2章 第16話 [船の上の小さな冒険 ①]
ユリシアと別れて十五分ぐらいが経ち、シスが船の端で一人孤独に元気をなくしている中、慶一が何か言いだした。
「ーーーそういえば、まだ船の内装あまり見れてなかったな…」
「船じゃない! 『オーシャンスニーカー号』だ!!」
船と言ったことに怒ったのだろう…。
突然、ロゼが鬼のような形相で激しくキレ始めた。
その姿を見て慶一は、とりあえず船と短く略してしまったことをビクつきながら謝る。
「ご、ごめん…」
ロゼはその謝罪を「分かれば良い」 何処か堂々とした風格で許す。
その一言の返事に安心して、いつの間にか力んでいた肩の力を抜きホッとため息を吐いた。
そんなやり取りを遠くから見ていたシスが二人の元に駆け寄り、終わりかけていた会話に割り込む。
「ねぇ、ねぇ、どんな話をしているの??」
シスの声を聞いたロゼはこう答えた。
「ちょうど良い…エドキモノ大陸に着くまで、まだ距離があることだ! 慶一と二人で 『オーシャンスニーカー号』を散策してくるとよい」
「えぇ〜〜〜…ロゼも一緒に行こうよぉおお〜〜〜…」
「すまんな…船の舵があるから一緒に行きたくても行けないんだ…」
「そっかぁ〜…じゃあ行こ、慶一…」
「いいけど………んじゃ、行くか??」
何故だろう…心が痛む。
微妙に憂鬱な気分になる…。
そんなことを思っているうちに、シスは慶一の方に背中を向けて少し先に行ってしまっていた。
「慶一、早く!!」
「うん! 今行く!!」
なんだかイライラしてるっぽい?
慶一は走りながらそう感じた。
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ーーー数分後。 慶一は船内を見渡しながら歩いていた。
内装を見ていると、改めてこの船が自分のものになったという感動で身体が疼く。
シスの姿は、とーーー。
(アレ、いない?)
再度辺りを見渡す。 だけど、やっぱりいない。
おかしい。 慶一は、首をひねりながらここまで来た道を逆走する。
どうしたのだろうか。 確かにさっきまで一緒にいたはずなのに。
右を見て左を見てとシスの有無を確認し、視界に入った階段を一人で下りていく。
一段一段、激しく蹴って進む。 そして一番下の階までやってきた。
そのままの勢いで目の前に見えた重たい鉄の扉を開く。
中には大量の食糧や飲料水が貯蓄されていたので、すぐに貯蔵庫だと分かった。
(流石にこの中には居ないか…)
そう判断して部屋を出ようとした瞬間だった。
『ガタッ!?』
なんだ? お腹を空かせた子犬か子猫でも迷い込んだのかーー?
「もう、どこにお宝が眠っているのよぉおおおお!!!!!」
え!?
どこからか、悔しさに満ち溢れたシスの声が聞こえてきた。
慶一は、おそるおそる声がした方向へと進む。
謎の緊張で心拍数が上がり始めた。
ちょうど大きな樽が目に止まったので、そこに身を隠しながら思い切ってのぞいた。
(何してるんだ?)
おそるおそる見た光景はーーー。
「何よこの地図! この船のどこにお宝があるっていうのよ…」
薄暗く埃くさい樽に囲まれて、床に寝転びながら何かを熱心に見ているシスがいた。
なんだあの紙切れは。 慶一はもっとはっきり見ようと、樽の影から身を乗り出す。
その瞬間バランスを崩してしまい、大きな音と共にシスの前に倒れた。
そして、シスも流石に慶一の存在に気づいた。
「け、慶一!? なんで此処に居るのよ!??」




