第22話 [街から出よう!!!」
ーーーユリシアと慶一は一時間掛けてようやくレヴィンチに戻って来た。
すると、ユリシアは「一回王宮に戻る」と言い、慶一とは逆方向の道を走って行った。
一人になった慶一は人混みの中、今までに無いほど一生懸命に先の見えない長い路地を走った。
そしてエドワンの家の目の前まで着き、勢いよくドアを開けた。
そこには、ベッドに横たわるシスを看病するエドワンが居た。
シスの普段も白い顔は血の気が差し、ほんの僅かだが息を切らしていた。
慶一は手に持っている赤薔薇をエドワンに差し出す。
「…… エ、エドワンさん、お願いします…」
魔法を使いすぎた後に全力疾走した慶一は、体力に限界がきて、赤薔薇をエドワンに差し出しながら、扉の一歩手前で倒れた…。
エドワンは慌ててそれを受け取り、そしてシスの胸の中心に置いて上から両手をかざすとーーー赤薔薇が、シスの身体に乗り移るように目映く輝き出した。 そして、一瞬、ベッドから浮き上がりーーーシスは静かに目を開いた。
「……ここは何処?」
シスはそう言いながら周りを見渡し、エドワンの存在に気付いた。
「あなたは、誰…? 慶一は…何処…? 」
何が起きているかわからないシスは呆然と辺りを見渡す。
そして、慶一が倒れていることに気付いた。
「け、慶一!?」
シスはそう言いながら起き上がろうとしたが、ずっと寝ていたせいで立ち上がれないほど力が抜けていた。
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三時間ぐらい経ち、慶一の体力は完全とはいえないが回復し、シスも大分走れるようになった。
しかし、ユリシアは一向に来る気配がない…。
慶一が心配して「ユリシアさん、大丈夫かなぁ〜」と言うと、シスが “ユリシア” という言葉に反応した。
「ユ、ユリシア……?」
そう言い、シスは顔を青ざめさせながら冷や汗を掻いていた。
そんな様子を見た慶一はシスのことをとても心配し、「大丈夫か?」と気遣って言うと、こう聞かれた。
「髪の色は?! 身長は?! 顔付きは?!」
ベッドから身を乗り出す様子を見ても分かるが、口調からシスはとても興奮して居た。
慶一が正直に全ての質問に答えると「やっぱり」とシスが俯いた。
次の瞬間、シスは勢いよく起き上がり慶一の手を取ってこう言った!
「この街を早く出よう!!」
慶一は意味もわからないまま、外に連れ出された。
エドワンが急いで家から出て来て「もう大丈夫なのかい?」と聞く。
慶一は急いでエドワンにお礼の挨拶をした。 それを見たシスは同じように挨拶をすると、慶一の手を引いて人混みの中を駆け出した。
丁度その時にユリシアが来たが、人が多かったのですれ違いになった。
ユリシアは外に立ち尽くしているエドワンに慶一達が飛び出して行ってしまったことを聞いてガッカリした。
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レヴィンチの街を出ると、慶一はシスに何故街を急いで出たのか理由を聞いた。
するとシスはゆっくりとした口調でこう答えた。
「人違いじゃなきゃ、ユリシアは私のお姉ちゃんなの」
その意味が慶一にはいまいち分からなかった…。
慶一は数秒の間を置くと同じことを聞き返した。
だが、返って来る言葉は同じだったので、質問の内容を変えてこう聞いた。
「じゃあ、なんで姉ちゃんから逃げたの? 普通そこは喜んで会うところじゃないの?」
するとシスは俯きこう言った…。
「……私…、竜の巫女なの…。」




