23.同期
「おう!ノリオ、飲みに行こうぜ!」
夕方、周りの温かい勧めもあり、そのやさしい圧力で帰り支度をしていたところ、
同期の山本孝雄がいきなり俺の部署に入ってきた。
「タカオか。無理だ。」
タカオよ、分かるだろう。
この空気で飲みに誘いにくるなよ。
周囲から凄まじい殺気がはなたれている。
「すまんすまん!そういう意味じゃなくて、お前の家!俺も子供の頃クリオネ飼ってたから!」
とたんに溶けだす空気。
俺はもう怖いよここ。
「・・・え?お前クリオネ飼ってたの?」
「おう、俺出身北海道じゃん。・・・こっち(東京)でも大丈夫かなって心配でさ、、
何か手伝えることあるかなって思って来たんだ。」
「そうなのか!助かる!」
もつべきものは同期だな。
「山本君はクリオネ経験者かぁ〜!!君らの代はすごいね!当たりだよ!当たり世代!!!」
部長が入ってきた。
俺らはペコペコしながら職場を離脱した。
「それにしても、助かったよ。正直いって夏場どうしようか悩んでたんだ。」
「ま、地元も真夏は暑いし大丈夫だよ!」
だらだらとタカオの飼育トークを聞きながらの帰宅。
ニート君、安定のダイブ。
「おい、ニート君すごくなついてるな。野生のクリオネってそんなになつかないっていうぜ?」
「まじで?」
にゅんにゅん言いながら頭をぐりぐりと俺にすりつけるニート君を見て、かなり驚いているタカオ。
「ま、入った、入った」
「ぉじゃーーーーっす」
「!!!!!!!」
あ、妹がいたんだった。
さすが、ニート、というべき固まりっぷりである。
「あ、すんません。・・・えっとノリオの同僚で山本です」
妹に挨拶しながら俺に振り向くタカオ。
「あ、あれ妹。ちょっとニート君が心配でさ、来てもらったんだ。
真紀、同期のタカオだ。クリオネ飼ったことがあるって来てもらったんだ。」
「・・・ノリオの妹です。どうも。
クリオネ飼ってらしたんですか?」
おお、妹もクリオネって部分に反応は示したようだ。
それから夕飯(棒棒鶏)を4人でつつきつつ久しぶりにビールを飲んだ。
ニート君のメシの食べっぷりと反応に3人とも癒されて、1時間もしたら妹もタカオもかなり打ち解けた。
ニート君、マジ潤滑油!!!




