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勇者がパーティから外されたそうです  作者: めーる
第1章 勇者がパーティから外されたそうです
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第16話 [赤い薔薇]

「おい、そんな過去があったのかよ……」と言い、カミルはコーダルに頭を下げた。


コーダルは「良いよ、良いよ」と頭をあげる様に頼む。


エドワンはポカーンとしている。 話がキツ過ぎたのだろう。


そしてサーランは何故か震えている。

その様子を見てコーダルは確信し、こう言った。


「あの時の少女はやっぱりお前だろう!!」


コーダルは少しキレながら、自分の懐から何かを取り出し床に叩きつけた。


それは、赤い薔薇の髪留めだった。


そんな様子を見て、カミルとエドワンは口を開けて唖然としている。


しかし、サーランは違った。

逆になぜか嬉しそうだった……。


その様子を見たコーダルは困惑した。


「何が、おかしいんだよ……今笑う状況が何処にあった!!!!! ーーー答えろ!!!!!」


コーダルはガチ切れした。


こんな状況なのにサーランは顔に笑みを浮かべている。

そしてゆっくりと口を開きこう言った。


「覚えててくれたんだ……」


サーラン口調はいつもとは違った。

まるで、コーダルと初めて会った時のような喋り方だった。


次の瞬間! コーダルは頭を抱え蹲った。


さっきのサーランの口調で思い出したのだ。

サーランが自分の初恋の相手だったということを……。


しかし、そんなことは何かの勘違いだろうと自分に暗示してコーダルは喋る。


「サーラン……俺はお前と再会する前、ただエドワンと放浪していたわけじゃない……ちゃんと目的を持って旅をしていたんだ……あの日、世界樹を燃やすと共に俺の家族を殺した組織の謎を解明しながらな!!!」


コーダルはサーランを獲物を狩ろうとする狼のように睨みつけ、まだ喋る。


「そして分かったんだ! お前があの組織の……いや、あの国の姫様だということを!!!」


サーランは今の一言にビックリし、一瞬目を丸くしたが、直ぐにいつもの冷静さを取り戻しこう言った。


「確かにそうね……でも今はもう違うわ……私分かったの! カミルと出会って……そして 、貴方たちと旅をして! 本当の私が分かったの!! 」


言葉足らずだったがコーダルには分かった。

サーランが何を言いたかったのかを……。

あの眼差しと興奮している姿を見れば本物だと分かる。


コーダルはサーランの言葉を信じ、和解した。


「さっきはごめんな、別にサーランは悪くないのに……」とコーダルはサーランに謝った。


サーランは「私こそ……」と頭を下げた。


そして何かを思い出したようにコーダルがサーランに質問をした。


「そういえば、世界樹の入り口を開く詠唱を何故知ってたんだ?」


その質問にはこう答えた。


「貴方のお母様に教えて貰ったの」と……。


コーダルは今の一言でその場に泣き崩れながらもサーランに聞いた。


「じゃあ、俺の母さんは生きててくれたんだな……」


サーランは“コクン”と頷いた。


カミルとエドワンは急にのことで今の状況を理解しきれていないが、喜びながらこう言った。


「一件落着かな? 」と……。



#


「ーーーなぁ、俺たち此処まで来て帰るのか?」


エドワンがそう言った。

するとカミルが何か言いだした。

皆んなは話し出すカミルを見る。


「おい皆んな、良い事思いついた! 此処に俺らが来た証になんか置いていこうぜ! 」


何か置いていくと言っても置いて行って良いものなんて何も無い……。

皆んなが考える中コーダルが何かを思い付いたみたいだ。


「赤い薔薇を植えるなんてどうかなぁ? あ、ただ植えるわけじゃ無いよ! これから先俺たちみたいに此処まで来る人が多分居るだろう。 その時に癒しを与えたいんだ!」


その時、エドワンが「その癒しっていうのは薔薇を見て精神を癒すのか、それとも身体の傷を癒すのどっち?」とコーダルに質問した。


コーダルはこう答えた。 「どっちの意味でも」


「その前に赤い薔薇なんて無くないか?」


カミルのその一言に周りが静まりかえる。


そんな中、サーランが何かを拾いあげて呟いた。


「有るじゃない……赤い薔薇なら! 」


サーランはさっきコーダルが床に叩きつけた赤い薔薇の髪留めを水を掬うように両手の上に置いて、何かをやり始めた。


エドワンが「何をして居るんだ?」と聞くとサーランはこう答えた。


「充電みたいなことかしら」


その一言に皆んなが困惑する。


「充電? どゆこと???」


そう言いながら頭を抱えるエドワンにサーランは「まぁ、良いから見てて」と回復呪文を赤い薔薇の髪留めに使う。


するとサーランの手の中で神々しく赤い薔薇が光り出した。


「今この赤い薔薇が光り出した訳はね、回復呪文を込めているからよ。 どんな傷も病気も治る、回復呪文を……。 ほら、皆んなも見てないで手伝って。 皆んな回復呪文を使えるでしょ……」 サーランがそう言うと皆んなで赤い薔薇を囲み回復呪文を唱えた。


光はさっきよりも増し、目が開けられないほど輝き出した。


ーーーこの時間がしばらく続いた……。


そして今、世界樹の宝は世界樹の杖ではなくどんな傷も病も治す赤い薔薇となった……。


#


世界樹から出て来る四人の姿が見える。


その姿は世界樹の中に入る前より、何倍も何倍も絆が深まっているように見える。


そんな中カミルが何かを叫び出した。


「あーー!!!!! 世界樹が遠くからだと見ることが出来ない謎を調べるのを忘れてた!!! 」


カミルがそう言うとサーランはニッコリと笑いこう言った。


「まだまだ先の話になりそうだけど、きっとそのうち誰かが謎を解いてくれるわ。」


その言葉にカミルが「無責任だなぁ〜」と言うと皆んなが笑い出した。


楽しそうな笑い声が茜色の空に響き渡る……。


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