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三神物語  作者: 桃姫
13/14

13話:事件

 飛天総会合から九年、いや、もうじき十年になるという時期。時空間暦で言う二百九年末。末の末。もう、あと二時間もすれば、二百十年になる。そう、そんな師走の忙しい時期、事件は起こった。


――ジリリリィ!

 そんなセットもしていない目覚ましに私は叩き起こされた。最初、何の音かも理解できないまま響いていた音。次第に目が覚め、脳が働き出す前、もう、体が本能的に、この音が何かを察したようだ。身だしなみを整えるのもそこそこに、私は、《琥珀白狐》を抱えながら、全力疾走をした。途中、床が壊れた場所があったが気にしない。それほどの緊急事態。そう、この音は、《緊急時招集シグナル》。


 《緊急時招集シグナル》とは、《時空間統括管理局》における、決められた信号のことである。あの音は、間違いなくコレにおける、危険度高を超える緊急事態である。危険度は、高中低と高を超えるに分かれる。つまり、今起きているのは、大変なことである。それは、もう、要人暗殺や王宮爆破並みの。何があったかは分からないが、招集がかかれば、列火四門と蒼天が王宮に集まるようになっている。だから、私も王宮に向かっていた。


――緊急事態により、外部との隔離まで、後十秒。


 私が王宮に入ったときに流れたメッセージ。ぎりぎりセーフか。隔離されれば、魔法による侵入すら不可能になる防壁だ。私なら壊せるが、壊して犯人逃がしたら大変なことになる。とりあえず犯人を逃がさないことを先決とする、か。


――外部との隔離まで、三、二、い


 その瞬間、私は、見た。鮮血のこべりついた衣服を纏いながら、狂おしそうな顔をして笑って、この王宮から出て行く、白城の姿を。


――ち、零。防壁展開。展開完了しました。


 しかし、追いかけようとしたそのときには、もう、防壁が張られてしまっていた。

「まさかとは思うけど……」

あいつが犯人なのか。そもそも何の事件かも聞いていない。

「あっ、無双さん。ここにいらしたのね」

ハルカだ。

「ハルカ、何があったの。まさかとは思うけど、要人暗殺?」

白城の服には血がついていた。だとするならば、可能性が一番高いものを選んだ。

「え、よく分かりましたね?被害者は、飛天王国外務官とその補佐の三人と」

そこでいったん言葉が切られる。

「十三人の一門部下です」

「……ッ!」

間違いない。確信に変わる。白城だ。白城が、殺した。

「一門部下で行方不明者は白城王花一人です」

早くあいつを追いかけねば。

「そして、彼女から、メッセージが残されていました」

メッセージ?

「読み上げます。『隊長、貴方達と何れ戦う日を待ち望みます《白王会》代表、白城王花』」

《白王》会?やはり、《白王》。

「無双さん。《白王》というのは……」

「貴女と同じよ。きっと。だから、むやみに動かれるのは危険なの、だから私は止めるわ。《翠華》、貴女はどうする?」

ハルカが目を見開く。

「気づかれていたのですね。流石です。私は、もう、《翠華》として活動する気はないので、せいぜいサポートさせてもらいますわ」

「了解」


 そして、私は、防壁を破り、白城を追った。しかし、白城は、どこにも居なかった。一体、どこへ行ったのだろうか。――コレから、何が起こるのだろうか。


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