2章 第8話 [ダサい! 改名!!]
山の麓でシス達と再開した慶一は今、港に戻っている。
ビルカとの三人で楽しく話しながら歩いていたら、シスが唐突にこんなことを言った。
「慶一、そういえば肩のそれ何? その毛玉」
「け、毛玉…? あぁ、モッフンのことか?」
“モッフン” という謎の言葉にシスは眉間にしわを寄せて戸惑いながら、また慶一に質問をする。
「モッフンってその慶一の肩に乗っかっている毛玉のこと?」
シスは申し訳なくなった。 フェニックスに連れ去られた間に、慶一の頭がおかしくなったと思って…肩に大きな毛玉のゴミを乗っけて、しかもそれに名前も付けているのだから…。
まぁ、シスが毛玉のゴミと見間違えているだけだが…。
「うん、そうだけど…それがどうかしたか?」
慶一の言葉に、合いの手を入れるようにモッフンが「ピャー」と鳴いた。
「え、何それ? 生き物なの? 今鳴いてたけど…」
シスは毛玉が鳴き声をあげたので自分もおかしくなったのかと思い、元の感覚を取り戻そうと目をパチパチ十何度も開けたり閉じたりした。
そんなことをしているとビルカが驚いた様子でこう言った。
「も、もしかしてぇ〜〜〜、そ、それはぁ〜〜〜、フェニックスぅ〜〜〜???」
シスはその言葉でますます混乱する。
まずフェニックスがこんなに小さかったかと記憶を遡っていると、慶一が「はい! 、フェニックスです!」 と元気よく答えた。 するとシスが…
「え? フェニックス?? その毛玉が??? そんなに小さいのに? 私が知ってるフェニクスはもっと大っきいよ! それにそんなに弱そうじゃない!!」
「まぁ、シスが知ってるフェニクスじゃないからな…」
「はぁい? 何その言い方?? まるでフェニクスが二匹居るような言い方は?? それになんか今の慶一の態度少しムカつくわね」
ーーーいやいや、俺そんなにムカつく言い方したか…?
そう思いながら慶一はシスとビルカにフェニクスに連れ去られた時に起こった出来事を全て説明した。
説明が終わると誰にも聞こえない小さな声でビルカがこう呟いた。
「あの噂やっぱり本当だったのね…。」
「ーーー名前がダサいわ! モッフンって何よ?!!」
「いきなりどうした!? シス!?」
急に叫びだしたシスに慶一が瞬発的に突っ込んだ。
「いやなんかねぇ〜、モッフンって名前がダサいなぁ〜って…」
「喧嘩売ってるのか??」
「こらこら、二人ともぉ仲良くしましょう〜〜!!」
ビルカがそう言って二人のなりかけの口喧嘩を止めに入る。
「ビルカさんもダサいと思いますよねぇ〜? “モッフン” って名前!!」
「ま、まぁ…」
ビルカは慶一と目と目が合わないように視線を逸らす。
ーーシスの野郎…ビルカさんも仲間にしやがって…。
慶一が悔しそうにそう心で呟いているとシスが叫ぶようにこう言った。
「“二対一” で改名、決定ィィィィイイ!!!!!!!!!」
それに対抗するように慶一もシスの様に叫んだ。
「“二対二” でぇぇぇぇぇす!!!!!」
「いや、二対二って…あ、その毛玉入れる禁止ね、人じゃないから」
そうやって慶一はあっさりシスに論破された。
その後も長く慶一とシスの口論が続いたがビルカのお陰でモッフンの名前が変わることはなかった。




