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【書籍発売中】どうせ結末は変わらないのだと開き直ってみましたら  作者: 風見ゆうみ


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24  どうしたら良いのでしょう!

 驚きのあまり動きを止めていると、ニーニャが慌てて謝ります。


「申し訳ございません!」

「あ、あの、謝らないでください。それよりも、ど、どういうことですか?」

「あの、何でもありません! 気にしないでください!」


 いつも、小さな声で話すニーニャが大きな声を出したので余計に気になります。


「ニーニャはエイン様と話をしたことがあるのですか?」

「申し訳ございません!」


 尋ねると、ニーニャは今にも泣き出しそうな顔になってまた謝りました。詳しく話を聞いてみますと、エイン様が私との仲を取り持ってほしくて、ニーニャに近づいていたそうなのです。

 最初は嫌がっていたニーニャでしたが、エイン様のことをどうしようもないと思いながらも可愛いと思ってしまったようです。エイン様のどこが良いの? と聞きたいところですが、過去の私も彼が好きでしたので人のことは言えません。

 でも、エイン様は私を裏切った人であり、直接手をかけたわけではありませんが、私が死んでも良い人間だと判断した人です。ニーニャが最近、婚約を解消したのは知っていましたが、まさか、エイン様を好きになったからだったとは……!

 ミルーナ様に私は悪い人間だと思い込まされた可能性が高いですが、殺人を止めないのはおかしいです。ここは駄目な男に恋する友人を止めなければいけないですよね。


「あの、ニーニャ。大きなお世話かと思いますが、エイン様はやめておいたほうが良いかと思います」

「わかっています。でも……、どうしても気になってしまって」


 ニーニャは俯いて答えました。

 困ったものです。恋は盲目という言葉がありますが、まさにそんな感じです。

 私の感情が顔に出てしまっていたのか、ニーニャがまた謝ってきます。


「申し訳ございません」

「私に謝る必要はありません。ですが、本当にお薦めできないんです」

「わかっています」


 ニーニャは顔を上げて頷きましたが、変な意味に取られていても困りますので念押ししておきます。


「言っておきますが、私はエイン様に未練なんてありません。ですから、意地悪で言っているのではありませんよ!」

「アンナさんにはアデルバート様がいますし、エイン様に興味がないことはわかっています。そして、アンナさんがそんな意地悪をしない人だということもわかっています」

「……ありがとうございます」


 ニーニャの様子を見ていると、彼女も悩んだけれど、好きな気持ちを止められないといった感じでした。

 どうしたら良いか考えていると、ニーニャが尋ねてきます。


「怒っていますか?」

「どうしてですか?」

「アンナさんが嫌がっている人と、アンナさんの話をしていたんです」

「ニーニャは相談されただけでしょう?」


「はい。でも、友人なら断るべきでしたし、何度も相談される前に、アンナさんに話をしておくべきでした。でも、言ったら止められるかもしれないと思って……」


 また、頭を下げるニーニャに尋ねます。


「もしかして、わざと私に話をしていなかったのですか?」

「はい。また、アンナ様がエイン様を好きになったら困ると思って言えませんでした」


 ニーニャは白い頬をピンク色に染めて頷いたのでした。


****** 


 ニーニャから、他の人には内緒にしてほしいと言われましたので、アデルバート様にも相談できずに困っていたある日のこと。アデルバート様から相談があると言われ、休みの日にレイガス伯爵家まで来てもらいました。

 お茶を淹れたメイドが応接室を出ていくと、アデルバート様は早速、本題に入ります。


「実はフロットル卿から相談されたんだけど」

「……エイン様がアデルバート様に相談?」


 どうして、エイン様がアデルバート様に相談するのでしょう。

 不思議に感じた時、アデルバート様は驚きの言葉を発しました。


「フロットル卿はニーニャのことを好きになったんだってさ」

「ええっ⁉」


 ど、どうしたら良いのでしょう。二人は両思いです! ニーニャの気持ちを考えたら、二人を応援すべきなのかもしれません。……でも、エイン様はおすすめできませんし……。 

 そうです! ニーニャが相手ならエイン様は悪い道に進まないかもしれません。そして、エイン様が悪の道に進みそうなら、私が根性を叩き直すことにしましょう。

 この時は、アデルバート様にニーニャの気持ちを伝えられませんでしたが、後日、ニーニャから許可を得て、アデルバート様に話をしました。

 そして、エイン様を呼び出し、私とアデルバート様は彼に忠告しました。


「想いを伝えるのは勝手だが、浮気だとか馬鹿なことをしたり、ミルーナ嬢に唆されたら社会的に殺すからな」

「私は、エイン様がミルーナ様にたぶらかされたり、ニーニャを泣かせたら物理的に殴りますし、精神的な苦痛を与えます」


 アデルバート様と私に脅されたエイン様は、怯えた表情になりましたが、すぐに真剣な表情に変わり「大事にします!」と大きな声で宣言しました。

 この人をお薦めするのもどうかと思いますが、ニーニャが幸せならそれで良いでしょう。それに、これでエイン様とミルーナ様の関係も切れるはずです。

 ニーニャのおかげで、私はエイン様とミルーナ様に裏切られて殺されるという未来は阻止できそうですね。

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