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勇者がパーティから外されたそうです  作者: めーる
第2章 勇者が船を手に入れるそうです
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2章 第7話 [絆]

「あ〜〜〜〜〜〜!! 俺はこのアホみたいな顔した鳥と此処で野垂れ死ぬのかァァァ!!!!!」


そう叫びをあげながら、慶一は頭を掻き毟る。


さっきまで可愛がっていた鳥がなぜか憎く見える…。


「まぁ、騒いでいてもしょうがないか…。 まずは、食料を探さなきゃな」


慶一は昔親から教えてもらったサバイバル術を使う時が来たか…! と周りを見渡す。


しかし、周りには石ころ以外の何も無かった…。


「じゃあ、助けを待つか…」


しかしこの雲海の中まで届く岩の上に、誰が来るのか…。


そう気付いた慶一はすぐに立ち上がり、こう言った。


「サバイバル術使えねぇぇぇぇぇ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!!!!!!!!」



「はぁ〜、どうしようもねぇな」


慶一が足で石ころを蹴って転がしていていると、フェニックスの赤ちゃんもそれを真似をして石ころを小さな翼で一生懸命に転がしていた。


「ん? 俺の真似をしてるのか? お前呑気だなぁ〜〜〜…。 あ、そういや、名前まだだったな…」


そう言い、慶一は名前を考えているとフェニックスの赤ちゃんが “ぴゅ〜〜” と鳴いた。


「お前、今初めて鳴いたな。 面白い鳴き方だなぁ〜。 それより名前を考えなきゃ…いつまでもお前呼ばわりじゃ可愛そうだし…。 鳴き方が、“ぴゅ〜〜” か…じゃあ、 “ぴゅう太郎” !!! っていうのは、適当すぎるか」


そう言って苦笑いをした。



結局名前を考えることが出来ないまま、日は落ちてすっかりと暗くなっていた。


「うぅ、寒くなってきたなぁ〜」


慶一は身を震わせながら、フェニックスの赤ちゃんの方を見る。

なんか、全身が羽毛で覆われていて温かそうだ…。

そう思うと、身体が勝手に動きフェニックスの赤ちゃんを抱き締めていた。


フェニックスの赤ちゃんはそれを嫌がるように “ぴゅ〜! ぴゅ〜!” と鳴き出した。


嫌がっていることに気付いた慶一は直ぐに抱き締めている手を離し、硬い地面に横たわった。

すると、フェニックスの赤ちゃんは慶一の身体の上に飛び乗り寝始めた。


『ぴゅ〜、ぴゅ〜…』


可愛い寝息だな…


慶一はそう思いながら、フェニックスの赤ちゃんを優しく撫でた。


「モフモフしてる… ん? モフモフ? こいつの名前は “モッフン” だ!」


フェニックスの赤ちゃんにそんな名前を付けると慶一は目を閉じ、眠りに就いた…。



『ぴゅ〜! ぴゅ〜!』


モッフンは一頭身の身体で寝ている慶一の周りを走って回る。


その騒がしさに慶一は目を覚ます。


「ふぁ〜〜!! よく寝た…」


大きなあくびをして、両手を高く上げ伸びをするとモッフンを見てにこりと笑う。


「おはよう、モッフン…」


『ぴゅ〜〜』


もし俺がフェニックスに此処に連れてこられなかったら、モッフンはどうなっていたのだろう…。 孤独だったのだろうか…。


慶一はそう思うと可愛そうになりモッフンにこう伝えた。


「俺はモッフンの仲間だからな…」


仲間という表現が正しいのかは分からないが、慶一はずっとモッフンの側にいようと誓った。


その瞬間、モッフンの小さな身体が輝き出し一頭身のまま全長五メートルぐらいまで巨大化した。


「え、ぇええええええええ!? 急にどうしたの?」


そして、モッフンは慶一の服を嘴で摘むと真ん丸の身体で絶壁から飛び出した!


「え、モッフン空飛べるの?」


『ぴゅ〜〜〜』


霧で前が見づらく強風が吹き荒れる中、それでもモッフンの飛行能力は、初めてとは思えない程安定していた。


慶一はモッフンの嘴に摘まれながら下を見るが恐れなかった…。 モッフンは俺を落とさないと信頼しているからだ。


だがしかし、モッフンはまだ眠かったのかあくびをしてしまい嘴を開けて慶一を落としてしまった。


「うわァァァァァアアアアア!? チクショウ…まだ俺とモッフンの絆は浅かったか…」


そう言いながら慶一は急降下していくその時だ!


『ぴゅ〜〜〜〜〜!!!!!!!!!!』


「も、モッフン!!!」


モッフンが凄い勢いで飛んで来て背中で慶一を受け止めた。


「モッフン、俺を助けに来てくれたんだなァァァァァァ!!!!!」


震える手でモッフンの羽毛を掴み泣き喚く。


その様子にモッフンは励ますように “ぴゅ〜” と鳴いた。



しばらく飛行をしていると薄暗い雲海の中を抜け町が見えて来た。 そして、あのシスと登った山も…。


「モッフン! あそこに見える山の麓に降りることが出来るか?」


するとモッフンは “分かった” と言っているかのように 『ぴゅ〜!!』 と鳴くと、螺旋を描きながら急降下した。

そして山の麓に無事着地すると風船から空気が抜けるようにみるみる小さくなった。

慶一はモッフンを肩に乗っけると、シス達を捜し始めた。


すると、何処からかシス達の声が聞こえて来た。


「ビルカ〜〜〜〜!!! 居たよ! 慶一が!!!」


「あんらぁ〜〜〜、ほんとぉ〜〜〜〜!! 慶一ちゃんを見つけたノォ〜〜〜〜!!!」


慶一が広い大地の中でキョロキョロとシスが何処から叫んでいるのかを捜していると背後から誰かが抱きついて来た。


そう、抱きついて来たのはシスだ!


慶一は後ろを振り返りシスの顔を見ると一言こう言った。


「ただいま」


シスはその言葉に優しくこう答えた。


「うん、おかえり」


シスの目には涙で出来た一筋の跡があった。

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