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鍵屋の倅と付与術師  作者: 藻翰
18/19

どー言う事?

去年のうちに出せなくて申し訳ありません


 身体強化の状態で、あまり先生を傷つけることなく一撃を入れるつもりなので奇襲のような形で距離を一気に詰めて一撃をお見舞い……、の予定だったのですが、


「丸見え。みえみえ。おっそいわねぇ」


 攻撃はしっかりとかわされて、それだけにとどまらず反撃を一撃受ける事になりそうになって、慌ててその一撃をガード。


「あら、耐えちゃうのね?だったら、もう少し早くしましょうか」


 言うや否や、平手が顔を狙ってくるので慌ててボクシングのスウェーのような感じに鼻先を掠りそうになりながらも体を逸らしてその平手の攻撃を躱します。


「なんっ、なんっ、ですかっその速さっ」

「あら、あなたと一緒よ?」

「えぇ!?」


 明らかに先生の速さはいつもと違って、かなりの速さ。

 先生はそう言うスキル(・・・)なんて持っているわけないので、オカシイと思っていたのですが、自分と一緒と言われてしまうと、そこに自分の親父が関わっている事が分かります。


そういう事(・・・・・)か」

「当たり前でしょう」


 自分の身体強化と同じことを自分の父親が先生にかけているとなれば、先生がここまで素早い事にも納得がいく話。


「ほら、一発叩かれなさいっ」


 今度は先生も足を動かして一気にこっちへ接近してくると、数発のフェイントを混ぜながら、最終的にはげんこつ、そして平手打ちを狙ってきます。


「い・や・で・すっ」


 スウェーのような避け方だけでは持たなくなりそうだったので後ろに下がると、


「そういう癖、抜けていないわね」

「なっ」


 後ろに下がることを読まれていたみたいでそのまま平手打ちがしっかりと顔にヒット。

 ただ、思っていたよりもその平手打ちは優しくて、思っていたような痛さはないので思わず叩かれた自分が呆けてしまいます。


「とりあえずこれで一発。まあ、今回は色々と動いている事も考慮すると、こんな所かしらね」


 その顔は自分もよく知っているいつもの優しい先生の顔で、なおさら何でこんなことをしたのかと問い詰めたくなります。


「なっン……で」

「いつまでも呆けているからよ」


 そんな事を言われても全く意味が分からないという顔しかできないでいると、


「そんなんだから、こういう事(・・・・・)になるよの」

「だから、意味が、分からないって」


 こっちも言葉で返したのですが、先生から帰ってきたのはただの大きな溜息。


「まあ、私の気も晴れたしこんな所でいいかしらね」


 と、勝手に先生は戦う気をなくしてしまったのですが、正直今叩かれた意味も分からなければ、誘拐の件もまだ何も分かっていない状態。


「そんな目で見ても答えは普通でないんだから、なんて顔しているの?」


 今、自分がどんな顔をしているのかなんて正直分かっていない状態で、さらに言えばこの後どうしたらいいのかも分からない状態になっていて、いや、精霊なりなんなりに居場所を聞けば多分教えてくれるはずという事ぐらいは分かっていて、


「まあ、今回は私達が色々と仕掛けた事に間違いはないけど、必要な事なのよ」

「必要な事?」

「そう。これから(・・・・)の事を考えて動くとしたら今が一番いいタイミングだったってわけよ」

「だから、その意味が分からないって」


 なんとなくはぐらかされていることは分かっていて、ただ答えを教えて呉れるつもりもない事も分かっていて。


「答えは自分で見つけるモノよ」

「……ケチ」

「そう。大人はケチなの。何でもかんでも教えて貰えるばかりじゃないの」

「そりゃあ、知ってるけど……」


 そんな会話を先生としていると、先生は大きなため息を一つついて、


「じゃあ、もう一度場所を探ってみなさい」

「場所を?」


 言われるままに鍵を空中に、右手で鍵を回してみると、子供達が移動していることが分かります。

 それだけではなく、子供達がバラバラに移動されているのも分かって、そのうちの一人は良ーく知っている場所に移動されていて。


「……どういう事だ?」

「自分で確かめなさい」


 それだけ言われて、かなりの強さで背中をバシンと叩かれてその勢いで教会を出て向かう先は自宅(・・)

 解放されたのかどういう意味なのか子供のうちの一人はウチに居る事が分かります。

 訳が分からないまま家に向かうのですが、家の前に立っていたのは案の定親父様。


「その顔は負けたな?」

「いや、負けてはいない」

「そう強がってもいいことは無いぞ?」

「勝ち負けじゃなかったから、負けてないって」

「……そういう事にしておくか。で、なにしに戻ってきた?」

「何しに?」


 問われて、自分が何をしていたのか考えてみるのですが、返せる言葉は一つ。


「子供達……クリスを開放しに?」

「まぁ、そうかもな。じゃあ、なんで今回みたいなことが起ったと思っている?」

「知らねぇ」

「だから考えろって言ってるの」


 親父に言われると同時にある程度の安心感はあるので頭をひねってみるのですが、大した答えにはたどり着かず。

 そして分からないという意味も込めて首を左右に振ると、


「お前はこの国について、どう思う?」

「この国について?」

「ああ。学生時代に色々あったゴタゴタも含めて、どう思っている?」

「あー、王族もそこまで国政に関与していなければ、自分の利益優先の貴族ばかりで、まあ、ダンジョンがあるから財源には困らないかもしれないが、かなり先の将来はどんどん先細りするだろうな」

「だろう?」

「だけど、それは俺が死ぬ頃かもっと先……。いや、時間がもしかしたらどうにかするかもしれない未確定な話だろう?」

「かもしれないな。だが、もしそうなる可能性が高くなるのであればウチの家系は動かないわけにはいかないんだよ」

「は?」

「まあ、その辺りの責任について今はいい。ただ、もしそうなった場合お前はどうする?今までと一緒でどうしても目をつぶれない事象について人の記憶に鍵をかけて、この国を安定させられるか?」


 そんな事を言われても、今までやっていたことをやめるつもりはないわけで。

 そして多少国にかかわることをやっていることは事実でも、そこまで関わりたいと思ってやっているわけではないことも親父や先生は分かっているはず。

 そう言う顔を自分がしている事を親父も分かっていて、ニヤリとした顔でこちらを見てきます。


「だから先を俺も求めたって事だ」

「先を求めた?」

「そう。コレで大体わかっただろ?」


 先を求めたと言われて、更に大体わかっただろう?と言われても正直さっぱりで。


「いや、分からん」

「……お前、モテないな?」

「ソレ、関係あるか?」

「あるある。大あり」


 口を曲げて眉間にしわを寄せて、クシャっとした顔になるのですが、


「だから親父である俺が動いたわけだろ」

「……マジで意味が分からないぞ?」


 こんなやり取りをすると親父は盛大な溜息をつくばかり。


「家にいるのは分かっているな?」

「クリスだろ?」

「そう。なんでだと思う?」

「いや、だからそれは親父や先生が攫ったからだろ?」

「そう。なんでだかそれで分かるだろう?」

「いや、だから分からないって」

「はぁ……」


 こんなやり取りが続いているうちに、なんというかこっちも結構疲れてきているわけで。

 気が緩んだ部分もあったのですが、大きなあくびをしてしまうと、


「本当に大丈夫かねぇ……」


 そんなことを親父が言いますが、しらねーよとしか言えない状態。

 そして、親父の口から出た言葉に驚くことになります。





去年の最後の方、ちょっとどたばたと忙しくなりまして結局今年の初めまでかかってしまいました。


そして忙しさとは別で作者が休まってないので(笑)次回もいつも通りになりそうです。

申し訳ありませんが、もうちょっとだけお待ちいただけるとありがたいです。

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