第17話 [英雄伝説は始まっている]
「ーーーどうだった?!」
エドワンは目を輝かせながら慶一に聞いた。
慶一はそんなエドワンにこう言う。
「どうだったって……」
慶一は苦笑いしている。
それを見てエドワンは頬を赤らめた。
「いやー、本人を前にもっと感動しても良いんだよ」
エドワンは頭を掻きむしりながらそう言った。
「いや……この物語有名ですからどんなリアクションすれば良いか……」
慶一がそう言うと、エドワンは頬をぽりぽりと掻きながら「やっぱり、この話知ってた……?」と言った。
「……………」
その場に微妙な空気が流れる。
「はぁ〜」と慶一はため息をつく。
そんな慶一の様子を見てエドワンは「どうした? 」と聞く。
「いや、エドワンさん達は凄い伝説を沢山残しているのに俺は何一つ無いな〜って思ったらため息が出たんです……このままで良いのかなぁ〜? 」
そう言ってもう一回ため息をつく慶一にエドワンはこう言った。
「伝説を残す? いや、伝説は作るんじゃないんだよ。 気付いたら勝手に出来ているんだよ」
その言葉に慶一は引き寄せられ、こう言った。
「伝説は勝手に出来ている?」
エドワンは頷き、慶一に問い掛けた。
「もう、君にも伝説が有るんじゃないかい?」と……。
その言葉に慶一は胸がゾクッとし、腕には鳥肌が立っている。
そして何秒か俯くと、エドワンの顔を見ながらこう言った。
「僕、そんなこと言われたの初めてで…… 今までは、貶され続けて……なんか……とても……」
そんなことをエドワンに話していると、周りの視界がぼやけて来て、ポロポロと大粒の涙が溢れ出て来た。
シスのことや、また元パーティなどのことで色々溜まっていたのだ。
勇者だということで周りからはプレッシャーを浴びせられ続けられていた慶一の全てが今、涙として溢れ出したのだ。
エドワンの優しい……励ましの言葉で……。
泣き過ぎて顔と眼が赤くなる。
吐きそうになる。
頭が痛くなる。
優しい言葉のはずなのに、なんでこんなに泣いてしまうんだろう……。
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ーーー「どうだい? もう良いかい?」
泣いてスッキリした慶一は「はい!」と何の迷いも無く答えた。
あんなに泣いたのは初めてだ。 と、慶一はまだ濡れている眼を擦った。
そして、世界樹に行く準備をする。
すると、
「おい、1人で行くのか?」
エドワンにそう聞かれた慶一は「え! エドワンさんも一緒に来てくれるんですか?」と聞いた。
だが、エドワンにシスの看病があるので「すまんな」とあっさりと断わられた。 そしてペンを持ち、紙に何か文字を書き始めた。
慶一はその光景を訳もわからず見ていた。
そうしているうちにエドワンはペンを置き、こう言った。
「私の知り合いに腕の良い王宮魔道士が居るんじゃ。 今其奴に手紙を書いたから渡すんだ。 きっと良い戦力になると思う。」
エドワンはそう言うと、慶一に手紙を渡した。




