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21.見知らぬ客

結局、3連休を実家で過ごしてしまった。


クソが昼寝をしている隙をねらって夕方自宅に帰ってきた。


俺はポカリバケツを作り、旅疲れのニート君を入れた。


『にゅーーーん♪♪』


ニート君、やっぱり疲れていたんだな。


さながら温泉気分な感じの入り方だ。


ニート君の為にやたら土産も貰ってきている。


助かるぜ。


くつろいでいると玄関がガンガン乱暴に叩かれた。


ドアスコープで外を見と


ぼさぼさの髪を振り乱した女が立っていた。


目の血走ったもの凄い表情をしている。


開けちゃだめだ!


これは、人間じゃない。


呪われるやつだ。


取り殺されるやつだ。


俺は部屋に急いで戻り、ニート君をポカリバケツから回収すると布団に潜った。


しばらくガンガンなってドアの向こうが静かになった。


・・・・


『ガチャ・・・・』



なんだとっ!?


ドアが開いた。


布団の中で震えつつも、俺はニート君を守るために必死で強く抱きしめた。


・・・・



「おい、・・・勝手に置いてってんじゃねーよ。クソが。」



チッ。



「・・・何で俺の家の鍵を持ってるんだ?」


「は?合鍵作ったからに決まってんだろーが。・・鍵代よこせや」



なんてこった。



「お前を、不法侵入で訴える。」


「は?つーかあっちーんだけど?」


勝手にエアコンをつけるクソ


「お前にニート君を頼んだのは平日の日中だけだ。

 よって明日の朝こい。

 そして夕方には帰れ。」


「交通費誰が払うんだよ」


「は?自腹だ自腹。お前も働け」


「私が働いたらニート君の面倒だれがみるんだよ」



なんだこいつ。我儘な専業主婦か。



「あっニート君忘れものだよ〜?ほら、ニート君お気に入りのお気に入りタオル♡」



『ににゅっ!にゅーーーーー♪』



実家にあった、やたらフカフカするタオルだ。


そういやニート君気に入ってたな。


「・・・お前そうやって物で釣るのやめろよ。」


「は?お前よりニート君のこと分かってるだけだっつーの!

 分かり合ってるだけだっつーの」


無駄な言い直しがやたらむかつくな。


^^^^^^^^^^^


『ピンポーン』


「「っ!!!!!!!!!」」


住み始めてから一生鳴る事はないと思っていたインターフォンがなった。


「「・・・・・・」」


・・・


『ピンポーーーン』



「・・・(おい、はやく行けよ、ニート君は置いてけ)」


くそ、


静かに玄関に向かいドアスコープを見る。


大家さんだ。


ドアを開ける。


「あっ!ごめんなさいねー。夜分に。

 山田さん、最近お家に女の子が来てるって話を聞いたんだけど、、、

 一応1人暮らし契約なのよね?

 だからもし一緒に住んでたら申し訳ないんだけど契約違反になっちゃうのよ〜。」



それみた。

クソよ、さらばだ。



「あっ、こんばんわ田中さん。

 申し訳ありません。気を付け『ににゅーーーーーーーー!!!』」



振り向くと、ニート君が部屋のポカリバケツで遊び始めていた。


あ、ペット契約大丈夫だったか?



「あらあらあらあら!!!!!

 山田さんっクリオネかってるのーーーー?」


「あぁ、最近拾いまして。

 家に来ていた女性は、妹なんですよ。クリオネの世話で。」


「あらあらあらあらーーーーーーーーー!」


「平日の日中だけ面倒みさせる様に、これから妹は毎日帰しますから!!!!」


「えっあら。いいのよそんなのっ!

 クリオネの世話ならしかたないじゃない?

 他のお家の方にも言っておくわね。

 あと、今度また見せてちょうだい?クリオネちゃん。」


大家さんが帰った。


部屋に戻ると、ドヤ顔の妹が胡坐をかいて俺を見ていた。


そして俺は、妹を実家に帰す理由を失った。

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