第112話 ギルドって何?
前回までのあらすじ!!
アリッサから麻袋いっぱいの金貨を貸し付けてもらうことになった。その価値はシルバーに換算すると、1万シルバー以上になるらしい。まぁあくまで借りるだけで、ちゃんとアリッサに返済しないといけないわけなのだが……
それにしても不可解なことがある。それは……静音さんの態度だった。あの守銭奴な静音さんが、何故か目の前にある金貨にまったく一切の反応を示していないからだ。通常なら「アナタ様! これは私が生涯を通して一生預かっておきますからね!!」などと屁理屈を言って懐にしまっちまうのだが、どうにも反応が鈍い……いや、おかしいと言ってもいいだろう。
思えばアリッサから『魔王討伐』を頼まれた時から、静音さんは言葉に詰まったり、言葉に含みがあったりと何故か変な態度をとっていたと思う。
「(もしかして、静音さんは……魔王に心当たりでもあるのかな? 知り合いとか? だから討伐に躊躇している?)」
オレの中でそんな疑念が少しずつ大きくなっていくのを実感していた。
「うむ! とりあえず今日のところは、宿屋に戻ってみんなで食事でもしないか? その、葵も……」
天音は葵ちゃんにちらりと目線を向けた。
「カジカジ……へっ???」
「きゅ~きゅ~」
まだ葵ちゃんはもきゅ子を頭から齧っていた。
「(あれ大丈夫なのかよ? 葵ちゃんの口離したら、もきゅ子の頭に穴とか開いてないよな?)」
そんなオレの不安を他所に、天音は言葉を続けた。
「げ、限界のようだしな……どうだろうか?」
姉である天音は妹の醜態を見て、若干引き気味になりながらもそう言葉を絞りだしていた。
「そうだな! オレも(もきゅ子の為にも)それがいいと思うぞ!! 静音さんもそれでいいよな?」
「……ええ。ワタシはただ従うのみですしね……それがいいのではないでしょうか?」
また含みのある静音さんの言葉。
「(やはり何かあるのだろうか?)」
そう思っていると、アリッサに再び声をかけられる。
「アンタらもしかして、向かいの『宿屋』に泊まるのかい? まぁこの街唯一の『宿屋』だしね。それならついでに宿屋にある『ギルド』にも寄るといいさね」
「ギルドって???」
アリッサはそう言うと、『ギルド』の意味が分からないオレに説明してくれる。
「まぁ『ギルド』って言ったら大げさかもしんないけど、あそこの宿屋には『酒場』も併設されててね。そこで酒はもちろん食事を取ることもできるし、また街に住む何かしら困った人から、『依頼』を受けれる場所も兼ねてるのさ」
「困ってる人から依頼を? アリッサ、具体的にはどういったモノが『依頼』としてあるんだ?」
「依頼ってアルバイトみたいなものなのかな?」とは思いつつも、アリッサに続けて説明を促す。
「そうさね。簡単に言っちまえば『旅商人の護衛』や『魔物の討伐』に『探し物』や『尋ね人』……っと、それこそ色んなモノが依頼として掲示してボードに張ってあるのさね。もちろん依頼の難易度によって報酬も変わるだろうね。また報酬として金を貰える場合もあるし、何か貴重な物を貰えるかもしんないよ!」
「へぇ~それは便利だよな! 困った人はそこで頼めるし、オレ達みたいに金に困ってる人間にもそうゆう場があれば便利だしな!!」
どうやらギルドとは困った人とそれを解決してくれる人とを繋ぐ場所らしい。まぁそれで利益を得ているのだろうけど、今のオレ達にとってそんなありがたい場所は他にはなかった。
「それにギルドにはそれら目当ての人が集まるからね。仲間を集める目的にも使えるのさ。そこで旅をする人を依頼として募集してもいいし、志が同じなら無償で仲間になってくれるかもしんないよ! ま、そこらあたりは実際に自分の目で見て、気になる依頼があったらギルドも運営している酒場の主に直接聞いてみるといいさね。それに『依頼』を受けるにも『仲間を集める』にも、まずは酒場の主に話を通さないとダメだしね」
っとアリッサは付け加え説明してくれた。
「そっか。ギルドでは『依頼を受ける』、そして『仲間を集められる』……そんなのがあったのか! ならそれで金を稼げればアリッサにもちゃんと返済することもできるし、『魔物』を倒せば経験値にもなるよな? それに一緒に戦ってくれる『仲間』が手に入るかもしんないし、オマケに食事までできる……まさに『ギルド』ってのは、今のオレ達にとっては一石四鳥の場所だよな! よし!! もきゅ子が齧られ死ぬ前に、また葵ちゃんが餓死する前に一刻も早く宿屋に向かうぞ!!」
っとみんなに促し、急ぎ宿屋へ向かうことにした……。
第113話へつづく




