表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

17/26

ソロモンの戦い ~ポートモレスビー攻略戦~

いつも誤字脱字修正ありがとうございます。

二日連続の投稿となります。

かなり強引に書いてますので、誤字脱字あるかと思いますが生暖かい目で見て頂ければ幸いです。

世界観を御貸し頂いた555様、感想まで頂きありがとうございました。

来島義男を生み出したとなりの山田様にも感謝申し上げます。

キャラが一人で動いてくれるので助かりました。

ここで、一応一区切りとなります。

ご愛読ありがとうございました。

 連合軍南太平洋軍司令部


「日本軍は、ラエに戦力を集中しています。ソロモンの悪夢、アドミラル・ガトー。そして、ドラゴンスレイヤー部隊のオーク・カムアウト。それから、こちらをお聞きください。ウエワクに出したP38からの通信です」



 Caution! Dodge enemy planes upwards!


  Hit out of control to escape!


 It's a "teacher"!


 Caught behind me Help me!


 Shoot down the "teacher"!


「やつが帰って来たのか!」


「そうです。一時期、姿を見せませんでした「ティーチャー」が帰ってきました」


「「……」」


「彼には、既に連合軍の機体が100機以上撃墜されております。偵察に出したトーマス・マクガイヤ大尉、リチャード・ボング大尉共にこの交信の後は連絡が取れません」


「更に、ガイア、オルテガ、マッシュの黒い三連星もラバウルから移動したとの情報が有ります」*1


「クソっ! あいつらには、空母を3隻も沈められてるんだぞ!」


「日本軍は、いよいよ、ここポートモレスビーを目指すと思われます」


「「……」」


 連合軍南太平洋軍司令部には、暗澹たる空気だけが流れていた。

 ホーネットとエンタープライズの撃沈は、東京ローズにより華々しく喧伝されていた。米政府は、戦艦4隻、空母5隻*2の沈没は、余りに国民に与える影響が強いと当初隠ぺいしようとしたが、日本による第3国経由での写真付き配信で国民にばれ、民主党政権を更なる危機に陥れていた。そして、それは連合軍南太平洋軍司令部に対して有形無形のプレッシャーを与えていた。



 ニューギニア北部ウエワク飛行場


「あれ? 篠原さん、本土から帰って来てたんですね。あっ!ご昇進おめでとうございます」


「あー、新型機を受領して帰って来た。こいつは、凄いぞ! 偵察に来たP38が全速力で逃げても追いついて撃墜したぞ!」


「へえ! そいつは凄いですね。 P38はラバウルでも取り逃がしてて手を焼いていました。四条大尉の百式司偵もポートモレスビーで追い払われたそうですよ」


「その四条も百式司偵の新型を受け取って、今からポートモレスビーに偵察に出るぞ」


 ラバウルから、乾中隊は一度根拠地のウエワクに帰還していた。ウエワクから篠原達、第4航空軍主力とラエに移動予定であった。そこで、本土から帰還した篠原と再会していた。篠原は、敵機200機撃墜の功績により少佐に昇進していた。篠原との再会に話がはずんでいる時に滑走路に金色の機体が出てきて、ポートモレスビーへの偵察のための発進準備に入っていた。


「クワトロ、百式出る!」


 それは、四条大尉の百式司令部偵察機Ⅳ型であった。


「あの百式も凄いぞ。ドイツから来たDB601Nを搭載してるからなあ。本来なら、5個中隊分あったDB601Nを1個小隊分で、百式司偵2機改造したんだそうだ。高度10,000mで700km近く出るそうだ。あれに追いつける戦闘機は今のところ存在しない」


 飛び立つ金色の機体を眺めながら、篠原はそう説明した。何でも、ドイツからDB601Nを購入した九州に覇を唱える別府造船グループ総帥、来島義男社長が陸軍への譲渡条件の一つとして、DB601Nを全て戦闘機だけに装備するのではなく、偵察機にも回すように条件付けしたという。最近になり、米軍がP38を導入し百式司偵でさえも偵察に支障をきたすようになり、この提案は将来を見据えていたと言えよう。

 ただ、「百式は、絶対に金色だろう!」と何故か義男がごり押しし、陸軍もたった2機だし追いつく戦闘機が居ないなら目立ってもいいかと、百式司令部偵察機Ⅳ型は金色に塗られることとなった。

 四条大尉などは大層気に入り、パーソナルマークとして四条家田字草の家紋を垂直尾翼に書き入れていた。四葉のクローバーに見える田字草の家紋は、それを見た後には日本軍の攻撃機が現れるため、連合軍からはunlucky cloverと呼ばれて忌み嫌われた。

 因みにもう1機は、ビルマ戦線に配備され熱心な仏教徒が多いビルマ国民から神のごとく崇められたという。


「それで、篠原さんのこいつは何ですか? 随分と鼻が長いですが。空冷とも水冷とも判断付きかねませんが……」


「ああ、こいつは別製だ。

 おいおい、別製って聞いてそんな顔するなよ。乾達が乗ってた色物とは違うんだ」


 そんな事を言われて、更に微妙な顔になる乾であったが、興味の方が優り

「別製といいますと、今までは既存品の改造が主でしたが、こいつは原型が何だかも分かりませんよ」


「そうだな。こいつは、日本機じゃないからな」


 そう、これは義男が購入したFW190A-2に、2基だけ仕入れていた一段二速過給で離昇出力1,750 PS 、水メタノール噴射時は2,100 PS をたたき出すJumo213Aを搭載していた。

 当初、DB201同様に飛燕への搭載が計画されていたが、研究用の1機以外の2機の機体と2基のJumo213Aについては義男が所有を主張し、いつも通りに渡辺鉄工所での魔改造が行われた。*3


 義男は、空冷のFW190から水冷に変えるに当たって一番の問題点であるラジエーター、これをユンカースJu88の様に円筒形のカウリングの中にラジエーターを環状に配置した。

 当初、義男のイラスト(という名の落書き)では伝わらなく、陸軍が戦前に研究用に輸入していたJu88を見学して、やっとのこと理解されたという。重心位置の変更により胴体の延長や垂直尾翼の面積増大など、何故に造船会社の社長がと思われるアイデアの数々で、別製試製戦闘機は完成し、試験の結果百式司令部偵察機Ⅳ型を上回る速度を記録した。また、上昇力、高高度性能共に鍾馗改を凌駕したと言う。

 その性能に驚いた陸軍は量産化を図るも、義男の「こんなの日本で作れるならドイツから持って来やしませんよ」の一言で沈静化した。


 こうして、第4航空軍は主力をラエに進駐させた。

 そして、ラエにエースパイロットを揃え、ウルツブルグレーダーとFlak36 88mm砲を配置して、遠藤中将お得意の鉄壁の防御による航空撃滅戦を展開しようとしていた。

 黙っても連合軍は攻めてくるが、更に遠藤中将は連合軍を煽ることにした。


「万難を排しニューギニアの大地よりお送りしております」で始まるNHK(ニューギニア放送組合)で辻参謀に演説をさせたのである。


「我が忠勇なる日本軍兵士達よ、

 今や連合軍艦隊の半数が我が航空隊、

 艦隊によってソロモンの海に消えた。

 この輝きこそ我等日本軍の正義の証しである。

 決定的打撃を受けた連合軍に如何ほどの戦力が残っていようと、

 それは既に形骸である。

 敢えて言おう、カスであると!!

 それら軟弱の集団が、このラエを抜くことは出来ないと私は断言する」


 この名演説を御宅軍曹の同時通訳で30分に一度丸1日NHK(ニューギニア放送組合)で流した。


 演説の効果は、200機を越える戦爆連合での攻撃となって現れた。

 ポートモレスビーだけでは機体が足りず、重爆はケアンズからも飛んできていた。そんな連合軍の猛攻撃であったが、守るラエには陸海軍の戦闘機が120機居り、その悉くを撃退することに成功していた。


 海軍戦闘機乗りから、「B17は墜ちない。B24は足が長く更に墜ちない」と言われた連合軍の重爆隊は、陸軍戦闘機のマウザー20mmで次々墜とされていった。

 逃げ足が早いと言われたP38戦闘機も、それを徹底的に狙えと言われた篠原少佐の餌食となった。


 そうして、激しいポートモレスビー航空撃滅戦中、オーエンスタンレー山脈越しの戦艦軍の砲撃によりラビが壊滅(陥落では無い)。いよいよ、ポートモレスビー攻略戦である。


 陸軍は、神州丸始め揚陸艦の全てを作戦につぎ込んだ。そこにはいわくつきの船が何隻か……


 パレンバン攻略で使用された超大発改は速度があり敵前上陸では非常に有効と思われたが、乗り心地が最悪で敵よりも先に味方が全滅するほどであった。

 当然、別府造船に改善命令が下されるが、「こんな利益にならねえものやれるかあ! 使い捨ての舳先でも付けとけ!」と義男がいい、何がどうなったか本当に使い捨ての舳先が付けられた。造波抵抗が減少し、乗組員が全滅する事は避けられた。ただし、船倉に戦車などを積みこんでから、工作艦に横付けしてクレーンで装備するという非常に厄介なものであり、パレンバンで使用された超大発改4隻以外には装着されることは無かった。


 シンガポールで鹵獲されたインドミダブルは、本土に回航され別府造船で土佐丸に続いて揚陸母艦へと改修され豊後丸と名付けられた。

 揚陸母艦となった豊後丸には、最上甲板から左舷に2基、右舷に1基の広大な昇降機が張り出していた。いわゆる舷側エレベーターは、土佐丸での運用で有益と判断され装備された。

 時間が有り余るほどあった土佐丸と違い、インドミダブルは早期の戦力化が望まれ、船体は最低限の改造で済ませた。土佐丸の様にウェルドックなどは有るわけも無く、大発やそれに搭載される車両などは、元から有る2層の格納庫と最上甲板すなわち飛行甲板に搭載された。飛行甲板にある元からのエレベーター2基で飛行甲板に上げられ、砲塔を外し履帯にゴムを被せた95式軽戦車にごつい連結器で繋がれて、甲板に走るレールの上を滑り舷側エレベーターに乗せられ海面へ降ろされるという作業が必要であった。

 ウェルドックを備える土佐丸や神州丸に比べて、即応性は劣るが装甲空母と呼ばれた防御力は敵前上陸では有用と判断された。


 ポートモレスビー上陸の一番槍を命じられた「神州丸」の大発艇は、散発的な陸地からの反撃に首をすくめるだけであった。8ノットで進む大発艇は周囲に展開している海軍の戦闘艦艇に比べて圧倒的に鈍足だ。昨夜から続く陸軍の重砲、海軍の戦艦からの砲撃で敵の火力はそがれているものの、健在な火砲は多い。的(大発艇)が多いので集中攻撃されないだけだ。それでも先頭を進む神州丸の大発艇に飛んでくる砲弾、銃弾は他の艇よりも多い…ように思われる。


 頭上を通り過ぎる機銃弾、船腹に食い込む小口径砲弾の音に飛び上がり、首をすくめながら、ひたすら接岸を待っている。と、彼らの耳に海上では耳にすることのない不等間隔爆発の発動機音が届く。友軍機か?音のする方向に目をやると、豪快に水煙を巻き上げながら6隻の異形の上陸艇「別製運荷艇」が猛スピードで通過していった。その速度は30ノットを超えている。


「あ!てめっ!抜け駆けとは卑怯だぞ!」


 海軍陸戦隊を乗せた「別製運荷艇」は陸軍上層部の根回しをあざ笑うがごとく、ポートモレスビーに突進していった。


 別製運荷艇は海岸で速度を落とさず今度は砂煙を上げながら陸上に突進。コンテナから海軍陸戦隊2個小隊が飛び出す。


「一番槍は海軍陸戦隊が頂いた!塹壕を潰せ!橋頭堡を確保だ!」


「ちくしょう! 一番乗りは持って行かれたが、本命は俺たちだ! 速度を上げろっ! 最大船速だあっ!」


 神州丸の大発に乗った隊長が幾ら怒声を上げようと、悲しいかな8ノットの最大速度が上がることは無かった……


「じゃあ、お先失礼します」


「ん? ブの1。 豊後丸んとこの大発じゃねえか。先行くも何も同じ大発で何言ってやがんだ!」


「ようし、船外機降ろせ! 全船、これより最大船速にて突貫!」


 その号令を受けて、豊後丸の大発10隻が船尾から激しい水煙を上げて、速度を上げて神州丸の大発を次々に抜いていった。


「…… えっ? あれ、大発だよね?」


 それは、山岡製作所が開発した100馬力の船外機を3基付けたものであった。超大発の速度向上を達成した別府造船に、陸軍が大発の速度向上も要望してきた。ここで問題となったのが、浅瀬でも損傷しないようにとのスパイラルスクリューであった。単に馬力アップだけでは速度が上がらない。かといって普通のスクリューでは浅瀬で損傷して動けない。そこで、山岡製作所が小型漁船用に開発していた船外機に目を付けた。船外機を跳ね上げることで、スクリューのプロペラを傷めずに砂浜に上陸させることが出来た。

 これをブースターとして大発に取り付けた。山岡製作所最大の100馬力エンジンの船外機を……

 元々、60馬力そこらの船に3基合計300馬力から発生される速度は尋常では無かった。


「あの大発、30ノットは出てるんじゃないか?」


「おいっ! てめえら! 陸軍の一番槍は俺達だぞ! 戻って来いっ!」


「戻って来いと言われて戻るバカがいるか? そんなこと言ってると後ろに踏みつけられるぞ!」


「あー? 何言ってんだ……」


 後ろを振りむいた神州丸の隊長は目を見開いた。そこには、白波を立てて超大発が迫っていた。


「あっ、あー、こちらは陸軍空挺団である! 前に浮かんでいる小舟ども、とっとと、そこをどきやがれっ!」


 ご丁寧にラウドスピーカー使って指示を飛ばすのは、陸軍空挺団の荒くれどもだった。パレンバンの空挺作戦が順調すぎて、物足りなさを感じていた空挺団は、38師団がムシ川遡上に使った超大発を「あれ、面白そうじゃね?」といい、機会があれば乗って作戦に参加させてくれと南方軍総本部に要請していた。要するに、好き好んで落下傘で飛び降りるような奴らは、頭のネジが2~3本抜けているということだった。


 仮設とはいえ、三角形の舳先は波をかき分けて順調に進んでいた最大速度の30ノットで…… 

 山岡製作所の1200馬力のディーゼルエンジンに本田技研工業が開発したディーゼルエンジン用排気式過給機を取付け、1500馬力に向上させた超大発は合計6,000馬力とまともな船首のお陰で30ノットへと速度が向上していた。

 満載排水量1,000トンの超大発が湾内で30ノットで引くウェーキが、神州丸の大発を襲った。かろうじて転覆したものは無かったが、海上に落水した兵士はかなりの数になった。


 別製運貨艇で抜け駆け上陸。最前線の塹壕のいくつかを制圧したした海軍陸戦隊と陸軍歩兵部隊は、そこから小火器で敵陣地への攻撃を行い、後続の上陸部隊の援護を行う。

 生き残った陸上からの砲撃、機銃や迫撃砲によるものが多かったが、中小火器のみの攻撃であっても、非武装の別製運貨艇や、上陸を狙っている大発艇にとっては脅威だ。陸戦隊と揚陸した別製運貨艇は船体を機銃弾、小銃弾で穴だらけにしながらも、その高速で待避に成功したが、8ノット程度の速度しか出ない大発艇は格好の的になり、少なくはない艇が迫撃砲弾の直撃を受けて砕け散り、横転する。


 そこに、30ノットで突っ込んでくる豊後丸の大発と超大発! 余りの速度に驚き、相手の攻撃が下火になったのを見て、超大発の上甲板から別製対潜水艦曲射砲架、合計64門が火を噴いた。


「ようし、上陸予定地点は粗方吹っ飛んだな? 舳先を落とせっ!」


 超大発の船首に取りつけていた、三角形の仮設の舳先が爆薬で盛大に吹っ飛んだ。


「ゲホゲホっ。 火薬の分量間違ってないかっ!」


 何はともあれ、仮設の舳先を海岸到着前に切り離し、超大発は豊後丸の大発を引き連れて、海岸に滑り込んだ。


「ようし! 門扉を降ろせえ! さあ、船倉のお客さん達の出番だぜ。行って来いやあ!」


 別製運貨艇で抜け駆け上陸し、最前線の塹壕のいくつかを制圧した海軍陸戦隊だったが、小火器だけの武装ではこれ以上の進軍が出来ずに陸軍の上陸を待っていた。そこへ……


「どけ! どけえ! 邪魔だあ! 邪魔だあ!」


「どけ! どけえ! 邪魔だあ! 邪魔だあ! この野郎め! 引き殺されてえのか! この野郎め!」


「どけ! どけえ! 邪魔だあ! 邪魔だあ! この野郎め! 葬式出してえのか! この野郎め!」


 いきなり、海岸から黒い戦車が突っ込んできた。それは、「チベ車」であった。パレンバン攻略戦でのムシ川遡上作戦を見て上陸作戦には数両あってもいいかも?となり、今回のポートモレスビー上陸戦に4両の「チベ車」が持ち込まれた。4隻の超大発の一番槍は4両の「チベ車」であった。九九式八糎高射砲を転用した1式対戦車砲の威力は強力だが、戦車兵には人気が無かった。「だって、首無しだし」と言われ……


 そこで、白羽の矢が立ったのが、乾達であった。


「何で、我々が戦車に?」と、日本一の爆撃機乗りの陸軍大尉、乾辰巳。


 対して、回答するのは、バロン西こと西竹一少佐。

「当然の疑問だ。この戦車は、車体に付いている88mm砲と2丁の7,7mm機銃が主な武器であり、その照準方法が車体を敵方向に向けるという戦闘機の様に行う」


「いや、それなら戦闘機乗りの方が良くないですか? ここラエには陸軍のエースパイロットが揃ってますよ」と、篠原や加藤の方を向くも明後日の方向を見て素知らぬ顔の日本一、いや世界一の戦闘機パイロットコンビ。解せぬ!


「聞けば、諸君らは襲撃機乗りとか、襲撃機はその厚い防弾装備で敵の機銃をものともせずに敵に向かって行くとか。この「チベ車」も元は戦艦の物を流用した装甲で敵弾を弾きながら、敵に向かって行く。そんな「チベ車」を運用するには諸君らが適任である! と、辻参謀の推薦もあってな…… うん? どうした? マウザーなんか握りしめて」


 辻の名前に条件反射で、マウザーC96をホルスターから抜いた乾を抑えながら、大多賀と松井は

「いやあ、戦車といっても砲塔無いんですよ。これは」と言うと


「砲塔なんて、飾りです! 偉い人にはそれが分らんのです」と返す西竹一少佐。


 いや、西竹一少佐はバロン西と言われるだけに男爵で、この中で一番偉い人なはずだが、四条伯爵家のクワトロ大尉は次男坊で、当主である西少佐がやはりこの中で一番偉いな、うん! と、少し冷静になった乾は頭の中でどうでもいい理解をしていた。

 西少佐は、本田技研工業と開発した悪路に強い自動二輪で作戦に参加することになっていた。解せぬ……


 そんなこんなで、4両の「チベ車」には乾、大多賀、松井の黒い三連星と、いやだいやだと言うのを無理やり引き込んだ樫出の4名が、操縦手兼砲手として乗り込んだ。


 小火器だけで、何とか持ちこたえていた海軍陸戦隊と合流し、超大発の空挺団は豊後丸の大発からの陸軍兵と合わせ橋頭堡を拡大していった。

 更にその快足を生かし、内陸の飛行場を確保するために向かい快調に飛ばしていた乾達の目に対戦車濠が見えた。「チベ車」は車体から長い砲身が飛び出ているため、こうした障害物には弱かった。迂回路を探すしかないかと思っているところに


「乾大尉、信地旋回して後ろ向いて車体を前のめりにしてくれ!」と西少佐から無線が入る。


 超信地旋回して180度回転し、油圧で後を上げて前のめりの姿勢にしたところに西少佐が自動二輪で走って来る。


「おっ、俺を踏み台にした!?」


 西少佐たち、自動二輪部隊は乾の「チベ車」を踏み台に次々、対戦車濠を飛び越えていった。


 こうして、ポートモレスビー攻略は、陸海軍の総力を上げて行われ、多大な犠牲も払ったが、有名な「Go ahead, make my day」の降伏勧告を持って終わりを告げた。





 *1 アメリカ人の耳には、そういう風に聞こえるらしいです。

 *2 ロングアイランドの鹵獲は知られておらず、撃沈に数えていた。

 *3 もう1機は、ビルマ戦線で黒江保彦大尉が使用。






これにて、ノモンハンからソロモンへと続いた戦いの旅は終わりです。

何か、最後はオレたちの戦いはまだこれから的ですがw

一応、完結にしないで今後は閑話とか入れていきたいと思います。

1884年、来島義男生誕百年祭みたいなのを考えています。


宜しければ、いいね、ポイント評価、ブックマークの登録をして頂けますと幸いです。

感想や誤字脱字報告も宜しくお願いいたします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 16話の最後と17話の冒頭の英語は誰かのセリフ?
[一言] ツッコミたい事は色々あるけど何故にダーティハリー?
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ