第105話 たかがチョコアイス1つで世界が滅びる!? ……かも?
「妾のチョコアイスはどこなのじゃ~? 今にも溶けそうで美味なチョコアイスぅ~?」
サタナキアさんはまるで、子供が親にスーパーのお菓子売り場でお菓子を強請るように「チョコアイス……」っと連呼していた。
「(人ではない剣の癖にチョコアイスを欲する魔神ってどうなのよ? もう下手したら、チョコアイス一個が欲しい為に世界とか滅ぼしかねんぞ!!)」
そしてオレは残酷にも、そんなサタナキアさんに対して滅びの言葉を口にしてしまうのだった。
「あ、あの~……サタナキアさん。……実はね、オマエを起こすために言っただけでさ。ここには……チョコアイス……ねぇんだわ! わ、わりぃなぁ~」
オレはサタナキアさんに事情を説明すると共に、素直にそう謝った。
「な、なんじゃとーっ!? 小僧……お主、妾を謀ったのかぇ? どうやら小僧は妾の力をよほど侮っておるようじゃのぅ? 妾がチョコアイス一つを得る為に本気を出せば、世界を滅ぼすことなんぞホンの数分でできるのじゃぞ!! それでもよいのかぇ?」
サタナキアさんはそうオレを脅してきたのだった。……チョコアイス一つが欲しいが為に、な。
そこでオレは酷にも、更なる事実をサタナキアさんに告げてしまう。
「…………ごめんサタナキアさん。今のその説明も、さっきオレが先に説明しちまってたんだわ。わ、わりぃなぁ~何回も、さ」
「……えっ? そそそ、そうなのかぇ? せっかく……せっかく妾が67話ぶりに本編出演できたのに、小僧……そなたは妾の出番を潰すのかぇ? そなたまで作者と同じように妾を干してしまうのかぇ?」
描写オンリー、挿絵も挿入されていないのに、サタナキアさんはしょんぼりとした悲しそうな声でそう言った。
まぁ見た目的には、カウンター上に置かれた布の上に剣が置かれ、光ったりなんだりして、声が出てるだけなんだけどね。
……しかも動力源が『電池』だって言うし、まんま子供が振りかざしている、光ったり変な音が出るプラスチックで出来たおもちゃの剣みたいである。
そんなサタナキアさん大好き読者達に釘を刺すと共に、本編はどんどん進んでいく。
「はーはっはっはっはっ!! たかが人間風情が、この魔神サタナキアであるこの妾を謀り、馬鹿にした挙句、おもちゃの剣扱いまでするとはのぉ~!! 人間とはほんに怖いモノ知らずなんじゃのぉ! よかろう……この妾がオマエ達に本当の恐怖と言うものを教えてやるわ!!」
そうサタナキアさんが叫んだ瞬間、剣身部分からドス黒い霧が……いやオーラのようなモノが大量に噴出してきた。
「(マジぃ!? これはマズイぞ!! マズイことになったぞ!! 本気でサタナキアさんを怒らせちまったみたいだぞ!? さっきは冗談で『たかがチョコアイス1つで世界を滅ぼす~』な~んて補足説明しちまったが、まさかまさか本当にそうなっちまうのかよ!? そんな理由で世界が滅ぼされるのかよ!?)」
オレはとても混乱していた。チョコアイスで世界が滅ぼされるとあれば、混乱の2つや3つはしたくもなるだろう。
そしてオレはこの危機的状況を回避する為に、ヒロイン達に声をかけた!
「みんな、サタナキアさんが世界を! たかがチョコアイス一個欲しいが為に、世界を滅ぼそうとしてるぞ!! 早く、早く止めないと世界が危……」
そうセリフを言いながら振り向き、ヒロイン達を見ると、そこであり得ない『光景』を目にしてオレは愕然とし、言葉を失ってしまう。
その光景とは……みんな仲良くアイスを食べてやがった。しかもご丁寧にも、今この物語で話題沸騰中のチョコアイスを、だ!!
「おっ意外とチョコアイスも美味しいのですねぇ~。ワタシは今までチョコチップアイス専門でしたが、これはなかなか……今度大安売りしてたら、たくさん買いましょうかねお嬢様方♪」
「本当に美味いな!! 静音、大安売りなんて安っぽいことは言わず、お店ごと買い占めるのはどうだろうか? な、葵もそう思うだろう?」
「ですわねぇ~。こんなに美味しいと毎日食べたくなりますわねぇ~お姉さまぁ~♪」
「それにしてもジャスミン、どうしてこんなに大量のアイスがアンタんとこにあるんだい? どこかの商人が持ってたのかい?」
「えへへ~っ。実はさっき畑から帰ってくる途中に、お店の外に白い袋に入って置いてあったんだよぉ~♪ ……あれ? 手紙も入ってるね」
「もきゅもきゅ♪」
「……何で皆さん普通にチョコアイス食いやがってやがるんですか? 今の危機的状況分かってんのかよ!? オマエらが食い散らかしたせいで世界が滅んじまうんだぞ!!」
「「「「いーえ、ぜーんぜん♪」」」」
「(マジムカツクわぁ~!! 何がムカツクって、まるで打ち合わせしたかのようにみんなして、文字と声を揃えてるところとか一番ムカツクね!)」
「ええーっ!? そうなのですかお兄さまぁっ!?」
「もーきゅっ!?」
「(あと葵ちゃんともきゅ子……オマエらがまともの反応するのかよ!? しかもワンテンポ、リアクションがおせぇんだよ!! 何だあな嫁名物の王道外しをしやがってるのか?)」
オレは世界の危機よりも、身近な連中にツッコミを入れるので大忙しだった。
第106話へつづく




