を気付けとして当て込んでやったのじゃ!! 感謝してもよいのじゃぞ!」


「(『剣先じゃなかっただけありがたいと思え!!』などと偉そうに……え~っと、コイツは確か……サタナキアか? そうだっ! コイツは勇者である天音の意識を乗っ取った『聖剣フラガラッハ』の剣身(ブレイド)に封印されし『魔神サタナキア』だっ!)」


 オレは今の状況を確かめる為、心の中でそう秘かに回想をした。


「だから今更何をゆうておるのじゃ! お主もうボケておるのかえ?」


 ……したのだが、どうやらオレの心の中でヒソった回想は、相変わらず周りの人間及びサタナキアさんにまで駄々漏れ状態のようだ。あとオレはツッコミ枠なので、ボケ担当ではないぞっ!!


「だ、大丈夫! ぽんぽんあたりがすっごく痛いけど、死にそうにクッソ痛ったいけど……オレは男の子だから大丈夫だぁっっ!!」


 オレは肝臓部の痛さを「男の子だから……」という理由で逃れようと画策した。


「……男の()じゃと? お主もしやヘンテコなおじさん(女装)趣味でもあるのかぇ?」


 だがしかし、サタナキアさんは別の意味で捉えやがった。


「(今のぜってぇ~ワザとだよな。だって最初に三点リーダーで、しかも偶数入りだもん。その僅かな間で上手い事を考えてたよな?)」


 確実に落としにきているサタナキアをなんとか回避するため、オレは先ほどの気付けについて問いただした。

※この場合の落とすは、罠に()める事(主人公が女装趣味だったという事実なき(・・・・)既成事実)を指す


「サタナキア! いくら気付けだからって何も肝臓(リバー)を狙うことはねぇだろう!」

「だって、ガラ空きだったんだもん♪ あっ、キャラ台詞間違えた。……お、お主の肝臓部さんが寂しそうにしていたからなのじゃ!! だから妾が寂しくないようにと、鍔を友達として放り込み連れてきたのじゃぞ!! 感謝こそすれ怒るのは筋違いなのじゃ! これだから最近のすぐにキレる若者というのは……ぶつぶつ、ぶつぶつ」

「なんだよ、その女子高生(JK)っぽい言い方わっ!! 静音さんに続いてサタナキアさんまでキャラ崩壊させる気なのか!? あと肝臓先生は孤独を愛する臓器なので、孤独でも全然心配無用ですからねっ!!」


 サタナキアさんは未だがクドクド……っと「最近の若者は~」っと枕言葉のように文句を言っていたが、そもそもオレはそれどころの話じゃなかった。

 先ほどの攻撃……もといいや気付けによってもはやリバースエンジニアリングばりに、吐血やらなんやらをリバースしてしまったオレの体力は既に『HP1』表示。

 もはやそこらを優雅に歩いている火蟻(ひあり)共に齧られただけでも、死んでしまうだろう。


「そそそ、そんなことよりもなのじゃ!! 静音に『ライブラ』を使うのじゃ!!」


 本来のシナリオを思い出したのであろうサタナキアは強引に話題を変えた。


 「……毎度毎度件長すぎだよ。ったく……はいはい! 使えばいいん……だ…ろっ……う?」


 ……だがそこで、オレの中でナニか(・・・)が引っかかった。


「(あれ? 本当に……仲間の静音さんに使っても大丈夫なのか???)」


 何故だか不安に駆られ、ライブラを使うのを躊躇ってしまう。


『貴方のアクセス権限は既に(・・)認証されております……。ライブラを『僧侶:静音』に使いますか?』

『はい』

『いいえ』


 そんなオレの心情を知ってか知らずか無情にも選択肢が表示されてしまった。

 オレは…………


『はい』

『いいえ』←


 矢印表示そのままの『いいえ』を選択してしまった……。


「……これでほんとに良かったんだよな?」


 自分自身の行いを誰に言うでもなくそう呟いた。


「あ、アナタさまはワタシのこと信じてくれるのですね!」


 今の今まで泣きそうだった静音さんが、笑顔となっていた。


「こ、小僧! 何故なのじゃ!! 何故そのような選択肢を……ぐぬぬぬっ」


 サタナキアはオレがライブラを使わなかったことに心底驚き、自分を信じて貰えなかったことに当然不満を露にする。


「サタナキアさん。確かに静音さんは怪しいし金にはうるさい守銭奴だし、オレの事を何度も何度も殺そうとした……だが! オレは……オレ自身は仲間を信じるよ!! ただ……それだけなんだ」

(……あと『はい』を選ぶと絶対に後で仕返しされそうなんだもん。下手すりゃ殺されるかもしんないし)


 本音を隠しつつ、静音さんを信じることにした。


「ぐぬぬぬっ……だがな!! その女にはまだ隠……」


 何かを言いかけたサタナキアさんの言葉がそこで止まってしまった。


「ん??? サタナキア……さん?」

「…………」


 オレはサタナキアに声をかけるが何故か無反応だった。もしかしてサタナキアさんまでオレを無視(シカト)なの???


「たぶんですが……動力切れかと思われます」


 静音さんが自信なさ気にそう答えてくれた。


「……Why? It's Satanakia douryoku ナッシング? Are you OK?」


 オレはその意味の分からなさから、更にワケのわからない適当な日本語混じりの英語で返した。


「Yes,Yes!! All or ナッシング!! ……あの、あんま適当な英語だと冗談抜きに読者から『誤字だ! 雑だ! USO(うそ)だ! 今晩のおかずはっ!!』っと四段仕込みのクレームが来るので、日本語で言ってもらえますか?」


 途中まで乗り気だった静音さんが読者からのクレームを恐れて素で返し、オレにまともに喋るようにと促す。


「……はい。え~っと、何でサタナキアの動力が切れたのですか? 静音先生教えて下さい! あと今夜のおかずは……『お姉さんモノ』です! ドヤ」


 オレはアホな子のように静音さんに教えを請いつつ、今夜のメインディッシュを暴露した。


「あ~……ぶっちゃけ魔神サタナキア《サナ》は『大魔導書グリモワール』(通称グリモちゃん)から出てきたとの『設定』を以前に説明しましたよね? 魔法などを使う時だけでなく、自分の存在・意思を具現化する(・・・・・)には常に『動力』が必要になってくるわけです。サナがグリモちゃんの近くにいれば、テスラコイルのように無線(ワイヤレス)で動力供給されますが、如何せん手元にグリモちゃん(供給源)がない状態では外部動力源に頼らなければならないのですよ……」


「……で、その外部動力とやらが……切れたと?」


 コクリコクリ……。っと静音さんはオレの言葉を肯定(コウテイ)するように、無表情のペンギンのように頷いていた。なんだかそれがちょっと怖かった。



 皇帝ペンギンに恐怖しつつ、お話は第38話「勇者死するとき……」へとつづく。

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