2章 第3話 [出発!!]
山の麓に着くと両手を天高く上げて手招きするビルカの姿が見えた。
「お〜〜い! 勇者さぁ〜〜ん!! こっちよぉ〜!!!」
その呼びかけに反応したシスがビルカの元へと走りだした。
「おい、そんなに急いで走るとーーー」
ベタンッ!!!
言わんこっちゃない…。
シスは慶一が注意したと同時に、ゴツゴツとした石が散乱している地面に盛大にすっ転んだ。
「ゔ、うわ〜〜ん!!! ヒグッ!? ゔぇ〜〜ん!!! ゔぅ”ッ、ゲホッ! ゴホッ!! ゔぇ!?」
膝を擦りむいたシスはフニャリと足を崩して座り、鼻水を垂らしながら泣きわめく。 途中嘔吐しそうにもなっている…。
こんなに汚い泣き方見るのは初めてだと思いながら慶一はシスにこう言う。
「お〜い、シス? そこまで泣くことあるか? そんなに痛いなら “回復魔法” 使えよ…」
シスはその言葉を聞いて「あ、そうだった! 普通に回復魔法使えば良いじゃん!」と膝にできた傷に両手をあてて、『ヒール』と、唱えた。
膝の傷口がみるみると綺麗に塞がっていく。
そして、シスはいつもの元気さを取り戻し、また走りだそうとしたが、その場で急停止すると恥ずかしそうに言った。
「慶一、私をおんぶしてくれない?」
「いや、普通に歩けよ!!!」
慶一が突っ込みを入れた瞬間シスはその場で駄々を捏ね始めた。
「いやよ! なんでおんぶもしてくれないのよ! 私にまた転べって言ってるの?!」
いや、普通に歩いたら転ばないぞ?
慶一はシスのことを無視してビルカの元へと向かう。
#
「じゃあ〜〜、説明するわよぉ〜〜〜!!!」
そう言ってビルカは慶一とシスに説明を始めた。
「ん〜とぉ〜〜〜、まずこのお山を頂上まで登りますぅ〜〜!!! そして頂上に居る “フェニックス” を倒しますぅ〜〜〜!!!!!」
結構簡単に言うが、内容は全く簡単なことじゃない……。
慶一はため息をつきながら山を見た。
頂上に近くなる程、雪が積もって白くなっている…。
「マジか…やっぱり遠くから見るより近くで見る方が大きく見えるな…というか、巨大過ぎるな…」
慶一は今日、何回ため息をついたのだろう…。
それに比べてシスは…。
「え、あの白いの “雪” じゃん!!! ねぇ、慶一!! 雪よ! 雪!!!」
「そーだなー」
すまんなシス…俺、雪国生まれなんだ…。
“まぁ、良いか! 出発するか!!!”
そう心中で決意すると、ビルカに手を振りシスと一緒に山に登り始めた。
「それじゃあ、行ってきます!! ビルカさん!!!!」
「それじゃあ〜〜〜、気をつけてねぇ〜〜〜!!!」
慶一とビルカはお互いにニッコリと笑みを浮かべあった。




