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ゴールドフィンガー1943 ~シン・宝島~ その2

ゴールドフィンガー1943~シン・宝島~完結でございます。

今回も難産でした。構想自体は、ソロモンの戦いが終わった時からあったのですが……

あくまでフィクションであり、荒唐無稽なのは本人が一番理解しております。

今回も生暖かい目で見て頂ければと存じます。

長江三峡


我々、重慶襲撃特別隊は長江の船上に居た。

蒋介石の黄金800トンを奪うために……


大本営、というか情報を仕入れた大本営陸軍部は、独自に黄金強奪計画を立てた。ニューギニアより大友主計大尉、陣内主計准尉、御宅主計曹長の三名が招集され、計画立案をさせられた。


「我々は主計なんですが…… 作戦であれば、有能な作戦参謀を存じていますので、そちらの方を紹介いたします。つ」


「いや! その名前は、聞くまでも無い。今回、貴様らには作戦立案しろというのでは無い。作戦に必要物資調達と行程管理だ。必要なものは、全て大本営の名前でかき集めろ! それが、まずは貴様らの仕事だ」


こうして、大友達元ニューギニア主計局首魁は、またもや無理難題を押し付けられることになった。


先ずは、移動手段として別府造船所が本格的戦車揚陸艦として建造した新型揚陸艦「大隅」と「国東」の2隻を作戦のために接収した。

本級の最大の特徴が、超大発などの艦首門扉の廃止である。艦首に突き出した固定デリック・アームと、普段は上甲板上に格納されている道板を用いたものとなっている。これによって艦首形状は通常の艦船と同様の波切りのよいものとなり、長さ/幅比7.5という細長い船型とあわせて、抵抗は大幅に軽減された。さらに土佐丸で好評であった? 艦首水線下に貫通式の電動スラスターと副舵が装備された。島嶼部への上陸支援では、小回りが重要であるためだ。15,000馬力のディーゼルエンジンで、22ノットの最高速度と土佐丸ほどでは無いが高速輸送船であることは確かである。


大隅級揚陸艦2隻に、重慶襲撃特別隊は分乗していた。ホベ車1両、チベ車2両、100式自走砲2両の装甲車両に、排土車が2両と工作車が2両。それと、コンテナ輸送用の牽引車が20台である。その他に空挺団の荒くれ共を載せる自動二輪が20台であった。3,000トンの大隅級は、トラックであれば30台は積載できたが、今回は各船にコンテナ10台を積む予定になっていた。


そして、不測の事態に備えてポートモレスビー上陸戦で活躍した超大発改が1隻随伴している。こちらも、波切り抵抗の軽減のための仮設の船首から、巻き上げ式の船首になっていた。その形状は、西洋の騎士の兜の様であった。


「凄い景色ですね三峡は。崖の一番上が見えない位ですよ」


「本当だよなあ。大陸は、うちら島国の常識じゃ計り知れないなあ」


「そうですね。幾ら、雨季とは言え3,000トンもの船が、河口の上海から3,000kmも上流まで遡上出来るんですからね」


「3,000kmって言ったら、日本列島縦断だもんなあ。ところで、大多賀はホベ車に何張ってるんだ?」


「あっ、これは倒福って言って、「福」の字を書いた紙をこうして逆さに張ると、水に落ちないそうですよ。自分は泳げませんから!」


「いや、それ何か間違ってるぞ。確か、幸運を呼ぶんじゃなかったか?」と、自動二輪部隊を率いるバロン西こと西大佐が話に割り込んで来た。


「そうですよね。水に落ちないことを一番にするお守りなんて有りませんよね」


「自分にとっては、水に落ちないことが、一番の幸運です!」


「いや、そこは違う幸運を祈ろうよ」


と、まあ、順調に長江を遡上しているように思われるが、今回計画に合わせて特殊部隊が先行し、蒋介石軍の監視哨を潰していた。陸軍内から選抜された特殊部隊はオメガと呼ばれ、今回が初めての作戦投入であったが、蒋介石軍兵の「日本軍もここまでは来ないだろう」という油断もあり、順調に蔣介石軍の目と耳を潰していった。


西大佐が、ホベ車を見上げながら

「しかし、まあ、随分、凄いものを作ったねえ。これ、元はチベ車なんだって? こいつの砲は何糎あるんだ?」


「33糎です。威力は、七年式三十糎砲相当だそうです」


「へえ! まあ、こんくらいじゃないと1メートルのコンクリートを打ち破れないか?」


「そうなんですよ。ただ、射程距離が短いので近づかないといけませんが……」



乾の西への説明は続く。ホベ車は、戦闘室正面に九八式臼砲が装備された。後方から見て車体前部左側に操縦手が位置し、その後ろに車長兼砲手が位置する。戦闘室右前部に無線手兼機銃手が位置する。この配置は、通常の日本車とは逆であるがチベ車をそのまま流用するためであった。操縦手用にはペリスコープが2基装備された。このペリスコープ上部に、砲手用として前面装甲板に台形の開口部が設けられ、主砲用の照準器が備えられた。主砲後方の天井に大型の細長い取り外し可能なハッチが設けられ、このハッチ後方にはヒンジ付きのハッチが付けられた。これは車長用である。更に天井据え付けで、八九式擲弾筒を車内から撃てる様に改造して取り付けていた。


戦闘室内部の両側面、履帯の上部に当たる箇所には砲弾用ホルダーが設けられた。ホルダーは3段に重ねられ、2発を収容した。砲弾は300kgの重量があり、人力で運搬するのはほぼ不可能だった。そこで床上に、左右にスライド可能なローラーベアリング付きの砲弾装填トレーが設けられた。トレーは脚の上に砲弾受けを設け、この砲弾受けからはローラーベアリングが対称に2個、箇所は3箇所、形状としてはY字状に突出し、砲弾を支える構造になっている。このトレーを砲弾用ホルダーへ近づけて砲弾を移載し、次にトレーをスライドさせ、砲尾へ正対させて装填した。装填の最終段階では大型の装填具で300kgの砲弾を押し込む。また砲弾の装填は砲身が水平状態で行われた。補助として、天井を滑らせられる小型チェーンブロックが備えられていた。砲弾の重心位置は2cm幅の白帯で表示されており、ここに金属のベルトを巻いた上でチェーンブロックにより吊り上げられた。


大きくかさばる臼砲弾は、13発しか搭載できなかった。うち一発は装填用トレイに置いた状態、残りは後部の弾薬ホルダーに搭載した。臼砲弾を車体に搭載するために、戦闘室天井に積載ハッチを設け、戦闘室の後方上部に組み立て式のクレーンが取り付けられた。



「そう言えば、西大佐の自動二輪も随分変わりましたね?」


「おっ! いい所に気づいたなあ。自動二輪は、機動力は抜群だが、火力が少ないのが難点で、せめて九五式軽戦車並みの火力に出来ないかと頼んでさあ……」


こうして、乾は西大佐より延々と自慢話を聞かされることになった。例によって、松井と大多賀は隊長を捨てて速やかに現場より離脱していた。

西大佐が、本田に開発させた不整地走行に長けた自動二輪は、全部のバンパーに八九式擲弾筒2門が括り付けられていた。なかには、側車に八九式擲弾筒8門をまとめて載せた車体もある。そいつの側車は、角度調整ができるものとなっていた。側車が2台有り、全部で64門の八九式擲弾筒があることにより、相当な火力増強になっていた。また、2台に1台はMG34を括り付けており、相棒の車体には500発の弾丸が荷台に積まれているという。更に、個人の携帯武器がベルクマン短機関銃から変わっていた。


「西大佐、この短機関銃は見た事ありませんね」


「こいつは、鹵獲したソ連の短機関銃だ。ベルクマン短機関銃の弾丸が使えるし、何といっても71発も弾丸を装填できるから、部隊統一装備にした。たしか。ソ連では、ウクレレと言ったかな?」


そんな、武器談義が続く中、船団は重慶から75kmの涪陵の手前に着いた。涪陵は、烏江が長江に合流する地点であり、重慶の長江における門番と呼べる場所にあった。船団はそこで夜中になり、川面に霧が立ち込めて視界不良になるのを待っていた。雨季の今、雨が降り日中でも霞んでいるが、夜には更に深い霧になった。


作戦は、2日前から行われていた。それは、成都に対する空襲と空挺部隊の投入であった……


重慶 中華民国軍総司令部


「大変です! 成都に、日本軍の空挺部隊が降下しています!」


「成都には、アメリカ軍も居るし、空挺部隊なぞ小火器しか持たない。直ぐに制圧できるだろう」


「アメリカ軍の基地は、日本軍の爆撃を受けて壊滅しました。それと、日本軍は戦車も繰り出してます! アメリカ軍から至急の援軍要請が来ています」


「なんだとう! 全軍を成都に急ぎ向かわせろ!」


成都郊外に展開した日本軍は、火力不足なのか進軍することは無かったが、機銃と砲撃が散発的にあり、成都駐屯軍では制圧が不可能と判断された。


日本軍の戦車は、どこから来た?


日本軍の戦車は、陸軍の秘密兵器ク6であった。乗員を2名に減らして軽量なガソリンエンジンに換装するなどして2.9トンまで軽量化した九八式軽戦車で、これに全幅22メートルの主翼を取り付けた。九七式重爆撃機などで曳航し、目標上空で切り離した後に滑空して着陸、翼を取り外して通常の戦車として運用する。試作された全20両が、今回の作戦に投入された。しかも、無人である……


「へえ、空飛ぶ戦車ですか? そんなの開発してたんですね。しかし、案山子の落下傘降下に自動運転と時限式射撃の機銃ですかあ? 蒋介石も真実を知ったら激怒するでしょうね」


「まあ、自動運転と言っても半径30メートル程をくるくる回っているだけだし、時限式での機銃射撃も景気づけで当たることは無いよ。お約束の八九式擲弾筒も括り付けてるし、そいつもたまに発射するから本物の部隊だと思うさ」


「そういっても、幾ら雨季で雨でも近づけばばれませんか?」


「近づけない様に第4航空軍が、こまめに爆撃しているのさ。航空支援を受けている空挺部隊のように」


乾が、重慶襲撃特別隊統率の西大佐から成都襲撃のトリックを聞いている頃、いよいよ重慶襲撃の準備が行われた。


重慶から移動した部隊が、重慶に戻れないように重慶から成都に向かう道路が徹底的に爆撃された。また、重慶中心部の半島部の嘉陵江を挟んだ対岸にある、重慶飛行場も徹底的な爆撃を受けた。


そして、喧噪の中朝もやをついて、「大隅」と「国東」は半島部の南側、長江川の河岸に接岸した。長江の方が水深が深いからである。


「ようし! 出撃だっ!」


西大佐の号令一下、船腹から先ず自動二輪部隊が出て、次にチベ車が自慢の快足でついて行き、次いでホベ車が出撃していく。工作車と牽引車が後に続く形であった。


今回、空中からの一括管制が試みられ、加藤少将が百式重爆に搭乗し、上空から指示を飛ばすことになった。当初、我らが遠藤中将が搭乗すると言ったが、山形弁のキツさから、漢口の総合本部で副官(と言う名の通訳)ととも作戦全般をみることになった。


今回、呼び出し符丁が連合軍を混乱させるために、通常のものとは別のものになっている。我々が、「猫の糞1号」で加藤少将が「ガラガラ蛇」、西大佐が「シャー」であった。西大佐だけ、そのままの気もするが…… 「猫の糞1号」も含め、九州に覇を唱える別府造船所、来島義男の提案であると、臨時の無線手としてホベ車に乗り込むことになった御宅主計曹長が教えてくれた。こいつは、何故かこういう情報収集に長けている……


「あれが、黄金の保管場所か? 保管庫じゃなくて完全にトーチカじゃなねえかよ!」


「乾少佐、シャー大佐から、距離100メートルから砲撃しろと入ってます」


「ひええ! 距離100メートルかよ。こいつの装甲じゃないとこっちも被害が出る距離だぜ。大多賀、装填してくれ!」


そうして、20秒後。

「装填完了!」


「装填に時間がかかるのがこいつの難点だよなあ…… よし、エネルギー充填120%! 波動砲発射っ!」


九八式臼砲弾は、100メートルの距離では外れることも無くコンクリート壁に命中した。


「何ですか? その発射の際のセリフは?」


「あああ、こいつの砲は波動砲って名前で、発射の際はこのセリフを言わなきゃいけないらしい。別府造船からの説明書に書いてたぞ。ああ、流石に一発じゃ穴開かないかあ? 大多賀、次発装填!」


その後、合計6発九八式臼砲弾を撃ち込んで、コンテナが通れそうな大穴が開いた。ガラクタを排土車や工作車が片づけ、チベ車にワイヤーロープで1台1台外に出されたコンテナは、牽引車が連結して河岸にいる「大隅」と「国東」に運びこまれていった。

順調に、コンテナは、牽引車に連結され、1台また1台と移動していった。


「おっ! 以外にすんなり動くじゃねえか」


「そうですね。レールは無いですが車輪が有る分、抵抗はそれ程ありませんね」


そうして、残り最後となったが牽引車が来ない。前のコンテナがもう河岸に着く頃であった。


「隊長! 上空の『ガラガラ蛇』より入電! 悪い知らせと更に悪い知らせと、いい知らせです!と、無線手の御宅の報告。


(なんだとうっ! 悪い知らせと更に悪いしらせって悪い知らせが二つもあるじゃねえかっ! 待て待て、少佐たるものいつ何時、こういう事態でも沈着冷静、威厳を見せないとな……)


「よしっ! 悪い知らせから聞こうか?」


「牽引車が1台故障で来れないそうです」


(ん? それなら、大した事ないんじゃないか? 牽引車は20台も有ったんだから、手が空いた車両を回せば……)


「それで、更に悪い知らせってのは、何かな?」


「長江対岸に敵援軍が近づいているそうです!」


「はあああ? 重慶の敵軍は成都に釣りだされたんじゃないのかよ? 重慶と成都の間の道って道は爆撃したんじゃないのか?」


「敵援軍は、貴陽方面から来たそうです!」


(そっちかよう! 貴陽は、広東から遠いし、成都と重慶で手空きの爆撃機が無くて野放しだったもんなあ…… どうして、こうなったあ! いや、待て! 俺にはまだいい知らせがある)


「よしっ! ヲタク、いい知らせを聞こうか」


「いい知らせは、コンテナを全て回収し、工作車も無事回収し、大隅と国東は無事に離岸し、長江を既に下っているそうです!」


「…… はああっ! それは、いい知らせじゃないだろうっ! とっても悪い知らせだろう! 俺達、どうするんだよ? 帰れないよ! 大隅と国東に戻って来い! と言え! こちとら飛行機乗りが地上でくたばってたまるかあっ! どうして、こうなったあっ!」


「長江と嘉陵江と合流地点の突端に超大発を接岸させて回収するそうです」


「良かったよう! 一時は、どうなるかと思ったよ。ん? ちょっと待て、そこは遠くないか?」


「そうですねえ、長江の接岸地点がここから1kmですが、合流地点の突端だと倍の2kmはありそうですね。因みに超大発は15分後に離岸するそうです」


「よし、それなら間に合うな。まっつ、前進!」


「上空のガラガラ蛇より入電です。コンテナは、回収絶達だそうです!」


「どこの営業のノルマだ! 絶達って! ふざけんな!」


「お前ら、硬いんだから大丈夫だと言っています」


「硬くたって、大砲に直撃されたらお陀仏だ!」


「当たっても、どうと言うことは無い」


「それを言うなら、『当たらなければ、どうと言うことは無い』だろっ!」


「隊長、お取込み中申し訳ありませんが、西大佐達がこいつとコンテナをワイヤーで連結してます!」


「ガラガラ蛇からの無線を聞いたよ。そっちは、人数居ないからやっといてやったよ」


と、いい笑顔を見せる西大佐であった。どんな時も率先して困難に立ち向かう、これがノブレスオブリージュかと余計なことを考えて現実逃避する乾であった……


そうして、最後の1台のコンテナに牽引用のワイヤーを連結し、ホベ車を河岸に向かわす乾小隊であった。


「隊長! 急がないと時間がありません」


「ヲタク、どこか近道無いか? 有るだろ! 全ての道はローマに通じるんだから」


「それは、ヨーロッパの話ですよ! ここは、中国っす! 中国!」


「とにかく、地図見て何とかしろ!」


「あっ!隊長、その先を右に行くと合流地点に最短距離で行けます!」


「ようし、右だなって…… この先は、車1台分しかねえじゃねえかっ! しかも、朝市やってんじゃねえかよ」


大通りを右に入った道は、車1台分の幅しか無い道であった。しかも、両脇に朝市の露店が商品を台に載せていて更に道幅を狭めていた。


「構わねえ! まっつ、公道を不法占拠している連中をついでに排除してやれ!」


まっつは、アクセルを開いて速度を上げて脇道に侵入した。


「どけ! どけえ! 邪魔だあ! 邪魔だあ! この野郎め! 引き殺されてえのか! この野郎め!」


ホベ車が突っ込み、台に乗せた野菜や果物、肉等が吹っ飛んで行く。


「隊長、ニワトリが入って来ましたあ」とスイカやカボチャを抱え、頭にニワトリが乗った大多賀が困った声で言う。


「大多賀、ハッチ閉めておけよ。それと、商品の代金は払ってやれよ」と笑う乾も、道の先を見て声を上げる」


「なんだあ! この先、道がねえぞう! ヲタク、どういうことだあ?」


地図を見る御宅が、

「これは、不法建築ですね。地図的には、この先まで道になってます」


「そうかあ、どのみち行くしかねえし、見た目安普請だから、このまま体当たりだ! まっつ!」


「あいよう!」


ホベ車は、道を塞ぐように建てられた不法建築らしき二階建て建物に、速度を落とさずに突っ込んだ。

流石、安普請の木造建築である。ホベ車の体当たりにより、きれいさっぱり元の道に戻っていった。


「隊長、この先に一度大通りに出ますが、そこも真っすぐです」


「おう! まっつ、そのまま真っすぐな」


「おい! ヲタク! 噴水があるぞ!」


「どうやら、ロータリーみたいですね。あの噴水は、石で出来てそうですから、ホベ車は大丈夫でしょうけど、後ろのコンテナが……」


「ようし、分かった。まっつ、聞いての通りだ。ロータリーを回って向こうの道に出るぞ!」


「了解!」


ロータリーを回るホベ車であったが、後ろのコンテナが遠心力で角の店に飛び込んでいいった。


「ヤバい! コンテナに引っ張られてる! まっつ、全力だっ!」


履帯が石畳を飛ばしながら、何とか踏ん張り前進を再会する。コンテナは、角の店を食い破って道に出て来た。


残り、500メートルから、敵援軍の先遣隊が上陸し銃撃を受けるが、無駄に分厚い装甲板を纏っているわけじゃないホベ車は、何とか無事に合流地点に到着した。


「隊長、超大発が見えました!」


「隊長、残り30秒です!」


「まっつ、エンジンがぶっとんでもいいから全速力だっ!」


「了解!」


「ようし、ホベ車が帰って来たな。艦尾錨をウインチで巻き取れ。機関逆進! 後進微速!」


「おい! おい! あいつら、離岸し始めてるじゃねえかよ。急げっ! まっつ」


離岸を始めた超大発に速度を落とすことなく、艦首より滑り込むホベ車とコンテナ。ランプから上甲板に上がったことで幾らか減速できたが、ホベ車は艦橋とコンテナにサンドイッチされることに、それでも丈夫な車体はゆがむことも無かった。車体はである。車内の人間はあっちこっちに体をぶつけ、青あざだらけになっていた。それでも、命があるだけマシであり、大多賀の張った倒福のおまじないのお陰かと乾は川面を見て思うのであった。


「ようし、全員無事回収っと。門扉上げろっ! 門扉上げたら、艦首を降ろせっ! 上甲板のホベ車の連中と船倉内の西大佐達に艦橋に上がれっ!って言え。全力で逃げるぞ!」


超大発は、30ノットの全速力で先行する大隅と国東を追っていた。

乾は、艦橋後部から独り長江を眺めていた。


河の流れは

末は遠く

闇の奥までつづいているようだった




Fin

後ほど、あとがきっぽいみたいなもの3をUPいたします。

そちらもよろしくお願いいたします。


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