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ここは日出ずる国  作者: 銀河乞食分隊
平原騒乱
44/60

レニングラード攻略 ナポレオンを超えると言う事

あっさりです。

 レニングラード攻略に先立ち、航空撃滅戦を展開した連合軍だが圧勝であった。機数は4倍、性能も互角か上回る機体が多く、イギリスの4発機に積んだ機載レーダーで管制まで行われた。

 対するソビエトは、機体はあっても満足な機体は少なく、レーダーも一部しか配備されていない。パイロットもベテランは少なく、多くが飛ぶのが精一杯と言う有様だった。

 これなら誰が指揮を執っても勝てる。そんな戦いだった。


 そして次に行われたのは、地上部隊突入前の露払いだ。小型機による対地攻撃が急降下爆撃機を中心として行われた。

 まとまった集団や目に付く陣地をモスキートが叩いていく。

 そして急降下爆撃機によるピンポイント爆撃が続く。アルバコア全機はあまりに速度が遅く危険なため、後で残りを排除するためと言う理由で残された。

 かなりの効果が有り、目に付く高射砲陣地で残っている高射砲は無いと思われたくらいだ。高射機関砲も大型の物はあらかた排除されたと見えた。

 そして落ち穂拾いが始まった。アルバコアがゆるゆると目標に近づき爆撃をする。少数だが九九式襲撃機も参加している。九九式襲撃機はその装甲が注目された。だが爆弾搭載量が少ないため参考にされただけだった。アルバコアと九九式襲撃機は離着陸距離が少なく固定脚という事も有り、規模の小さな前線飛行場で使い回されるようになった。


 目に付く目標が無くなって初めて地上部隊の突入が始まった。まだ多くの対戦車砲や機関銃陣地が残っているだろうが、もう上空からでは上手く判別できない。後はバタの仕事だ。



「中隊本部、ソドム。B-24地点の制圧完了。指示願う」


『ソドム、中隊本部。B-25の制圧にあたれ。制圧後、該当地区で待機せよ。以上』


「中隊本部、ゴモラ。B-34地点。敵対戦車砲陣地有り。周囲に機関銃陣地も有り抵抗激しい。爆撃を要請する」


『ゴモラ、中隊本部。少し待て』

『ゴモラ、中隊本部。10分後に爆撃機が向かう。三分前、目標付近に発煙筒。以上』


「中隊本部、ゴモラ。了解」



「ルーカス少尉、本部はなんと」


「10分後に来るぞ。3分前に発煙筒だ。サウザント曹長」


「了解です」

「ヘンリー軍曹。6分後にグレネードランチャーであの機銃陣地に発煙弾」


「ヘンリー、了解しました」


「モロー2曹、グレネードランチャーに発煙弾セット。急げ。5分後にあの機銃陣地に発煙弾発射」


「モロー了解。爆撃機来るんですね」


「来るそうだ、どいつが来るのか分からんが」


「海軍のアレはやられ率高いですから、他の奴が来るといいですね」


 そう言いつつ、手元では発煙弾のセットをしているモロー2曹。




「喜べ、ヘンシェル。目標の指示が有ったぞ」


「ルーデル中尉、指示地点は遠いですよ。他の奴の方が近いし、だいいち担当場所が違います」


「何を言うか。一番早く着くのは我々だ」


 動力降下までして速度を稼ぐルーデルだった。


『C方面からB-34地点に近づく機体へ。所属と官姓名を名乗れ。管轄が違う。待機地点に至急戻れ』


 レーダーで空域管制をしている管制官から無線が入る。


「不味いですよ中尉」


「大丈夫だ。無線は不調になった」 ゴソゴソ


『繰り返すzzCzzzz・・・』


(自分の接続だけいじっても後席はバッチリ苦情が聞こえるんだよ!チクショウ、オラ知らね)



「見えた。ルーデル中尉、9時下方」


「む!行くぞ。前向け前」


「おい!規定の降下角以上で突っ込むなと言われてるだろ!忘れるなよ」


「・・・」


「おい!」


「前向いたな。行くぞ」


 返事も待たずに機体をバンクさせ、目標に突入する突撃バカ。建物の屋上に隠蔽されていた対空機関砲が火を噴く。


「コラ80度超えたぞ」


「垂直が一番当たる」


 ガン・ガン 敵弾が当たったようだ。


「バカヤローーーーー」


「フォー」


 投下後、水平に持っていこうとする機体。Gが効く。苦しい。



「少尉、なんか航空管制官から指示を無視した機体が行っていると。指示通りの機体も来るそうです」


「なんだ?命令無視の奴か」


「多分。暇なんでしょう」


「アー暇なのか。いいことだな」

「まあ発煙弾も発射するし。退避だ。急ぐぞ」



「本田飛曹長、4時に機影、同高度。味方機の模様」


「斉藤一飛、あいつだろ。命令違反の奴は」


「そうとしか思えません」


「あいつを先に行かせる。対空砲火を引きつけるか発射地点が分かればよいが」


「しっかり見ます」


 九九艦爆は後から突っ込むことにした。対空機関砲の位置は解った。あそこに落とすか。



 地上部隊は苦労していた。どこに敵兵が潜んでいるか分からない。建物一つ一つを丁寧に制圧しないと後ろから弾が飛んでくる。

 この家も敵兵はいなかった。確認済みの印を付けて別の家に向かう。家の人間が何か文句を言っているがロシア語は分からない。要点を書いた紙を渡し去るしか無い。


「ソビエト兵を入れた場合、この家ごと爆破します」

「ソビエト兵を入れなければ、安全です」

「この紙を持ってくれば、食糧を渡します」

「この紙を持ってくれば、医者に掛かれます」


 いろいろ書かれていた。


 結局レニングラード攻略が終わったのは1ヶ月半後の9月上旬だった。最後の砦で有る市庁舎と共産党支部を制圧して終わった。

 だが大変なのは、攻略後だった。市民の大半が飢えていた。餓死寸前だと言っても良かった。

 持ってきていたレーションを分け与え、それでも足りないので掃海が終わったレニングラードの港に船を着けて配給を始めた。



 レニングラード攻略戦の損害は、航空機150機、戦車45両、軽戦車・装甲車両など180両。人員。戦死3800名。負傷9200名。

 レニングラードでのソビエト軍戦死者3万人。病死・餓死1万人。負傷者2万8000人。捕虜16万人。

 レニングラード市民の損害。戦闘に巻き込まれた死者2800人、負傷者6400人。病死・餓死1万8900人。


 結局、戦局を決めたのは餓えだった。市民は飢え死に寸前だったが、ソビエト軍も食糧が尽きていた。

 市庁舎と共産党支部も抵抗は少なく、平兵士が迎え入れてくれたくらいだ。

 連合軍の損害が少ないのは、徹底した航空攻撃に有ったと言える。対地攻撃機の出撃数は延べ3万機。1機当たり60回にも及んだ。その中でも、勲章・感状と営巣入りが最も多かったのは共にルーデル中尉だった。この戦いの後大尉に昇進している。


 次はモスクワだ。

 シベリアではロ日連合軍が攻勢を強めており、クラスノヤルスクを出撃した後、ノヴォシビルスクと要衝オムスクを落としチュメニまで迫っていた。こちらは抵抗が少なく、主要補給路がシベリア鉄道一本という兵站の問題を抱えながらもかなりの速度で攻略を進めていた。とりあえずの悲願、エカテリンブルグまで後少しだ。


次回更新未定


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