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鍵屋の倅と付与術師  作者: 藻翰
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鍵屋の倅と付与術師

ここ数回は微妙な形でしたが、とりあえず納まって?よかった。


「そりゃぁ、お前の将来の嫁(・・・・)だからな」

「はぁ!?」


 自分の親父の言っている事の意味が分かりません。


「クリスは、あいつは男だろ?結婚云々よりもまず先にそこがオカシイだろうが」

「はぁ、お前が分かっていないだけで、あの子はれっきとした女の子だ」

「いや、だって今回の件もあって、今度一緒に風呂でも……」

「お前にそんな趣味があったとはな……」

「いや、そうじゃなくて、え?嘘だろ?」

「嘘なわけないだろう。というか、本当に気が付いていなかったのか?」


 そう言われてクリスの事を色々と思い出してみますが、女らしい所が一つでもあったかと言われると正直記憶には全く無く。

 まあ、隣に居ても嫌な匂いは無くそばに居ても不快にならないという点は悪くないかもしれませんが、結構な大食いで……多少気遣いは出来るけど、ちょっと五月蠅くて常識もあまり知らないけど……と、思っている程悪い感情は無く。


「あの家の子供だと聞いた時にはどうかと思ったが、お前が助けに行ってその後どういう感じになるのかこっちが見ているうちに思いの外相性もよさそうでな。で、あの家が勝手につぶれてくれることになったから、であればととりあえず話を前に進めてみた訳だ」


 話を前に進めてみた訳だと言われても、正直そんな勝手な話どうしろというのだという感じ。

 と、まじめに色々と否定をしていたのですが、ハッと一つ大きなことに気が付きます。


「嫁だのなんだのって言っているけど、アイツまだ子供だろう?結婚なんて出来ないだろ?」

「何をそんな当たり前のことを。結婚するのはお互いに成人してからに決まっているだろう?」

「……それって何年も後の話だろ?」

「普通は、な?」

「普通はって……まさか?」

「どうしてもごねる場合には最終手段で、これを使うぞ」


 言いながら自分の父親が出したのは自分も良く使う鍵。

 鍵は見ただけで何に使うのかなど分からないようになっているのですが、今回はワザと何に使うモノかを見せる為だったみたいで、じっと目を凝らして鍵を見つめると年齢操作だというのが分かります。


「流石にそれは人の人生をいじくり過ぎだろう?」

「だから本当はしたくないんだが、国っていうのはそう言う楽なもんじゃなくてね」


 コレはまた戦う必要があるのかと身構えるのですが、


「だからお前が頷け(・・)。それで事は納まる」

「頷けって……」


 自分の事はまあ適当にどうなってもそこまで困ることが無いので簡単に頷けますが、人の命や人生を背負うことについて簡単に頷けるはずもなく。


「時間稼ぎにはなるのか?」

「当たり前だ。ただ、血筋的にはかなり上になる可能性が高いから、色々と動くものがあるかもな」

「とりあえず、クリスが平穏に過ごせるなら頷く」

「ならこれで話は終わりだ」


 言いながら自分の親父が鍵をパッと消します。


「クリスちゃんも家で暮らしたいって言っていたからまあ元々お前に決定権は無いんだけどな?」

「いや、結婚云々なら俺にも決定権あるだろ?」

「そりゃあ国が決めた政略結婚なんだから否定権すらお前にはないぞ?」

「俺にはないのかよ」

「当たり前だろ?雇われの鍵屋なんてそんなもんさ」


 そう言う親父の言葉には結構な重みがあって、何かを思い出しているように見えます。


「で、詳しい説明ぐらいはしてくれよ?」

「……お前がクリスちゃんと結婚するで十分だろ?」

「十分なわけないだろう!」


 そんな会話を大声でしていた結果、家から出て来たのは当の本人であるクリス。


「あ、キーファお帰りなさい」

「ん、ああ」


 今更ですがやっと無事を自分の目で確認できたのもあって少しだけホッとした空気になったのですが、


「キーファのお父さんからお味噌汁を作って欲しいって言われてさっきやっとできたんだよー。料理とかあまりしたことなかったから結構大変だったんだけど、多分……何とか……大丈夫だと思う」


 多分とか何とかなんてモノが付く料理で大丈夫なはずはあまりないのですが、今言っても仕方のない事なのでとりあえず大きなため息一つ。


「もー、キーファは溜息ついちゃだめー」

「はいはい。じゃあさっそくその味噌汁とやらを食べさせてもらうかね」

「どうぞどうぞ、はいってはいってー」

「いや、ウチだからな?お前の……いや、今日からはお前の家でもあるわけか」

「ん?どうしたの、キーファ?」


 とりあえずクリスに話すのは後にして、家に入る事に。


「クリスちゃんのお味噌汁楽しみだなー?」

「……覚えておけよ親父?」

「さて、何のことかね?」


 スッと呆ける親父と一緒に家の中に入って、食べた味噌汁は見た目こそ微妙でしたが味は悪くなく。







 次の日の昼間にアイツから一枚の手紙が届いて、今回の話の全容がやっとつかめることになったのだが、その頃にはまた親父がどこかへ消えてしまっていたので文句の一つも言えず。




 今、この国は結構な危機に瀕している。

 人口は減り、産業も衰退、昔からあるダンジョンも探索者が減りこのままだと国としていつまでも残っていられるか分からなくなっていくだろう。

 その時に備え……いや、人が減り過ぎてしまった場合、新しく国を興せるだけの有能な人間を育てる事が必要だという結論に達した。

 名残惜しくはあるが別にこの国である必要はないし、場合によっては腐ったものを排除できるからこそ、そういった無理矢理の代謝も必要だと思っている。


 人が減るのは仕方のない事で、多分それは自由が認められたからだと思う。

産む事や育てる事はとても大変で、自由というものを阻害する。

人の自由を認めた結果、人が衰退することになるというのは中々皮肉ではあるが、多様性を認めるというのはそういう事だ。

ただ、それは国としてはやはり困る。

困るからと言って、出来るだけ産んでくれて、育ててくれというのは簡単だが、それをどこまで実行してもらえるかというと正直言って不明だ。その結果、もしお願いをしても数字が動かない場合を想定して、減った後にどうにかする為の人材を作るという方向に国としての考え方が変わった。


 そのモデルケースの一つが今回の君たちの結婚だ。

 モデルケースというと聞こえがいいかもしれないが、要はテストだ。ただ、そこに国としての要望ばかりでは悪いというのもあって、ある程度のお膳立てはさせてもらった。

 その結果、何処まで上手く行っているかは分からないが、ある程度の刷り込みを行う事になった。

 それが今回までの一連の事だ。

 元々あの家の婿は品格的にも足りていなかったのだが、よくよくと調べてみるとクリスの出生にあの婿は関係なかった(・・・・・・)

 であれば何も問題ない(・・・・)だろうという事になって、次はその相手を誰にするかという事になるわけだ。

 そこで白羽の矢が立ったのが君だ。

 国の仕事を知っていて、ある程度の汚れたことも飲み込めるだろうというのが正直なところだが、それ以上に学友として君にもそれなりの幸せを感じて欲しいと思ったのも一つだ。

 ただ、君の事だ。相手の気持ちを考えろと言われると思って、今回のお膳立てに繋がる。

 相手も憎からず君の事を思う様に仕立てさせてもらったが、幸いなことに君も相手もお互いに匂いが嫌いじゃないみたいだ。

 あまりそういう事を信じるタイプではないが、相性は匂いで分かるという事を私も聞いたことがあった。

 その言葉を今回は信じてみようと思う。

 まあ、あとは自分達で話し合って決めてくれ。

 相手が子供だと君は思うかもしれないが、子供である前に彼女も女だ。

 自分の幸せを自分で勝ち取る権利の一つぐらいはあるだろう?

 子供の戯言などと一蹴せず、しっかりと話をしてみたらどうだろうか?


 とりあえず、当面の間の仕事は減らすつもりだ。

 家を盛り立てると思って、ゆっくりと家族というものを味わってみてくれ。




 と、書きたい放題勝手に書いて後は丸投げ。

 この国の上の人間だとは思えないぐらいお粗末な手紙だが、アイツはアイツなりに色々と気を使ってくれていることは分かったのでこれでは文句も言えそうにない。


 そんな手紙を部屋で読んでいると、バタバタと家の中が少しだけ騒がしくなってきていて、どうやらもう少ししたらクリスが学校に行く時間らしい。


「キーファ、なんで起こしてくれたなかったの?」

「言われてないからな?」

「もー!」


 とりあえず昨日の夜に少しだけ話をしたのだが、これから家で暮らし普通に学校へ通う事になったのだけは分かった。

 そして結婚について色々と話をしたのだが、彼女は手紙にある通り女でもあって、


「嫌いじゃないけど、いきなり言われても分からないからとりあえずこのままで。でも、本当に嫌いじゃないから、少しだけ考えてあげてもいい」


 というとても微妙で曖昧な返事をもらう事に。


「あー、また昨日のこと考えているの?」

「んー、まぁ……少しな」


 バタバタと用意しながら、すすすっとクリスが近付いてきて、




 ちゅっ




「嫌いじゃないって、言ってるでしょ!!行ってきますっ!」


 逃げるように家を出るクリスに、


「気を付けて行って来いよ」


 背中から声を掛けると、こちらを振り向かずに手をぶんぶんと少し振って。

 少しだけ自分の体温が上がったような気がしたのですが多分気のせい。





 こんな感じに鍵屋の倅と付与術師の二人の物語が加速していきます。








藻翰さんの次回作にご期待下さい!!

彼らの冒険はここから始まった……(笑)


少年誌の打ち切りに近い終わり方で申し訳ありませんが、作者が上手いこと書けてない為にこんな形で終わってしまってすみません。<m__m>


もっとスキルや戦いやら色々と考えていたことはあったのですが、とりあえず二人が出会ってこういう形に落ち着いて、という最低限書きたかったことは書けたような……足りなかったような……。

偏に作者の力量不足ですから、主人公達キャラクターは何も悪くないのです。


間が空くとどうしても内容を思い出す時間が必要で、その結果少しずつズレが出てしまった。

その辺りがもっとうまくならないと駄目ですね。

そういう経験という意味では多分これも一つの経験なのでこれを糧にまた何か思いついたら頑張ろうと思います。


読んでいただき誠にありがとうございました


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