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あな嫁~あなたの目の前に野生のお嫁さん候補(お嬢様)が現れた!!入力コマンドは!?……だがしかし、コントローラーにシカトされてしまったようだ。~  作者: 立花ユウキ/scarlet
第5章本編『終わる世界』

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第209話 同じ思考と議論は続くよ……

(やっぱ静音さんはすげぇわ。雨漏りの滴からここまでの話広げられるんだもんなぁ~。しかも中学生とかそんなもんでだぜ)


 正直静音さんの話の半分も理解できなかったオレだったが、その言葉巧みな話術と雰囲気に魅了されてしまっていた。


「くくくくくっ……あ~はっはっはっはーっ」

「天音お嬢様っ!?」

(天音っ!?)


 今まで静かに静音さんの話を聞いていた天音が突如として大きな笑い声を上げ、オレと静音さんは同じリアクションを取りながら驚いてしまった。


「あっいや、驚かせてすまないすまない。まさかアイも私と同じ(・・)考えに到っていたんだなっと思ったら、何故だか笑いが込み上げてしまってな! そっかそっか小規模の水力発電に至ったのか」


 天音は静音さんに笑ったことに対する謝罪の言葉を口にすると同時に、どこか納得したように顎に手を当てて頷いている。


「天音……お嬢様も同じことを考えていらっしゃったのですか?」


 静音さんはまさか自分と同じ考えに天音も到っていた事に驚いた様子。


「まぁ同じと言っても私の場合は『水力』ではなく、『太陽()発電』だったんだがな……」


 っと天音は静音さんに対して同じく説明していった。


 ちなみに『太陽熱発電』とは、高価なソーラーパネルを用いて太陽の()を集積して発電する『太陽光発電』とは違い、太陽の()を利用する発電方法だ。原理は凄く簡単で、先にも述べたとおり火力発電のように水を熱し蒸発させ、その蒸気でタービンを回して発電をする。


 だが、火力発電などとの大きな違いは石油・石炭・天然ガスなどは用いず、太陽の熱だけで発電する点である。様々なやり方はあるのだが、反射鏡(ミラーガラス)や湾曲に加工した鋼鉄などで太陽の光と熱を集め、それを熱伝導率が高い熱媒体(オイルや溶融塩など)が流れるハイプで熱することで水を蒸発させてタービンを回し発電をするのだ。


 使用されるのがオイルの場合、何度でも使い回しができる為に使い古した廃油でも何でも構わないのでまさしくエコロジーそのものである。またその水は電力をあまり必要としない夜間中に蓄熱したものを利用して、地下水を汲み上げて電力を必要とする日中に発電させる。


 設備費用も高価な金属やシリコンを用いたソーラーパネルとは違い、数分の一の初期投資で済む。その上で廃棄する際も鉄などはリサイクルできるので、ソーラーパネルのようなリサイクルできない代物とは環境負荷に雲泥の差があるのだ。


 今でこそ日本では下火であるこの『太陽熱発電』はその昔、一般家庭の屋根に上げられ黒塗りのパネルとして設置されていたことがあった。だが、それで発電するわけではなく主にお風呂の水を温めるのに使われていたのだ。


 まぁ尤もアメリカやドイツなどの欧州辺りでは、この再生エネルギーの発電方法に注目が集まっている。理由は先に述べたとおり初期費用が低く、廃棄ロスの際の環境負荷も少ないうえに地方の広大な土地を活用できる利点がある。近年ではサウジアラビアやサハラ砂漠などの無益な『砂漠地帯』を有効活用しようとする動きもあるのだ。


 そして何より1番の違いはエネルギー変換効率である。変換効率とはその名の通り、受けたエネルギーを電気に変える割合のことだ。今現在ではソーラーパネルを用いた太陽電池モジュールでは20%ほどであるが、太陽熱発電では50%と倍以上の開きがあった。


「……というわけで『トラフ式』の太陽熱発電を思いついたのだ。まぁ私の場合、日本では設置できる場所が限られるので地方の休耕地を安く借り上げようと思ったのだが、送電の問題からアイのアイディアには遠く及ばないがな……」


 長々と説明を終えた天音は、やや自虐りながら静音さんのアイディアの方が優れていると褒めていた。


「いえいえ、そんなことはありませんよ天音お嬢様! 確かに今の日本で流行している太陽光発電とは一線を画くアイディアだと思います! 何より風力発電のような公害も起きませんし……」


 風力発電は一見良い発電方法であるが、『初期投資の高額化』『発電量の少なさ』『メンテナンス費用』『外観問題』そしてなにより、風車が回ることによる低音波公害が問題なのである。もっともソーラーパネルも住宅地、主に都会などでは光源による公害も裁判に発展するなど水面下では問題になりつつあるわけだ。


「送電の問題は確かに重要ですよね。長距離ですと抵抗により電力喪失が5%程と僅かながらにも起きますし、それに距離が伸びれば高圧送電線用の合金アルミも必要になりますしね。そういえば確か今月号の『幾何学雑誌ネーチャン』に従来よりも高温で超電導になる『高温超電導体』について書かれていましたね」


 みやびさんはそう言いながら、表紙が幾何学模様のAA(アスキーアート)で描かれた姉と思われる人物が載った雑誌を取り出し、二人に見せていた。


(あの表紙見てると、すっげぇ目がチカチカするわ。ってか表紙のねーちゃんは誰なんだよ……)


 オレは何度となく瞬きをするとまったく関係ないのに、その表紙に描かれている人物が気になってしまっていた。


 ちなみに『超伝導』とは、合金などの金属(超電導体)を超低温に冷却すると電気抵抗がゼロになることを指す。発電所から変電所へ高電圧で送電するのだが、一般家庭まで送電するには段階的に電圧を下げる必要がある。その際の電気抵抗により、電力喪失が生まれてしまうのだ。高電圧のままなら抵抗が低くなり、電力喪失も少ないのだが家庭では100Vないし200Vが主流なのでそのままでは使えない。


 超伝導を作るには高価な液体ヘリウムを用い摂氏マイナス273.15度、つまりは絶対零度まで下げる必要があり技術的には理想なのだが、コストの面で難があった。だが、近年発見されたレアアースやレアメタル(超電導体)を使い、また技術革新により高温状態の摂氏マイナス160度程度でも超伝導になる技術が開発されると記されていたのだ。


「ふむ。確か以前にも有機化合物に酸化アルミの粉末を載せ、摂氏マイナス156度程度で超伝導に成功したなどの論文が載せられたが……」

「ああ、あれは捏造でしたね。そもそもあの人は実験すらしていませんでしたしね。まさに机上の空論も良いところでしたね」


 天音と静音さんは楽しそうに雑誌を読みながら議論を続けていった……。



 第210話へつづく

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