ソロモンの戦い ~ソロモン乱入~
12月頭に福岡に出張で、ララポート福岡でガンダム見てきてから、このセリフはずうっと使おうと思ってました。
やっと、無理やりな伏線を回収出来ましたw
「ソロモンよ! 私は帰って来た!」
「あれ? 加藤さん、ソロモン海域って来た事ありましたっけ?」
「いや、無いんだが…… 何故か、この言葉を叫ばなくてはならない衝動に駆られて……」
我々は、ポートモレスビーからソロモン海を渡ってくる連合軍戦爆連合、これを迎え撃つためラバウルを発進し、ソロモン海を左手に見ながらニューブリテン島の上空を飛んでいた。
海軍には無い機上電探を装備した早期警戒機、97式重爆撃機二型乙改をソロモン海上空で哨戒に当たらせているため、ウエワク上空同様に早期に敵を発見し待ち伏せることが出来た。そして、敵戦爆連合はマウザーの20mm砲により多大な被害を被ることになった。特に、加藤はラバウルの戦いにおいて2週間で50機を撃墜し連合軍から「ソロモンの悪夢」と言われるようになる。
本土からの補充があり、ウエワクの第4航空軍は作戦機150機に増え、ポートモレスビー方面からの攻撃は更に被害を受けることとなった。
同じニューギニアの敵基地であるウエワクは、連合軍にとっては看過できなかった。
連日、ポートモレスビーから攻撃を加えたが、高高度能力が低いと思われた日本軍が高高度戦闘機(実は襲撃機)を配備し、搭載された20mm機関砲は墜ちないと言われたB17を多数撃墜した。その被害の多さに連合軍は、攻撃の矛先を海軍の根拠地たるラバウルに変更する事にした。
攻撃三倍の法則を逆手に取って積極的な攻勢に出ずに、ウエワクでの待ち伏せを主体に組み上げた遠藤中将の戦略は、航空撃滅戦としてはポートモレスビーの戦力を大きく削り初期の目標を達成したと言える。
海軍の根拠地が置かれたラバウルは、ポートモレスビーへの陸攻での攻撃と、ポートモレスビーからの反撃により戦力が減少していた。特に、ウエワク攻撃を諦め、その分の攻勢も受け、一時的な戦力枯渇に陥ることになった。
そこで、海軍は本土からの補充の繋ぎとして陸軍への救援要請をし、ウエワクから30機程が移動することになった。
「がとう! おめえよう、がいあどおーぐの隊も連れてラバウルまでえってけれ」
訛りが酷い我らが親分、遠藤中将の命により、加藤大尉の第11戦隊第3中隊、鍾馗改12機を中心に屠龍8機(樫出中隊)、二式襲撃3機(乾中隊)、百式司令部偵察機2機、99式双発軽爆撃機改2機、97式重爆撃機二型乙改2機がラバウルへ移動することとなった。
この頃、第4航空軍では米軍を真似てコールサインで呼ぶようになっていた。敵性語はけしからんという意見もあったが、遠藤中将の日本語もどきで呼ぶばれるよりいいだろうとなっていた。
本名で呼ぶと激しく怒るクワトロ大尉こと四条大尉でさえも、「おい、すじょう!」と呼ばれても怒ることは無かった……自分が呼ばれているという認識が無いのだ。
乾大尉は、航空士官学校でのあだ名「外野」で呼ばれていたが、遠藤中将の訛りにより「ガイア」に変換されていた。樫出は、樫が英語でオークなので「オーク」に。篠原は、航空士官学校時代の先生からティーチャーとなっていた。その篠原は撃墜総数200機を越えて、我々の昇進の際に流石に早かろうと言われていた佐官への昇進の動きがあり、本土への一時帰還が命じられていた。
そして、ラバウルに進駐した我々は、後にソロモン乱戦と言われる戦いに巻き込まれて行った。
ラバウルでの迎撃任務に多忙を極める我々に、米海軍の空母部隊を第一航空艦隊が攻撃しているとの報告が入った。隣の飛行場からは、陸攻隊が急ぎ出撃の準備をしていた。
「米軍機動部隊は、ガダルカナル近海に居たらしい。第一航空戦隊の攻撃を喰らってるらしいが、まだ撃沈には至ってないそうだ」
「ふ~ん、情報ありがとうね。樫出。ラバウルからだと1,000kmかあ? まあ、俺達には関係ないね」
「まあ、そうだな。落下タンク二つ積める屠龍なら行けない事もないが、対艦装備なんて陸軍に無いしなあ」
度重なる失態から、米海軍は何がなんでも成果を欲していた。そして、乾坤一擲の勝負に出たのたが、日本海軍に先に見つかってしまった。
必死で逃亡をはかる第十六、十七混成任務部隊に第一航空艦隊は執拗な攻撃を仕掛ける。
同時に、艦隊は敵機動部隊に肉薄すべく全速で突撃を開始、同時に航空母艦の護衛を行っていた駆逐艦を夜戦を行うために分離した。ここで空母を叩けば、米軍空母部隊は事実上壊滅すると読んでいたのだろう。また、司令官が山口少将であったことも帝国海軍には幸運、米海軍にとっては不幸であった。そして、米海軍にとっても帝国海軍にとっても不幸な男がこの時ラバウルに来ていた。
「おーい、カン! カン中尉!」
その声の主に対し、能面の様な感情を無くした顔の乾が、感情を無くした声で応える。
「オヒサシブリデス。ツジサンボウドノ。イマハ、タイイです」
「何だ? 声がおかしいが……」
「まあ、挨拶は置いといて、取り急ぎ乾中隊は百式司令部偵察機の誘導で、敵米海軍の機動部隊に接敵、米空母を撃沈」
辻の話の途中で乾は、腰のホルスターから愛銃C96を抜き、辻の足元に連射した。
「危なかったですねえ。辻参謀。足元にサソリが居ましたよ。ミナミツジサソリと言ってやられたら一発でお陀仏でしたよ」といい笑顔の乾大尉であった。
「そうか、助かったのか……それで、米空母をだな」
乾は、今度は辻の後ろの木に2発連射した。
「今度は、毒蛇ですよ。ミナミツジマムシと言ってですね……」
「南洋にもマムシが居るんだな…… それで話なんだが」
これ以上、ほっとくと辻に全弾叩きこみかねないと判断した加藤が介入し、遠藤中将からの命令ということで乾中隊は、米軍機動部隊に向かうことになった……
ソロモン海に乾の「どうしてこうなったあああああ!」と、大多賀の「自分は泳げないんですよううううう!」の声だけがいつまでもこだましたという。
第十六、十七混成任務部隊は3波の攻撃を受けて航空戦力を喪失していた。航空攻撃を受け速度の低下した航空母艦であったが、それでも米空母特有の耐久性で未だに健在であった。第3波の攻撃の最中に乾中隊は戦場に到着した。落下タンクを捨て高度20mを時速500kmで突っ込んで行く!
「どけ! どけえ! 邪魔だあ! 邪魔だあ!」
「どけ! どけえ! 邪魔だあ! 邪魔だあ! この野郎め! 引き殺されてえのか! この野郎め!」
「どけ! どけえ! 邪魔だあ! 邪魔だあ! この野郎め! 葬式出してえのか! この野郎め!」
うん、大多賀もまっつも相手は友軍なんだから、そんな汚い言葉はやめなさいね。
「よし! 大多賀! まっつ! 横陣で行くぞ! 高度を50mに上げろ!」
ヨークタウン級空母の1隻に狙いをつけ、ヨークタウン級の全長約250mを高度50mで左舷後方から右舷前方へ斜めに交差するように乾は機体を操った。大多賀、松井はそれに追随する。
交差3秒前、ヨークタウン級空母の手前400mで、各機二基合計六基の別製対潜爆弾架台が一斉に投下された。別製対潜爆弾架台は風圧ですぐに飛散し、81mm迫撃砲弾を元に作られた300発の対潜爆弾が、減速用のリボンを引いて信管を空母に向け殺到した。
時速500km、高度50mでの対艦爆撃など人間業では当てられない。しかし、面に多数の爆弾をまくのなら簡単だ。
投下された300発のうち、艦を通り過ぎて遠方に着水したものは約100発。空母に直撃したものが約90発ほど。残る110発は空母の手前に着水し近弾となった。
対潜爆弾は、もとは九七式曲射歩兵砲の81mm砲弾にすぎない。耐久性に優れた米空母には普段であれば致命傷を与えることは不可能であったが、第一航空艦隊の3波に渡る攻撃を受け速度を落とさざるを得ない状況では、結果は壊滅的であった。着水した近弾は磁気信管で一斉爆発を起こし、空母の水面下に大きな破孔を作り大規模な浸水を招き、ダメージコントロールの機会も与えずに空母は左舷に横転沈没した。
この模様は、誘導役の百式司令部偵察機から写真撮影され、空母ホーネットの撃沈は陸軍第4航空軍の乾中隊の成果であることを証明した。
「ようし! ヨークタウン級空母1隻撃沈! 燃料の事もあるから速やかに現場より離脱する。 クワトロ大尉、誘導お願いします」
トンビに油揚げをさらわれた恰好の海軍搭乗員たちの怨嗟の罵声を受けながら、乾中隊はラバウルの途に着いた。
間もなく、夜のとばりが降りる。第十六、十七混成任務部隊は夜のうちに東方に必死に逃れようとしていた。しかし、それを第一航空艦隊から分離された水雷部隊が猛烈な勢いで追っていた。
いずれにしても、空母1隻撃沈した乾中隊はお役御免と思われた。乾達も、これで空母3隻撃沈となり浮かれていた。1隻目が、ドックの中のインドミダブル。2隻目は、空母とは名ばかりの改装空母で航空機輸送艦と言ったラングレー。今回は、行動中の正規空母なので嬉しさもひとしおである。今日は、いい夢見れそうだなと思っていた時期が三人にはありました。
ラバウルで待っていたのは、南方軍参謀の瀬島隆三少佐だった。
開口一番に「ホーネット撃沈おめでとう!」と言われ、自分たちが撃沈したのはホーネットであったことが分かった乾達であったが、わざわざ参謀が祝辞をいうためだけに滑走路まで来るわけは無く。
「帰還早々悪いが、再度飛んで、もう一隻のエンタープライズを仕留めてきてくれ」
「はい? 申し訳ございません。大変、恐縮ですが、意味が分かりません。もう、夜ですよ! 真夜中に海の上1,000km飛んで行けってんですか! しかも、今日は新月で全く敵艦も見えませんよ! 翌朝には、海軍の第一航空艦隊がまた攻撃しますから、そちらにお任せするのが最適かとおもいますが」
と、いつになく雄弁な乾であったが、雄弁さでは参謀である瀬島も負けてはいない。
「確かにその通りだ。翌朝には、第一航空艦隊の再度の攻撃が有る。しかし、本日の攻撃を振り返ってどうだ? ラバウルの陸攻隊も出撃した上で戦果はヨークタウン1隻だ! そして、それは乾中隊によるものだ。海軍の攻撃隊は、奇襲攻撃に成功したのにも関わらず1隻も沈めていない。それほどに、米軍空母の耐久性は優れている。明日の朝にはラバウルからの攻撃圏外に逃走していることであろう。第一航空艦隊だけで3隻の空母を全滅させることは可能か? 取り逃がした場合は、米軍の修理能力を考えれば即時戦場に戻ってくることは火を見るよりも明らかだ。エンタープライズとホーネットは東京空襲を画策していたという情報もある。ここは、陸軍だ、海軍だでは無く、日本国民のためにエンタープライズを沈めて来てくれ! 頼む! この通りだ」
とプライドの塊のような参謀が頭を下げるのを見て乾は、
「分かりましたよ。誘導用にキ48改出してください。あっ、吊光弾も積んでおいてください。大多賀、まっつ、お疲れのところ悪いけど、もう一回飛ぶぞ!」
「「了解!」」
瀬島の言葉に来るものがあったのだろう、大多賀も松井も文句は言わなかった。
そうして、真っ暗になったラバウルの飛行場を誘導用の99式双発軽爆撃改2機と共に乾中隊は、米空母への再度の攻撃に飛び立った。
第一航空艦隊から分離された水雷部隊は、最大戦速で米空母を追っていた。張り付いている水上機の報告では、エンタープライズは速度が落ちていて艦隊から脱落しており、間もなく追いつく距離まで来ているという。波の向こうに、航空攻撃による火災が鎮火していないエンタープライズからの光が、ほのかに視認できる程になってきた。
「ようし、間もなく射点に着くぞ。水上機に距離5,000mで吊光弾を落とすように伝えろ」
その瞬間、水雷部隊の前方に吊光弾が落ちて来た。
「ばか野郎! 早いし、どこに落としてるんだ!」
そう、通常はこちらから敵艦が視認できるように吊光弾は、敵艦の向こうに落とすものである。実は、そのセオリー通りに吊光弾は落とされたのであるが……
「うん? 米空母から飛行機が飛んで来るぞ! 対空射撃!」
高度50m程を凄まじい速度で真っ黒な機体が3機、水雷部隊の上空を通過していった。
「どけ! どけえ! 邪魔だあ! 邪魔だあ!」
「どけ! どけえ! 邪魔だあ! 邪魔だあ! この野郎め! 引き殺されてえのか! この野郎め!」
「どけ! どけえ! 邪魔だあ! 邪魔だあ! この野郎め! 葬式出してえのか! この野郎め!」
それは、乾達であった。ラバウルから南下した乾中隊は、キ48改の海軍無線の盗聴と搭載された電探により、正確にエンタープライズを捕捉した。そして、キ48改は乾中隊より先行し、エンタープライズを追い越したところで吊光弾を落としたのであったが、そこは第一航空艦隊から分離し北上してきた水雷部隊の目前であった。
こうして、第一航空艦隊からの攻撃でどうにか浮かんでいる状態のエンタープライズは、300発の対潜爆弾を食らいホーネットと同じく横転沈没して、火災を鎮火させることになった。
翌朝、陸軍に二度も獲物を横取りされ、怒り狂った第一航空艦隊による再度の攻撃により、米海軍の残りの正規空母、「レンジャー」「ヨークタウン」が新たにソロモンの海中に没し、ソロモン航空戦は日本軍が勝利し、ここに米軍太平洋艦隊の航空戦力は消滅した。
夜間飛行の、先導機の翼に点滅するランプは遠ざかるにつれ、
次第に星のまたたきと区別がつかなくなります。
「って、こらあ! 俺達をおいてくなあ! どうして、こうなったあ!」
誘導するキ48改を見失いそうになりながらも、乾達はラバウルにたどり着いた時には朝日が上っていた。こうして、乾達の長い一日は終わりを告げた。
その頃、ウエワク上空では、
Caution! Dodge enemy planes upwards!
Hit out of control to escape!
It's a "teacher"!
Caught behind me Help me!
Shoot down the "teacher"!
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