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ここは日出ずる国  作者: 銀河乞食分隊
平原騒乱
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ハンマーと鎌の終わる時

あっさりですが、終戦かな。

 奴ら小型だと言ってもそれはないだろうと思った。第2弾の突入部隊が突っ込んできたが、そのうち四式特が何機かクレムリン宮殿内部へ直接突入しやがった。

 宮殿南部の広場へ四式特が4機舞い降りた、じゃないな。強引すぎる。これでこちらが楽になればいいが。

 ステンMK-Ⅳで弾をばらまきながら、宮殿内部へと押し入る。建物内での交戦を主目的として部隊の中で主要装備とされたのがステンMK-Ⅳだ。




 その頃、英仏軍では大騒ぎだった。

 まさか赤の広場へのグライダー特攻とは。郊外の飛行場への強襲だと連絡も有ったし、第一赤の広場にグライダーが降りるわけ無いと思っていた。

 空挺降下は英仏軍でも考えていたが、今のパラシュート技術では狭い場所に降下はできにくい。コントロールがよほどの上級者ではないとできない。それに市街地降下だ。建物や電柱・電線が降下する兵士に対して罠となって牙をむくだろう。だから、構想だけにとどまった。


 そこで、上級司令部はロ日軍がクレムリンを制圧する前に自軍を送り込むべく


『クレムリンに一刻も早く到達せよ』

『戦車を前面に押し立て、クレムリンに向けて進撃せよ』


 などと、英仏軍の無線はクレムリンで一色になってしまった。


「おい、クレムリンに行くぞ」


「クレムリンてどこだ?」


「なんか有ったのか?」


 それでも一番近い部隊はクレムリンから1キロ以内に総数2個大隊程度いた。建物の取り合いをしながらもここまで来たと言う前進部隊だ。


「総員、クレムリンまで走れ」


「「えー?」」


「クレムリン一番手がロシアと日本に取られた。クレムリンが落ちる前になんとしてもクレムリンにたどり着けというお達しだ」


「死ねと?かなり火力がまとまっていますよ」


『今行くぞ』


 無線から声があった。


「誰だ?」 


『戦車様だよ。装甲をもって、歩兵の壁とならんとす』


「有り難い。頼む」


『任せとけ』


「赤の広場にはロシアと日本がいる。北側から入るぞ」


『了解だ』


 やって来た戦車は3両のクルセイダーだった。いまいち不安な歩兵だったがそれでも壁が有るとないとでは違う。弱装甲でも、歩兵銃や機関銃では撃ち抜けない。撃ってくる建物には容赦なく砲撃が浴びせられた。

 クレムリン西側に回り、スレドニャヤ・アルセナリナヤ・バシュニャから進入する。出入り口にはバリケードがあったが、戦車砲の前には紙切れだった。


 イギリス陸軍部隊は途中の抵抗を排除しながら、盛大な銃声が聞こえる中枢が有ると思われる建物へと進む。さすがに戦車は行ってこられないので、部屋一つ、通路一本を押さえながら進むしかない。






 パイパー戦車隊は快調だった。例え半数になっていても。3台くらい真横至近から砲撃を受けてしまい撃破されたが、油断しなければ農小屋などに隠蔽できる76ミリ野砲ではⅥ号戦車の装甲を抜くことはできない。減ったのは機械的なトラブルだった。段列の懸命な修理も進撃する集団は護衛を付け見捨てている。

 戦車隊を始めとする部隊は今現在モスクワ市内に入っている。通信手が盛んにクレムリンという単語が飛び交っていると報告をしてくる。


(これはクレムリンで何か有ったのか?それとも誰か突入したのか?)


 考えるまでもないだろう。我々も行くのだ。クレムリンへ。


「総員聞け。クレムリンまでノンストップで行くぞ。後数キロだ。燃料に不安はあるが保つところまで行く。その後はクレムリンに突入だ」


『『『了解』』』


 だが戦車隊はボロジンスキー橋を渡ってしばらくして道がわからなくなっていた。


「なんでこんなにゴチャゴチャと」


「橋を渡って真っ直ぐ。大通りに出たら右。で少し行ったら左、で良いはずですよね」


 キューポラやハッチから体を出すのは怖いので、ペリスコープ越しの視界で進んでいた。そのためよく分からない。


「ああ、その通りだ」


「あ!あそこに大聖堂が見えます」


 見えたのは救世主ハリストス大聖堂だった。


「おお、凄いな」


「あそこを左でクレムリンですよ」


「よし行くか」


 お上りさんであった。







「左の部屋!」


「制圧しました」


「次!」


「鍵を開けて白旗を出せ」


 ロシア語で警告してから、ドアを破壊してステンを撃ちまくりながら突入する。何人か倒れている。


「手を挙げて出てこい」


 物陰に隠れてる奴らに向けて言う。撃ちまくった後なので遅いかも知れんが。

 二人出てきた。被弾したのだろう。血が出ている。


「他には?」


 首を橫に振るが、怪しい。チラチラと見ている場所がある。ひときわデカい執務机の方だった。

 あそこか。

 ハンドサインで、机と三人行けと送る。三人は二人がステン。一人は拳銃に持ち替えた。南部じゃないのか。

 ステンを持った一人は腹ばいになり机の下の隙間から見る。ステンの良い所は低い姿勢で伏射ができることだ。一人とハンドサインが来た。

 行けとサインを出す。

 拳銃を持った奴が机に忍び寄り、ステンを持った一人は少し離れて反対側の壁から机に近づく。腹ばいになった奴は膝打ち姿勢になり机正面で構える。

 両側からじりじりと近づく。

 まだ出てこない。脅かすか。


「ステンで机の後ろ辺り、適当に撃て」


「了解」


 五・六発撃ったところで、大声を上げながら机から飛び出てきた男がいる。拳銃を持っているが、こちらが構えて取り囲んでいるのを見て、何か叫んだ後こちらが動かないので拳銃を置いた。

 誰だろうな。偉そうな髭しやがって。まあ連行しよう。

 後であの叫びはグルジア語だと聞いた。






 パイパー戦車隊を中心とした混成軍がクレムリンに着いた頃、銃声は止んでいた。市内では銃声が激しく聞こえる。しかし、クレムリンは静かになっている。

 混成軍も歩兵を戦車の援護の下突入させたが、歩兵が帰ってきた。


「内部は制圧されていました。スターリンも捕らえられています」


「遅かったか」






 ロ日軍は南からモスクワ目掛けて進んでいた。後20キロくらいだ。既に戦車トランスポーターから降りて、戦車で進撃している。

 そこに入ったのは進撃停止の命令だった。

 スターリンを捕らえ、共産党幹部と軍幹部も生き残ったものは捕らえたと。

 停戦を承諾させたので、反撃以外はしてはいけないとも。


「俺に砲を撃たせろ~~ぉぉ-」


 太田大尉のむなしい叫びがロシアの平原に響いた。


モスクワの道がゴチャゴチャしているのは、戦乱が多い時に構築された都市にありがちな、敵を一直線に中枢部まで入れないという思想ですね。日本でも城下町はだいたいそうなっていますよね。


後日談みたいなものを数話で終了です。

ド素人作者の限界で風呂敷を広げて肝心のアイテムをさして使わず、さらに煮詰まらずに終わるという。

広げるとなんでこな広げたかなとも思います。

でも懲りずにまた書くんですけどね。


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― 新着の感想 ―
[良い点] やっと気がつけたパトレイバーだ!!
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