2章 第11話 [カジノ島]
「で、どこに向かうんだ?」
なんの前触れもなく唐突にロゼが、モッフンに餌をあげている慶一にそう聞いて来たのであたふたしているとシスが冷静にこう答えた。
「エドキモノ大陸にある、 “和月村” っていうところよ」
「ほぅ、和月村か…確かあそこは花魁などが有名だったな…シスなら着物とかいう服を着ても似合うんじゃないか?」
「え、そう!? でもロゼも似合うと思うよ!」
「それはありがたい言葉だ」
ーーーおいおい、いつそんなに仲良くなったのよ…まだ五時間ぐらいしか経ってないぞ…。
慶一がそんなことを考えながら、“ハブられた!” と、一人でひねくれているとロゼが二人に向けてこう言う。
「よし、もう暗いし近くに島が見えた。 今日はあの島で休もう」
そして、オーシャンスニーカー号を近くの島に停めた。
船を降り、白い砂浜に足を付ける。
「ひゃー、なんか久しぶりに大地踏み締めた気がする!」
シスはそう言い砂浜を走り回っていると、ロゼが木が茂っている森を指さしながらこう言った。
「今日は宿に泊まろう、それに航海中の食糧も調達しないとな」
ロゼの指差す方向には温かく明るい街の光が微かに見えた。
ーーーしばらく森を歩く。 そして森を抜けると其処には、とても大きくライトアップされている建造物のカジノなどが沢山ある大きな街が広がっていた。
「うわ! 何この街!? 凄い栄えてるじゃん!!」
シスが鼻息を荒くしながら目を輝かせる。
「ほぅ、確かこの街があるって言うことは此処はカジノ島ですね?」
「え、カジノ島!? 知ってる! 聞いたことあるし、本で見たことある! え、本当にあったの!?」
シスがまた一人で興奮する中ロゼが冷めたような顔でこう言う。
「シス、今日はカジノをやりに来た訳じゃない、カジノはまたの機会」
「え〜〜、う〜〜ん…じゃあまたこの島に連れて来てくれる? 約束してくれるんだったら今日はやらない!」
「しょうがない、約束しよう…」
「ふふっ! ありがとう、ロゼ!!!」
そう言って二人はお互いに小指を出し指切りげんまんをした。
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「それにしても何処を歩いても電気で照らされてて明るいなこの街…」
「それはそうだ、何故なら此処は世界で最も栄えているという街だからな」
二人が仲良く話しているとシスが間に割り込んできた。
「もぉ〜、私を仲間はずれにしないでよ〜」
「いや、してないぞ」
慶一がニヤニヤしながらそう言うとシスが慶一の足をワザっと踏み付けた。
それに合わせてモッフンが慶一の頭を突っつく。
「イタッ!?」
「どうした!?」
「なんでもないよ」
シスがニコニコしながらロゼに笑顔を見せる。
慶一にも笑顔を見せた…ロゼとはまた違う笑顔を…。
「それよりも此処、裏通りなのかなぁ? 私達以外の人通りが全く無いし、なんか薄暗くて気持ちわる〜い」
「そうだなぁ」
慶一はひねくれた様子でシスの言葉に答えた。
「何よ、慶一!! この私に喧嘩でも売ってるの!?」
「なんでそうなる!!?」
二人が口喧嘩をしているとロゼが何かに驚いた様子で叫び二人を呼んだ。
「慶一、シス!! 前を見ろ!!」
其処には黒いマントで身体を包み、漆黒のフードで顔を隠している二メートル程あるひょろ長い人のような姿があった。
その存在に気づいた瞬間に、慶一達の周りは黒い霧に包まれた。




