第154話ー番外編ー ジャスミンの簡単お料理教室~ナポリタン編~ その3
ジャーッ、ジャーッ♪
「う~ん♪ ケチャップがコゲる匂いが何とも食欲をそそるのぉ~っ!! もう食べれるのかぇ? 妾もう腹ペコなのじゃが……」
「もうちょっとで完成だから我慢しようよ♪ ちなみに聞くけど、サタナキアさんって剣なのにお腹とかあるの?」
「……妾には、心のお腹がブラックホールのように透明として存在するのじゃよ」
「そ、それは意味が分からないよね?」
二人は無言となり、麺を炒める音だけが響いていた。
「ま、まぁよいわ! ジャスミンよ!! 先程までは水っぽかった麺じゃたのじゃが、次第に程好い感じになってきたのぉ~♪ 傍で見ているだけで、美味しそうじゃと分かるぞ!」
「う、うん。炒めてるとケチャップの水分が蒸発するからね! それに最初麺に油を絡めてたでしょ? だから油とケチャップが良い感じに絡み馴染んで、より美味しくなるんだよ♪ じゃあ、そろそろさっき炒めた具材を入れようか♪」
ジャスミンはそう言うと、先程炒め取り分けていた具材をフライパンの中へと入れた。
「もう具材にはちゃんと火が通ってるから、全体的に混ぜるように炒めたら完成だね♪」
「おっほぉ~っ♪ 美味そうなのじゃ美味そうなのじゃ♪」
ジャカジャカ、ジャカジャカ。ジャスミンはフライパンを回すように揺すり、菜箸で麺を絡めかき混ぜる。
「は~い♪ ジャスミン風ナポリタンのか~んせい♪ あとはお皿に盛り付けるだけだよ♪」
「おおっ! マジで美味そうじゃのぉ~♪ なら妾が皿を用意するとしようかのぉ~♪ ふんふんふ~ん♪」
鼻歌を混じりにサタナキアは皿を用意しようとしていた。
「あっ、ちょっと待ってサタナキアさん! ふふふ~ん♪ 実はね、既に用意してあるんだよ♪」
「ほぇ? そうなのかえ? も、もしや……」
「お察しのとおりだよ! じゃ、じゃーん♪ これが木のプレート(受け皿)と熱してあったステーキ用の鉄皿! 冷たいお皿じゃなくて、これに盛り付けるのがナポリタンの極みだからね♪」
「そ、そうじゃったのか!? 何じゃかコンロに鉄皿があるのぉ~っと思っておったのじゃが、それはそうゆう意味じゃったのか!」
ジャスミンは説明しながら、鉄皿専用のハンドル(挟み込む道具)で熱してあったステーキ用の鉄皿を挟み込み、木のプレートの上に置いた。
「ちなみに何で木の上に置くのじゃ? そのままじゃ何かマズイのかえ?」
「ははっ。そりゃもちろんだよ。だってこの鉄皿は熱してあるんだよ。このままじゃテーブルが焦げ付いちゃうし、下手すりゃ火事になるかもしれなしね! それにそのままじゃ運べないもん。じゃあナポリタンを盛り付けるよぉ~♪」
ジャスミンはフライパンを持ち、先程炒める時に使っていた菜箸で巻き込むようにナポリタンを絡め、熱した鉄皿の上に盛り付けてゆく。
ジュ~ッジュ~ッ♪ 麺が熱した鉄皿に触れて更に焦がす。
「おおおおっ!! 何とも良い音と香りじゃのぉ~♪ ジャスミンよ! この為に鉄皿を用意したのじゃな!!」
「へへっ~ん♪ それもあるけどね」
ジャスミンは含みを持った言い方をしながら、とある丸いモノをナポリタンの上に盛り付けていた。
「ジャスミンよジャスミンよ!! そ、それはまさか伝説の……ミートボールではないか!! そんなモノを最後の最後に隠しておったとは……お主もなかなか悪よのぉ~♪」
「へへへ~っ。サタナキアさんほどじゃ~ないよ♪ それにやっぱりナポリタンって言ったら、これだもんね♪」
二人は悪代官と商人のようなやや悪い顔をしながら、上に乗せられたミートボールにちょっとだけ興奮を示していた。
「これで最後にナポリタンの上に、粉チーズをパッパッと振りかけて……っと。は~い、これで『ジャスミン風ナポリタン』の完成だよ♪ 冷めないうちに食べよっか♪」
「おっほぉ~♪ マジヤバそうなのじゃぞ! さぁさぁテーブルへと、急げ急ぐのじゃ!」
「はい! じゃあ、サタナキアさんもフォークを持って……って、もう食べ始めてるし!?」
「熱々じゃのぉ~。美味いのじゃ美味いのじゃ♪ ウインナーだけでなく、ミートボールがまた泣かせるのぉ~♪ 妾はピーマンなんか嫌いじゃったが、これは美味しくてついつい食べてしまうのじゃ!」
「ちなみに熱いモノを食べる時には、より食べ物が美味しく感じるんだよ♪」
「んっ? そうなのかえ? どうしてなのじゃ、ジャスミンよ?」
サタナキアは剣をケチャップで汚しながら、質問をする。
「うん。実はね、『これは熱い食べ物なんだぞ!』って脳が認識すると、食べる前に『ふぅ~ふぅ~』って息を吹きかけて冷ますでしょ? これも味覚だけに神経を集中させる事で、同じ料理でもより美味しく感じる事ができるって話なんだ♪」
「そうなのかえ!? 妾はそのようなこと知らなかったぞ! 何だかそのような話を聞いてから食べると、より美味しく感じてしまうのぉ~♪ それに鉄皿で熱せられておるから、いつまでも温かいのじゃのぉ~♪ あとこの焦げ目がまた美味なのじゃ~♪」
サタナキアはそう言いながら、まるでその身を捧げるようにナポリタンへと埋まっていく。
「うんうん! 良かった良かった♪ サタナキアさんに喜んでもらえてぇ~♪」
「…………」
だがしかし、サタナキアは無言のままナポリタンの海に埋まったまま、静止してしまっていた。
そしてその異変に気付いたジャスミンが慌てて声をかける。
「あ、あれ? さ、サタナキアさんどうしたの!? 喉に詰まったの!?」
(ほんとは、そもそも喉なんかあるか分からないんだけどね)
「……いや、な~に。ちょっと疑問に思うてしもうてのぉ~。時にジャスミンよ。この料理の名前は『ナポリタン』で合っておるのか?」
「えっ? あ、ああ……うん。そうだけど……それが何か?」
ジャスミンは突然のサタナキアの質問に戸惑ってしまう。二人で作っていたのに何故今更料理の名前を聞いてくるのか……っと。
「ジャスミンよ……あまりショックを受けないで欲しいのじゃがのぉ。実は……実はのぉ~、ナポリタンは日本の料理なのじゃぞ! 本場ナポリにはこのような『ナポリタン』なんぞ存在しないのじゃ~~っ!!」
「えっ? あ、うん。それくらい知ってたけど……」
二人の温度差はとても文字で言い表せるほどではなかった。
「あ、あれ? ジャスミン、そのことについて驚かんのかえ? 妾はてっきり驚くと思うておったのじゃが……」
サタナキアは自分の思惑が外れてしまい、少し戸惑っていた。
「えっ? だってサタナキアさん、これは……番外編なんだよ。本編とは一切関係ないお話って、但し書きにもあったじゃない? それに本編のボクはトマトには毒があると思ってるから、ましてやケチャップなんか使うはずないよ」
「そ、そうなのかえ!? 妾気付かんかったのじゃ! もしやして……妾の勇み足になってしもうたのか?」
「まぁそうゆう時もあるよ。ちなみにこのナポリタンの作り方も作者の人が、実際に普段から食べてるのを書きたかったから『番外編』として書いたみたいだしね」
「……そのような裏の事情を話して本当に大丈夫なのかえ?」
「も、もしもの時は……一緒に干されようね、サタナキアさん!」
「そ、そうじゃな……お主と一緒なら干されても何だか安心するわ。ジャスミンよ!」
「じゃあ気を取り直して、冷めないうちに食べようか♪」
「そうじゃな! どうせ干されるなら、これを食べてからにしようではないか♪」
そうして二人はいつ作者から干されるのか!? っと心配しながらも、ナポリタンを食べきるのでしたとさ。
第155話へつづく




