第9話 [2つ目]
慶一は走りさっき倒したボスの隣に落ちている紙切れを手に取った。
そこには古代文字のようなものが書かれていた。
「おいシス、この文字みたいなの読めるか?」
そう言うとシスは急いで駆け寄って来た。
「あ〜、それ! スキルのやつじゃん!」
慶一はそう聞くと、次はどんな魔法が覚えられるかワクワクした。
「なになに! なんて書かれているの!!」
赤ちゃんみたいな笑顔でシスに聞く。
するとシスは、
「え〜と、なになに? さ、い、き、ん、ま、ほ、う? なんじゃそりゃ?」
紙切れには“細菌魔法 ブリード”と記されていた。
「細菌魔法なんて初めて聞いたよ私…… 慶一も?」
「うん、俺も初めて聞いた。」
二人とも細菌魔法のことは、何も知らなかった。
「慶一、じゃあ食べてみて!」
そう言われると、前のことを思い出し恐くなった。
でも今は、それ以上に魔法のことが気になるので食べようと決意した。
「じゃあ、いくよ……」
そう言って慶一は紙切れを口まで運び、『ゴックン?!』と丸呑みした。
すると、前と同じく身体に異常反応が起きる。
ーーーしばらくすると異常反応は治まり、スキルウィンドウには“細菌魔法 ブリード”と書かれていた。
それを見た慶一は文字は読めないが、ニヤニヤが止まらない。なんて言ったって、二つも魔法が書かれているからだ。
他の人からしたら“二つだけ”だが、今まで魔法が使えなかった慶一からすると、“二つも”なのだ!
シスは慶一にどんな魔法か見たい! とお願いしたが、さっきボスを倒した時に体力をほとんど使ってしまったと言って「ごめん」と謝り断った。
シスは「え〜」と言いながらも許してくれた。
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ダンジョンから出るとそこにはヒゲマル達が居た。
「あぁ、勇者様。 ご苦労様です。」
そう言って「ホッ、ホッ、ホッ〜」とヒゲマルは笑った。
そして村人達が、
「よし、ダンジョンが元の形に戻るぞ!」と叫んだ。
後ろを振り返ると、入り口にはもう蜃気楼のようなものが無くなっていた。
慶一がボーッとしていると、ヒゲマルが話し始めた。
「本当にありがとうございます。ここは村の食糧庫で、突然ある者が来てダンジョンに変えられてしまい皆んなが困っている時に勇者様が来てくれて今のように攻略してくれたのです。」
そう話し終えたらヒゲマルは手に持っていた、この村の宝だと言う“刀”を慶一に差し出した。
「これは、我々を餓死から救ってくれた御礼です。どうか受け取って下さい。」
そうして、その刀は慶一の手に渡った。
「イヤイヤ、要らないです! そんな、この村の宝なんて! 自分には勿体無いです。」
そう言って刀をヒゲマルに返した。
慶一は話しを変えようと喋り出した。
「そういえば、この村の名前ってなんなのですか? 名前が書かれている看板がどこにも無かったんで分からなくて……すみません。」
「ホッ、ホッ、ホッ、そうですか。 この村の名前は
“ハレル村”です。」
「ほうほう、“ハレル村”ですか。良い名前ですね!」
「じゃあ、もうこの村を出発したいと思います。」
「おやおや、休まれていかないのですか?」と言いヒゲマルは慶一が村を出て行くのを引き止める。
慶一は色々と言い訳してヒゲマルを説得する。
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なんとかヒゲマルを説得して村から出ることが出来た慶一はホッとため息をついた。
そんな慶一にシスは質問した。
「なんで早く村から出たがってたの?」
慶一は頭を掻きながらこう答えた。
「あそこに滞在してても意味がないだろう。 少しでも早くレヴィンチに着けるようにするためだ。」
そう言うとシスは納得した表情になった。
そして、二人はレヴィンチを目指して走りだした。
「勇者がパーティーから外されたそうです」を読んで下さりありがとうございます。
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