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踏み台令嬢はへこたれない  作者: 三屋城 衣智子
挿話

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夏季休暇と避暑地 2

 コンコン


「お嬢様、お茶をお持ちいたしました」


 アンナの言葉で我に返るのと、クリスが頬から手をひいたのとは同時だった。

 声のした方を見ると、半分開いていた戸をさらに開け、ワゴンをカラカラと押して彼女がお茶のセットを持ってくるのが見える。


「あ、ありがとう助かるわ」


 上ずらなかったか心配になりながら彼女に声をかけると、横から「ちっ、邪魔が入ったか」とボソリと聞こえた気がして、思わずそちらへと振り向いた。

 クリスはまずいと思ったのか、そっぽを向いている。

 と、失礼ながらと前置きをつけた上で、珍しくアンナから声をかけられた。


「旦那様からですが、『クソ餓鬼(ガキ)ぃ、私のメルティたんに不埒(ふらち)な真似ぇしたら、わかってるだろぅなぁ??』と、上から見下げる様にして言うよう言付(ことづ)かりましたのでお伝えします」


 言う瞬間は正に怒気深くといった(てい)だったアンナは、伝え終わると普段の調子に戻る。


 伝言とはいえ、何だかすごく恐ろしかったわ……。


 そう思いながらそろりと彼の方を見ると、少し青褪(あおざ)めつつも「この距離で何する気だあのたぬきジジイ」とぶつくさ言っていた。


 まだ、喧嘩は続いてますのね。


 中々仲良くなれそうにはない雰囲気に、心の中で、少しばかりため息をついた。

 婚約は両家から了承を取り付けたのだけれど、兎に角お父様はクリスに思うところがあるようで。


 みんな仲良く、というのが無理なのは分かりますけれど、会ってすぐ喧嘩になるのはなんとかならないかしらね……。


 そう考えながらも、次何の嫌がらせをしようかと手ぐすね引いているお父様が脳裏に浮かび、もしかしたら楽しんでいるのかもしれない、ともうっすら思うのだった。

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