表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ここは日出ずる国  作者: 銀河乞食分隊
南海鳴動
11/60

南シナ海 サイゴン沖夜戦

作者じゃあ血湧き肉躍らないなあ

 サイゴン沖夜戦は、雷撃により始まった。

 ここで秘密兵器、重雷装艦大井・北上が距離一万五千で水上機からの位置情報を基に諸元を決定。夜間長距離雷撃を行った。両舷四十射線の魚雷を百八十度変針して短時間に発射する。斜針追尾装置により発射後、敵艦隊に向けて針路を変更した魚雷である。一万五千でやる必要があったのかは後で議論の対象になった。ただこんな危険物を処分したかっただけなのかも知れない。

 戦艦と重巡は一万五千で同航戦に入る針路を取った。

 英仏艦隊も受ける気でいる。一万五千で変な行動を取った中型艦二隻がレーダーで確認されたが隊列を間違えたのだろうという認識しか無かった。一万五千は魚雷の射程では無かった。

 先手はレーダー射撃で先を行くイギリスからだった。レパルス、レナウンの三十八センチ砲が発砲された。

 両艦隊の頭上には水上機から投下された照明弾が輝く。この明かりでようやく敵観測機を捕捉した零式観測機が敵観測機四機の内二機の排除に成功。英仏艦隊の測的精度が落ちる。


「じか~ん」


 大井と北上の艦橋に計測員の声が響く。大井と北上の砲戦力は駆逐艦以下しか無い。発射後退避を命じられている。ここからでは見えなかった。

 命中は三本と聞いた。夜間、間接照準で遠距離発射という条件でも八十本中三本は寂しいと思う両艦の乗り組み員だった。

 だがこの三本は敵艦隊に混乱をもたらした。敵駆逐艦が隊列を乱し爆雷を投げまくっている。そこへ水雷戦隊が突撃を開始した。夜明けまであと二時間。それまでに勝負を決める必要があった。

 三本の内、一本を受けた駆逐艦エスコトートは沈没。同じく一本命中のダンカンも沈没。残りの一本はフランス重巡デュケーヌの船体中央部に命中。隔壁が破られ缶室と機械室に一気に大量浸水。縦隔壁のせいで一気に傾斜が増大。一本の魚雷で戦闘不能になってしまった。

 そこへ水雷戦隊の突撃と支援の重巡による砲撃である。倍近い駆逐艦に英仏艦隊の隊列は一気に崩れた。後は乱戦で有る。

 戦艦はレパルスが伊勢と、レナウンが金剛と、ダンケルクが霧島と。一対一になっていた。プリンス・オブ・ウェールズは距離が離れたことと浸水により、砲撃はするが不正確で賑やかしにしかならなかった。逆に自位置の暴露に繋がった。

 三対三の戦いは、徐々に距離が詰まり一万まで近づいた。こうなると先に致命的な命中弾を出した者勝ちである。

 レパルスは伊勢第一砲塔を爆砕、第二砲塔を使用不能にしたほか多大な被害を伊勢に与えたが、十対六という手数の差と防御力不足はいかんともしがたく傾斜沈黙している。

 レナウンと金剛は親戚な上、似たもの同士であった。どちらも一発喰らえば危ないのである。この勝負は双方大破という引き分けだった。

 ダンケルクと霧島であるが、ダンケルクの三十三センチ砲は霧島の舷側装甲を破った。霧島は機関室に火災発生。更に砲弾を浴び機関停止している。ダンケルクは後部上部構造物をスクラップにされ一部ボイラーに爆炎が逆流。二基のボイラーが故障停止した。

 伊勢は後部三砲塔でダンケルクを攻撃する。ダンケルクは火災と機関部へのダメージで速力が出ないし、砲塔への動力が止まっていた。。ここは伊勢の優勢だった。

 夜戦が終了する頃、動けるのは中破状態の伊勢だけだった。レパルスは艦首を水面下にして徐々に沈降している。レナウンは金剛よりも少しだけ長く海面にいた。ダンケルクは夜明け前に燃えさかる呪物になっていた。

 霧島は浮いているのが不思議なくらいで、夜戦終了後、総員退艦。その後静かに沈んでいった。

 この夜戦で六隻もの戦艦が沈んだ。ユトランド以来の大惨事であった。


 空母イラストリアスはもう少しでカムランへ逃げ込めると言う所で東雲・磯波に捕捉された。

 一応降伏勧告を出すが拒否されたため、砲撃をしつつ接近。魚雷で撃沈した。

 傾斜が復旧しない重巡デュケーヌは四戦隊に砲撃を浴び沈んだ。ひ弱すぎた。

 戦艦は同じ数で縛られ、重巡は二対二になってしまった英仏海軍だが軽巡は英仏の今回参加した重巡より艦隊戦には向いていた。

 衣笠と球磨の支援を浴び突撃する三水戦と四水戦の前に英仏軽巡五隻と駆逐艦十一隻が立ちはだかった。

 戦艦に近づきたい日本駆逐艦と阻止したい英仏。

 阻止線を突破したいが力不足の衣笠・球磨。やがて球磨に火災発生。目立ったことで滅多打ちにあってしまう。時雨と山風と初春も戦線を離脱している。五十鈴も相当の被害を受けた。

 そこで隙を突いて三水戦が突撃を開始。阻止線を突破に掛かった。四水戦はそれを支援するようだった。

 が、イギリス軽巡三隻が阻止行動へ出た。やむなく軽巡相手では物足りないが六千で魚雷を発射した。

 三水戦七隻四十六本の魚雷は三隻の軽巡めがけて殺到した。 

 軽巡一隻に十五本という豪華な水中からの贈り物は、ほぼ航跡を残さず三隻へと突き刺さった。

 アキリーズに二本。ネプチューンにはなんと四本。オライオンにも三本。

 七千トン前後の軽巡に耐えられるものでは無かった。アキリーズ停止。ネプチューンは一瞬にして転覆。オライオンも傾斜が酷い。持たないだろう。

 だが三隻の軽巡は、名取・村雨・海風・涼風を道連れにしていった。

 グロワールとマルセイエーズを中心に守りを固める英仏駆逐艦だったが、日本水雷戦隊同様被害が積み上がっていた。

 デアリング・イレクトラ・ブレストーズ・シャグアールが沈むか行動不能になっていた。

 対する四水戦は綾波が砲塔全て沈黙、発射管と機関は無事であった。白雲・浦波が停止。薄雲は発射管に命中したのだろう爆沈。

 球磨は火災発生中だ。速度は落ちている。

 衣笠は生きている砲塔が一基だけだった。その変わりグロワールに相当の被害を与えた。そこへ妙高が割って入った。

 妙高と足柄はデヴォンジャーとサセックスを相手にしていた。条約型同士の戦いはサセックスが損傷していたこともあり、日本側優位に進んだ。妙高がサセックスを炎上させ追い詰めていた頃、足柄の艦橋へデヴォンジャーの一撃が命中した。この一撃で艦長以下艦橋要員が全滅。指揮が執れなくなってしまう。後部艦橋が指揮能力を発揮するまでに艦橋から前がボロボロにされて火災発生した。その後サセックスが沈黙。デヴォンジャーは足柄に何発か喰らっており、戦闘力の落ちた状態で妙高の相手をしなければいけなかった。デヴォンジャーが傾斜してようやく妙高が水雷戦隊支援に来たのであった。

 重巡一隻で劇的に状況は変わった。

 英仏艦隊で動ける最上位艦となってしまったマルセイエーズは生き残りの駆逐艦を連れて戦場からの離脱を図った。

 日本側も損害は甚大で追撃は中止。溺者救助を開始した。広い戦闘海面を各艦文字通り走り回った。

 その過程でプリンス・オブ・ウェールズを発見。まだしぶとくシンガポールを目指していた。降伏を迫るが拒否。その場で自沈してしまった。

 

 夜が明けるが空母三隻からの直援機が有り敵機も少数しか飛んでこなかった。午前中溺者救助を続け正午を持って打ち切り、帰路に就いた。


日本側損害

沈没

戦艦  金剛 霧島

軽巡  名取 球磨 

駆逐艦 夕暮 子日 夕霧 村雨 海風 涼風 薄雲 白雲 浦波 時雨

球磨・白雲・浦波は自沈 


大破

重巡  足柄 衣笠

軽巡  五十鈴

駆逐艦 綾波 山風 春雨


中破  

戦艦  日向 伊勢

重巡  那智

軽巡  那珂

駆逐艦 夕立 


小破  

空母  飛龍 雲龍

重巡  羽黒 妙高

駆逐艦 五月雨 磯波


伊勢はほとんど大破と言っていい状態。

撤退中、山風が沖縄本島に座礁して沈没を防いだ。 


南シナ海海空戦の戦果 

撃沈または撃沈確実

空母  アークロイヤル イラストリアス

戦艦  プリンス・オブ・ウェールズ レパルス レナウン

重巡  デュケーヌ トルーヴィル カウンティ級艦名不詳 二隻

軽巡  リアンダー級艦名不詳 一隻 アキリーズ ネプチューン

    ラ・ガルソニエール級艦名不詳 一隻


駆逐艦 十一隻 (実際は六隻であった)

 

双方ともボロボロであった。

日本海軍の駆逐艦被害はほとんどが英仏軽巡によるもの。

特にイギリスは貴重な正規空母二隻と最新鋭戦艦一隻を失ったのが大きい。

英仏は東南アジアでの水上作戦能力を一時的に失った。



同等の戦力がぶつかって双方引く気が無ければ、ボロボロだと思うのは作者だけでしょうか。

艦名が重複したり撤退済みの艦が出ていないはずですが、居たら教えて下さい。


次回 六月二十日頃 艦船など紹介かな。本編ではありません。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ