表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
三神物語  作者: 桃姫
14/14

14話:神へと至る

 アレから一年。白城は、どこにも見当たらず、目下捜索中であった。


だが、こちらから探す必要がなくなった。《白王会》が《烈火隊》に宣戦布告を叩きつけたのだ。


 飛天から大分離れた世界。何百年か前に無人となった世界に、《白王会》は存在していた。そう、コレは、《白王会》と《烈火隊》の全面戦争である。


「無双さん、準備は整いましたよ。おそらく、雑魚がこちらにせめて来るでしょう。それは、すべて私たちが受けます。ですから、強敵を潰してください」

「分かっているわ。この戦いでは、私も、蒼天も、アカハも、全力で戦うって決めているから」

そう、やはり、「実際問題使うことはない」とか蒼天は言っていたが、やはり、アレが必要になるに違いない。

「そう、じゃあ、私も、《翠華》として戦わせて貰うわ」

そう言った瞬間に、敵地に竜巻が巻き起こる。

「頼むわ、ハルカ」

「生きて帰ってきてくださいね」

私は、それに、あえて答えなかった。ハルカは、《死宮》を知っているのだろう。だから、こんな質問を……。


 私は、この戦いで全力を出すと決めた。だから……。


 徐々に天気が悪くなってきた。黒い雲が立ち込めている。だけれど、私の居る部分だけは、晴れている。何故か、それは、私が全力を出すと決めたから。


 《葵雛》並みの速度、《蒼刃》並みの力、《紫雨》並みの鋭さ、《朱天》並みの回復力、その全てをフルに解放している。二本に分かれた《琥珀白狐》を持ち、全速力で、全力で、敵を葬る。


蒼天も出てきた。あいつも、全力のようだ。敵の二割をまかなっている。だが、おされ気味だ。アカハも回復役としてでてきているが、かなり危険な位置に居る。いつ死んでもおかしくはないだろう。


 蒼天は、結果的に言うと死んだ。部下を庇い、全方位からの攻撃を受け、死亡したのだ。随分あっさりした反応かもしれない。だが、それが《死宮》なのだ。私は――死の宮へと導くもの。


 アカハも死んだであろう。この戦いは、被害が大きすぎる。だが、私は、二人が死んだせいであろうか、おされている烈火をフォローしなくてはならない。コレに関しては、筋力、速度だけではどうにもならない。だが、私には、アレがある。


――絆の魔法


 私の唱えたその一言により、戦場の様子は、激変した。


 絆の魔法。《死宮》が、最も強く優しい一族と称される所以。特に優しさという部分だ。この魔法により、巻き起こる様々な現象。


 フェアリーライフ。竜の力。自然を操る力。黒星天。様々な力たち。それは、私が今までに触れたものたちの力。


 それが絆の魔法。


 そして、戦場に残ったのは、白城一人。空には稲光が。


 紫色の光が空を輝かせる。先ほどから、何度も、大きな音を立てあちらこちらに散るように、紫電が落ちる。まさに世界の終わりを髣髴とさせる暗雲と雷。そんな中、私は、一歩、また一歩と足を踏み出す。腰に携えた二本の剱をいつでも抜けるようにして。

 敵も、一歩、また一歩とこちらへ向かってくる。白城という名前とは反対の真っ黒な髪を持ち、身の丈を裕に超える太刀を構える少女。

――ゴロゴロォ!

そんな雷鳴を合図に、私達は、同時に剱を抜き残りの距離を駆け抜ける。


――無双流秘奥義《絆》


それに対して、


――藍那流《椛咲乱》


この技は……。

「隊長……。やっと、やっと完成しました。貴女を超えるための剣。藍那流。椛が散るように消えてください」

私の体から血が飛び散る。

「昔、言っていましたよね。相討ちでも殺せればいいって。でも。隊長。貴女は、私と相討つことすら叶わなかった。つまり、私が最強と言うことで……」

そこで、彼女の言葉は止まる。

「なにっ、コレ……」

足からだんだんに凍り付いていく。それを見ながら、私は、息を引き取った。


――そして、契約は動き出す。


 飛天王との契約。それは、魂の固定。コレにより、蒼天、私、アカハの魂は、永遠の時を生きることとなった。


 蒼天との契約。それは、肉体の蘇生。コレにより、蒼天とアカハの肉体は元に戻る。……私の体?戻らない。そう、白城を殺すために、既に、固定化された魂を次の体(・・・)に移していたから。そう、私は、私たちは神となった。


 蒼天は、|《蒼海空逆巻立之神》《あおみそらさかまきたつのかみ》。全てを捻じ伏せる神。


 緋葉は、|《朱光鶴希狂榧之神》《あけみつるきくるがやのかみ》。全てのものに癒しを与える。どのような者にも癒しを与えることから狂と言う言葉が記された。


 そして、私は、|《天辰流篠之宮神》《あまたつるしののみやのかみ》。全てをつなぎ、何者とも戦う武神。篠宮の名にちなみ、この名となった。


 そして、物語は、移り変わる。私の次の体。《氷の女王》へと……



                        三神物語、完


補完用の作品でしたので、話が飛びまくりの上に、短い話でしたが、お読みいただきありがとうございました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ