2章 第4話 [山登り]
「シス、なんか冷えてきたな…」
頂上に近づくほど周りの空気が冷たくなっていくのに対し、慶一達は薄着だった…。
「慶一!! 寒くて死にそう!!! というか、あと頂上までどれくらいなの? もう五時間ぐらい登ってるんだけど…」
「う〜ん…もう少しじゃないか? でもこの山、急な斜面が無くてまだ良かったな!」
見た目に対してこの山は意外に平地がかっていて登りやすい。
そんな会話をしていると、白い雪の姿が見えてきた。
「あ! アレは!?」
そう言いシスは雪がある場所まで行くと、はしゃぎ始めた。
「きゃ〜〜!! ナニコレ〜〜!! 冷た〜い!!!」
慶一はシスのとても嬉しそうな笑顔を見て胸がほっこりとした。
「シス、そんなに雪に触ってると霜焼けするぞ!」
「霜焼け? 慶一、霜焼けって何?」
「知らないのか? じゃあ、教えてあげよう…」
慶一は白い息を吐きながらシスに誇らしげに霜焼けについて説明した。
「へ〜、霜焼けってこわいね。 慶一、なんか手が痒い…。」
そう言ってシスは慶一の前に手を出した。
なんと、その手は赤紫色になって腫れていた。
「いや、コレが霜焼けなんだよ! さっき説明した時に理解したみたいなこと言ってなかったか?!」
「霜焼け? 何それ?」
「おい、嘘だろ…?」
シスは慶一の説明を雪遊びに夢中になり、聞き流していたらしい…。
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「ふう〜、やっと頂上か…ここに来るまで結構かかったなシス…… って、アレは!?」
慶一達の目の前には太陽のような熱を発して七色に輝く高さ十メートル程の巨大な鳥が居た。
そう…フェニックスだ。
「見て、慶一! あそこだけ雪が溶けちゃて、無いよ!!」
シスがフェニックスの足元を指差した。
「ただ羽休めをしているだけで、周りの雪も溶かす熱を発しているのか…。 ん? あの感じ… もしかして寝てる?」
慶一は目を凝らしてフェニックスの顔を見ると、目が開いていなかった。
「よっしゃ〜! ラッキー!! 今の内だぜ!!!」
そう言って慶一は何にも考え無しに、一人でフェニックスに突っ込んで行った。
その時だ! フェニックスは慶一の足音に反応して目を覚ました。
そして慶一達の存在に気付くと、巨大な翼を広げバサバサと天高く飛んだ。
しばらく天高くから慶一達の様子を観察すると、嘴を立てながら慶一とシスに向かって物凄いスピードで一直線に突っ込んできた。
「慶一!! 逃げて!!!」
「いや、お前!! 身体から手を離せよ!! 俺はお前の盾じゃねぇし、こんな状態じゃあ、逃げたいけど逃げれねぇよ!!!」
いつの間にか、シスは慶一の身体を背後から物凄い力で掴み盾にしていた。
「いや、マジで離せよ!! 俺死んじゃうよ!?」
「いやだ!! 死なないで、慶一!!!!!」
そう言いながらも、シスはもがく慶一から全く手を離そうとしない。
「慶一、大丈夫! もしも、この状況で死ななかったら私の回復呪文でなんとかするから!!」
「いや、それって遠回しに死んだらどうしようも無いって言っているようなもんだよね!!? ん? そういえば、前に蘇生魔法使えるって言ってなかっーーー」
『ピキャーーーーーーーーーーーー!!!』
「「 ギャーーー」」
フェニックスの鳴き声と、慶一達の叫び声が山の頂上に響き渡る…。




